RFP(提案依頼書)を作成することになり、困った経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
特にRFP作成が初めての方にとっては、具体的にどのようなことを書いたらいいかわからず、作業が思うように進まないこともあります。
本記事は、ノーコード・ローコード開発を手掛けるBOLTが、RFP(提案依頼書)の作成にお困りの方に向けて、作成時のポイントや注意点を解説します。
RFPをはじめて作成する方や、非エンジニアでクライアントとの折衝業務がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
またRFPの基本について知りたい方は「RFPとは?提案依頼書の目的・作成時のポイント・注意点まで解説」の記事も併せてご覧ください。
RFP(提案依頼書)作成時のポイント
RFP(提案依頼書)を作成する際には、注意すべきポイントがあります。
具体的な書き方を知る前に、以下のポイントを事前に意識するだけでも、作業効率が高まります。
プロジェクトの目的・ゴールを明確にする
プロジェクトを進めるにあたり、社内・社外の関係者全員が目的・ゴールを理解しておくことは非常に重要です。特に、関係者が増えるほど、目的・ゴールは伝わりにくくなるもの。
RFPを通して目的を共有し認識を合わせておくことで、開発が行き詰まった時にすぐに立ち返ることができます。
例えば
- 何を実現したいか(どのような問題を解決するか)
- 具体的にどういったものを開発するのか
- いつまでにやるのか
などをドキュメントにまとめて明確化する必要があります。
型(フォーマット)にはまり過ぎない
RFPの書き方は必ずしも決まっていません。書き方は自由ですし、実際にRFPは企業によって内容は様々です。そのため、型(フォーマット)にはまり過ぎない様に注意が必要です。
なぜなら「RFPとはこういうものである」という固定概念や、形に縛られて作成してしまうことで、伝えるべき情報が十分に担保されない可能性があるからです。
重要なことは、RFPの内容が正しく伝わり、読み手に疑問が残らないことです。
また、システムベンダーに対し「これは伝えておいた方が良い」と思う情報があれば漏れなく記載しましょう。
依頼先や、発注するシステムの要件などによって柔軟に作成することが重要です。
関わる人の意見を聞き、記載漏れがないようにする
RFPを作成したあとは、直属の上長や開発部門の方にチェックしてもらいます。
例えば、
- 曖昧な表現や独特の言い回しになっていないか
- 横文字や専門用語を多用し、伝わりにくくなっていないか
- 記載情報に誤りがないか
といったことです。
一人、あるいは単独部署で作成すると、異なる視点が入ってこないため、抜け漏れが起こりやすくなります。
なるべく多くの方からフィードバックをもらい、修正を繰り返すことで、質の高いRFPに仕上がります。
RFP(提案依頼書)の作成方法
インターネット上で公開されているウェブサイトやテンプレートでは、どれも解説内容や書き方が異なるため、迷う方も多いはずです。
本記事で紹介する内容も、これが正解というわけではありませんが、いくつかの情報を参考に「押さえておくべき内容」をまとめました。
大枠としては
- プロジェクト全体概要
- プロジェクト詳細要件
- 提案依頼事項
- 補足事項
といった流れです。
それぞれの詳細を解説しますので、RFPを初めて作成される方は参考にしてください。
プロジェクト全体概要
全体概要ではプロジェクトの方向性を示します。
方向性が定まっていれば、詳細要件は柔軟に変更できるので、まずは全体の大枠を示し、関係者間の目線統一が重要です。
項目 | 内容 |
---|---|
プロジェクトの目的・背景 | 自社にどういった課題があり、何を解決するために開発するのか目的を明確にする |
プロジェクトのゴール・目標 | 具体的な成果物のイメージや、数値化できる目標を記載する |
プロジェクトのスケジュール | 最終納期はいつか、そのためにいつまでに何をするかを記載する |
最終成果イメージ | サンプルや事例などがあれば紹介する |
プロジェクト詳細要件
詳細要件は、選定先のベンダーに対し、具体的に何をお願いするかを示すパートです。ベンダー側が理解できるように要件を適切に伝えるようにします。
特に、当該プロジェクトにおいて、必ず守るべきこと・マスト要件などがあれば漏れなく記載します。これによって、依頼を受けたベンダーは自社が対応できるかどうかを判断します。
項目 | 内容 |
---|---|
対応範囲 | 開発プロジェクトのどこまでの業務を依頼するか、対応範囲を記載する |
開発予算 | プロジェクトの予算や上限を記載する |
オペレーション(体制) | プロジェクトリーダー、プロジェクトメンバーおよび関連部署を記載する |
セキュリティ | 遵守すべきセキュリティレベルについて記載する |
施設・設備 | 使用する施設・設備について記載する |
保証要件 | 万が一の保証について記載する |
機密保持契約(NDA) 契約事項 | 機密保持契約(NDA)や契約に関する条文を記載する。場合によっては行政書士に相談が必要 |
その他 | その他、特筆すべき事項があれば記載する |
提案依頼事項
提案依頼事項は、選定先ベンダーから具体的にどういった提案をもらいたいかをまとめます。
この部分が不明瞭になってしまうと、ベンダー側から予想と外れた提案が送られてきたり、複数ベンダー間での比較検討ができず、選定先決定が難航するといった事態に繋がりかねません。
項目 | 内容 |
---|---|
開発製品の納品 | 開発したサービスの納品方法について、仕様書・マニュアルの有無などを明記 |
引継ぎ・データ移行 | 開発後の引継ぎやデータ移行の方法など、納品後の取扱いについて明記 |
教育訓練 | 開発したサービスの使用について、教育・研修の実施有無について明記 |
コミュニケーション | 委託先の開発体制(開発リーダー、メンバー)の紹介。開発期間中の打ち合わせや日々の連絡手段について明記 |
費用・契約 | 提案費用(見積もり)の提案について明記 |
その他 | 特筆すべき強みなどがあれば記載してもらうように明記 |
補足事項
その他、選定先ベンダーに伝えるべき事項をまとめます。
基本的に、委託先は複数社に提案を求めるコンペ式で行われることが多いため、どのような基準で選定をするかをベンダーに明確に伝えることで、各社の差別化ポイントがわかるようになります。
項目 | 内容 |
---|---|
対応窓口 | 対応窓口について、部門・担当者名・連絡先を記載する |
提案手続き | 提案方法、期日について記載する |
参加資格条件 | 参加資格条件について記載する |
選定方法 | 最終的な選定方法・基準を明記する |
質問・問い合わせについて | 質問・問い合わせに関する窓口について記載する |
RFP(提案依頼書)に困った時は作成支援を活用
RFP作成に関して、困った時はRFP作成支援サービスに依頼するのもおすすめです。RFP作成支援サービスとは、RFP作成を代行してくれる専門サービスのことです。
RFP作成支援サービスを活用するメリットは
- RFP作成実績が豊富にあるため、抜け漏れのないRFP作成が可能
- RFP作成に関する具体的なアドバイスをもらうことができる
- RFP作成に掛かる工数が大幅に削減可能
といったことが挙げられます。
RFP作成のノウハウを享受することで、ゆくゆくは自社でRFP作成を内製化したい場合でも役立つでしょう。
具体的な作成支援サービス会社を知りたい方は「RFP(提案依頼書)作成支援とは?支援先選びのポイントまで解説」の記事をご覧ください。
また、当社でもノーコード・ローコードツールを活用した独自のRFPの作成支援サービスを行っています。企画、要件定義の段階から柔軟に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ|RFPを作成することで依頼先選定・開発実務がスムーズになる
RFP(提案依頼書)を作成するメリットは
- 依頼するベンダーの選定が効率的になる
- 依頼後の納品までの開発実務がスムーズになる
といったことが挙げられます。
その上で、今回紹介したRFP作成のポイントを再度まとめます。
- プロジェクトの全体概要を示す
- 開発サービスの詳細要件を示す
- 提案依頼事項について記載する
- 補足事項を記載する
RFP作成が初めての場合や、慣れないうちは、外部のRFP作成支援サービスを利用することもおすすめです。
作成支援サービスに依頼することで具体的なノウハウを溜めることができるため、自社で内製化を進める上でも役立ちます。