マイクロソフト社が提供する「Power Platform(パワー・プラットフォーム)」をご存知でしょうか。
Power Platformを活用することで、手入力業務をワークフローによる自動処理化を実現し、業務効率の向上を図ることや、社内に散らばるあらゆるデータを集約し、ビッグデータ解析によるデータドリブンな経営判断を実現できます。
また、Microsoft Officeを導入している企業であれば、シームレスにPower Platformを活用して業務システムを構築できます。「2025年の崖」が問題視され、多くの企業が業務DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む中、DX化を後押しするツールとして大きな注目を集めています。
一方、「Power Platformは他の開発ツールと何が違うのかわからない。」、「具体的にどんな開発ができるのかイメージできない。」という方も多いでしょう。
そこでこの記事では、ノーコード・ローコード開発に特化したシステム開発サービスを運営し、数多くのシステム開発を成功させてきたBOLTが、Power Platformの特徴やメリット、さらに実際の開発事例まで紹介します。
業務効率化や社内のDX活動に取り組む方は必見です。
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Power Platformとは?

Power Platformはマイクロソフト社が提供するシステム開発プラットフォームです。具体的には、以下の5つのサービスによって構成されています。
- PowerApps
- Power Automate
- Power BI
- Power Virtual Agents
- Power Pages
Microsoft Officeを日常的に利用しているユーザーであれば、5つのサービスを活用することで、あらゆる業務システムを構築できます。
各サービスはそれぞれ特徴があるので、システムの目的や用途に合わせて柔軟に利用することが大切です。
ここではPower Platformを構成する5つのサービスの特徴を紹介していきます。
PowerApps

PowerAppsは、プログラミング言語を用いたコーディングを一切行わず、マウスのドラッグ&ドロップ操作だけで、簡単にアプリケーションを開発できるサービスです。
従来のシステム開発では、コーディングができるシステムエンジニアの存在が必要不可欠であり、さらに開発工数も掛かることから、リリースまでに多くの開発期間を必要としていました。
しかし、PowerAppsにはシステムを構築するために必要な機能があらかじめ用意されています。そのため、非エンジニアでも、機能発パーツを組み合わせるだけで開発を進めることが可能です。
Excelの関数機能やパワーポイントで資料作成をする作業と同じような感覚でシステムを開発できるので、Microsoft Officeを導入している企業・部署であれば、すぐにPower Appsの利用を始めることができます。
Power Appsについて詳しく知りたい方は「Power Appsとは?企業が注目する理由やメリット・活用例を解説!」も併せてご覧ください。
Power Automate

Power Automateは様々なシステム同士を連携させることで、簡単に業務自動化を実現できるサービスです。
通常のシステム開発でシステム同士を連携させるには、専門的な開発が必要であり、さらにシステム内の調査が必要になるため、労力と時間がかかります。
Power Automateの場合は、システムを連携するための「コネクタ」が250種類以上用意されているため、連携したいシステムのコネクタを選択するだけで、システム同士を連携をできます。
手作業によるルーティーン業務などに、Power Automateを活用すれば、業務自動化を実現し、業務時間を大幅に削減できます。
Power BI

Power BIは企業内に点在するデータを集約・分析することにより、ビジネスにデータ活用をもたらすBI(ビジネス・インテリジェンス)ツールです。
企業が適切な意思決定を行うには、今やビッグ・データ活用が必要不可欠です。とりわけ社内には様々なシステムを導入しているため、必要なデータがバラバラに保管されていたり、データ集約に時間が掛かったりするため、ビッグ・データ解析が進まない要因でもあります。
Power BIはあらゆるデータソースと連携することができるので、クラウド・オンプレミスにかかわらず、あらゆる社内データを自動収集します。
また、Power BIは優れたインターフェース上で直感的に操作できるため、データ加工やデータ抽出のためのコーディング作業は一切不要です。そのため、エンジニアやデータサイエンティストなどの専門職ではなくても、簡単にデータ分析を行えます。
さらに、データが必要な時にいつでも情報を手に入れることができるので、施策の効果測定や分析・改善立案のサイクルを早めたい場合などに重要な役目を果たします。
Power Virtual Agents

Power Virtual Agentsは、AIチャットボットを構築できるサービスです。お客様からのお問い合わせや、社内の各種手続き・申請、社員からの質問・問い合わせなどに対応するチャットボットを開発できます。
さらに、Power Automateと組み合わせることで、社内のあらゆるデータ資産を活用し、営業プロセスの自動化や、リード創出につながるWebマーケティング体制の構築など、企業ニーズに対応したチャットボットをノーコードで構築できます。
Power Pages

Power Pagesは、HTMLやCSSなどのコーディングを行わずに、直感的な操作だけで、Webサイトを構築できるローコードツールです。マウスのドラッグ&ドロップで直感的にデザインでき、フォントサイズやビデオ挿入、画像挿入も容易に行うことができます。
さらに詳細にページを編集したい場合は、ページエディタ(Visual Studio Code)を用いてレイアウトの微調整も可能です。HTML、CSS、JavaScriptを用いて、よりオリジナルで動的なWebサイトを構築できます。
さらに、アクセス認証やアクセス制御、高度な暗号化など、セキュリティとガバナンスを維持することができ、堅牢なセキュリティ性能を担保します。
Power Platformを活用してできること
Power Platformを活用すれば、ビジネスに役立つあらゆることが行なえます。例えば次のようなことが実現可能です。
できること | 使用するツール |
現場作業を効率化するアプリケーションの開発・導入 | Power Apps |
顧客からの問い合わせに対応するチャットボットの開発・導入 | Power Virtual Agents |
社内のあらゆるデータを統合し、分析・検証に役立てる | Power BI |
紙書類から電子化への業務フロー改善 | Power Apps、Power Automate |
リクルーティングサイトを作る | Power Pages |
ここで挙げた例以外にも、Power Platformのツールを組み合わせることで、さまざまな業務アプリケーションや、ビジネス改善につながるワークフローの構築が可能です。
Power Platformを活用するメリット

国内では労働人口減少の影響から、多くの企業でITツールを活用した業務効率化が求められています。
その中でPower Platformは、手軽に業務システムを構築し、データ分析まで行えるツールとして大きな可能性を秘めています。
ここでは、企業がPower Platformを活用するメリットを詳しく解説します。
システム開発に掛かるコストを削減できる
Power Platformを用いてシステム開発を行うことで、開発コストや開発期間を大幅に削減できます。
通常のシステム開発の場合、システム開発には専門的な知識・スキルを持ったエンジニアの存在が欠かせません。さらに開発期間が長期化することから、開発に掛かるコストが非常に高額でした。
Power Platformの場合、コーディングを行わずに開発できることから、エンジニアリソースが不要です。そのため、システム開発期間や人件コストを大幅に削減します。
また、自社でMicrosoft Office製品を導入していれば、管理画面からシームレスにPower Platformの開発画面にアクセスできるため、社内の開発部門や情報システム部を介さずとも現場主導で社内システムを構築できます。
データの一元管理から分析まで行える
Power Platfromで構築したシステムに保管されたデータは、全て一元管理できます。
システム開発上の課題としてよく見られるのが、社内システムを増やしたことで、社内のあちこちにデータが分散してしまい、データ収集や分析が一向に進まないというケースです。
データ分析が正しく行われなければ、課題の特定や検証・改善ができず、業務効率化につなげられないでしょう。
Power Platform上で構築したシステム同士は全て連携できるため、1つのプラットフォーム上でデータを一元管理し、分析までワンストップで行うことができます。
手作業の自動化を実現できる
Power Platformを活用すれば、今まで手作業で行っていた業務の自動化を実現できます。
例えばデータの仕分けや計算、あるいはリスト整理といった定型化されたルーティン業務は、Power Platformを用いたワークフローの作成によって自動化を実現できます。
業務自動化といえば「RPA」などもありますが、RPAは大規模で複雑なシステム開発に導入されることが多く、開発コストも非常に高額であるといったことがネックです。
Power Platformは、小規模組織や少人数のチームで行うような業務自動化を実現するシステムです。そのため、開発に予算や期間を掛けることなく、手軽に扱えることがメリットです。
昨今は深刻な人材不足の影響で、多くの企業ではITを活用した業務効率化が求められています。Power Platformを活用し、定型的な業務は自動化を図ることで、従業員をより付加価値の高い業務や専門性の高い業務に専念させられるでしょう。
Power Platformの費用
Power Platformの費用は、構成する各製品のライセンス利用料によって異なります。以下の表では、製品毎の最低ライセンス価格を記載しています。詳細は各製品の公式サイトをご覧ください。
製品 | ライセンス名・価格 |
Power BI | ・Pro ユーザー単位:1,090円 ・Premium ユーザーごと:2,170円 |
Power Apps | <サブスクリプションプラン> ・アプリごと:540円 ・ユーザーごと:2,170円 <従量課金プラン> ・アプリごと:1,120円 |
Power Pages | <サブスクリプションプラン> ・認証済みユーザー:21,743円 ・匿名ユーザー:8,154円 <従量課金プラン> ・認証済みユーザー:435円 ・匿名ユーザー:33円 |
Power Automate | <サブスクリプションプラン> ・ユーザーごと:1,630円 ・アテンド型RPAのユーザーごと:4,350円 ・フローごと:10,870円 <従量課金プラン> ・フロー実行ごと:65円 |
Power Virtual Agents | ・毎月2,000セッション:21,740円 ・毎月1,000セッション:10,880円 |
Power Platform活用事例

実際にPower Platformを導入している企業はどのように活用し、どのようなデジタル変革をビジネスにもたらしているのでしょうか。ここでは、Power Platformを活用したことで業務の自動化を実現した企業事例を4つ紹介します。
その他の事例も知りたい方は、「PowerApps活用事例6選!よくある課題別の活用方法も解説します!」も併せてご覧ください。
野村不動産株式会社:アナログ業務をデジタル化
野村不動産では、従来のアナログ業務をPower Platformを活用したことで業務効率の改善と残業削減の両方を実現しました。同社では、これまで建設中の物件情報を全てExcelで管理しており、手入力する時間と入力ミスによる手戻り作業が大きな負担になっていました。
そこで、「PowerApps」と「Power BI」を活用し、物件情報入力の自動化情報の見える化を実現させました。物件情報をアプリに入力すると、物件情報が自動でPower BIに集約され、全ての情報が一元的に見える化される仕組みです。
万が一、工期がずれたり、物件情報に異常があった場合はアラートが通知され、Power BI上から物件の詳細情報を確認できるため、異常のあるデータを探す手間も省くことができます。
野村不動産はPower Platformを活用して物件情報管理システムを構築することで、業務効率を20%向上させることに成功しました。
参照:BizAppチャンネル
ロンドン ヒースロー空港:現場主導のデジタル改革
イギリス・ロンドンにあるヒースロー空港では、Power Platformを活用した現場主導のデジタル改革を進めました。
Power Platform導入前の空港業務では、顧客に車椅子を貸し出すためには30分かけて3枚の申請書に記入しなければなりませんでした。この現場業務の無駄に気づいた社員がPower Platfromを活用して、独自に車椅子貸出申請アプリを開発したのです。
驚くべきは、このアプリを開発した社員は、警部部門に17年在籍する方で、ITとは無縁だったのです。当然ながらプログラミングの知識も持ち合わせていませんでしたが、Power Platformを利用したことで、誰でも簡単に業務改善システムを構築できることを証明しました。
現場主導で開発するメリットは、直接業務に携わる方々がアイデアをそのまま形にできることです。これまではアイデアがあっても、形にするためには専門性や開発予算が必要でした。しかし、Power Platformがあれば、アイデアを形にし、現場主導で業務効率化の実現をできることがお分かりになるでしょう。
参照:Power Platform 導入事例|ロンドン ヒースロー空港
花王株式会社
国内を代表する消費財化学メーカーの花王では、同社の中核生産拠点である和歌山工場を中心に、製造現場の担当者が業務アプリケーションを開発しました。
生産の進捗管理、設備の稼働状況の可視化など、生産現場における業務のデジタル化に成功。Power Platformを通じて開発したアプリケーションの数は263件にものぼります。
従来、紙で行っていた整備点検記録をデジタルに切り替えたことで、業務時間の大幅な削減と効率化を実現しました。
開発した製造現場の担当者は、今までにアプリケーション開発の経験は一切なかったそうですが、マイクロソフトのYouTube動画などを参考にしたところ、数10分でアプリケーションを完成できたと述べています。
トヨタ自動車株式会社
日本を代表する自動車メーカーのトヨタ自動車でもPower Platformによる業務改善が行われています。2021年3月豊田章男社長(当時)が「デジタル化については、この3年間で、世界のトップ企業と肩を並べるレベルまで一気にもっていきたい」と発言したことをキッカケに、全社的なDXが加速しました。
自動車製造工場では、現場主体の「市民開発」によるアプリケーション開発が加速化し、これまで外注していたシステム開発の内製化を実現しました。例えば、KPI管理や保全作業の管理、設備予備品の利用量の可視化などを行うアプリケーションを、現場主導で40個以上もの開発を行いました。
トヨタ自動車では「カイゼン」の文化が根づいていることは有名ですが、デジタル領域でのカイゼンの連鎖により、あらゆる効果がもたらされています。
【まとめ】Power Platformは企業のDX改革を後押しする

企業がPower Platformを活用する最大のメリットは、現場主導でシステム開発を行なうことで、社内の業務DXを推進できる点です。
社内に開発リソースがない場合や、コストを掛けてシステム開発を外注せずとも、各現場内に存在する業務上の課題解決に向けて、最適な業務システムを自分たちで構築することが可能です。
特にPower Platformはマイクロソフト社が提供するため、Microsoft Officeを導入している企業であれば、すぐに利用を開始できます。使い方に関するチュートリアルやヘルプサイトが充実しているので、興味がある方は、早速利用してみてはいかがでしょうか。
また、システム開発の外注先選びでお困りの方は、弊社までお気軽にご相談ください。
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