「Power Apps?簡単にアプリが作れるとかいうやつでしょ?あれで本格的なシステム開発なんかできるの?」
Power Appsでどこまでできるの?そんな疑問を解決します。
この記事では、様々な企業の開発事例と、弊社の実績を通して、Power Appsの可能性を徹底解説します。ぜひ最後までご覧ください。
PowerAppsの特徴についておさらい
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PowerAppsは、Microsoftが提供する業務アプリ開発ツール。ノーコード・ローコードで開発できるのが特徴です。
専門的なUIではなく、ドラッグ&ドロップなどで開発できるUIを用いて開発するツールをノーコード・ローコードと呼びます。プログラミング知識が少ない企業でも取り入れやすいのが魅力です。
例えばPowerAppsを使うことで、手動でおこなっている複雑な業務をシステムで管理できるようになります。
「社内で1つのワークフローのなかで複数のツールを導入している」「自動化できる仕事を手動でおこなっている」など、非効率な業務を効率化できるツールです。
【国内】PowerApps活用事例を12つ紹介
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国内のPowerApps活用事例を紹介します。「社内の業務効率化の具体的な手法が思いつかない」「社内のワークフローの無駄に気付けない」などの悩みを抱えている方は、参考にしてみてください。
株式会社ファンリピート
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当社が開発支援した広告代理店企業様では、もともとExcelや他の複数のシステムを使って営業・販売データを管理していました。しかし、この方法には大きな課題がありました。
例えば、営業部の田中さんは基幹システムを、マーケティング部のBさんは顧客管理システムをそれぞれ確認しなければならず、情報が分散していました。このような状況は「シャドーIT」と呼ばれ、企業内の情報システムが部門ごとにバラバラに管理され、全体的な管理が行き届かない状態を指します。
シャドーITとは、企業などの組織内で用いられる情報システムやその構成要素(機器やソフトウェアなど)のうち、従業員や各業務部門の判断で導入・使用され、経営部門やシステム管理部門による把握や管理が及んでいないもの。
引用元:IT用語辞典
これらの課題を解決するために、私たちはPowerAppsのモデル駆動型アプリ(Dynamics365)を用いて、1つのシステムで一元管理が可能なソリューションを提供しました。
要件定義から開発まで一貫してサポートし、PowerAppsにはもともと存在しない「Excel帳票の発行」などの機能も、外部サーバーとのAPI連携を通じて実現しました。この結果、各部門がスムーズに情報を共有でき、業務効率が飛躍的に向上しました。
ホクレン農業協同組合連合会
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どんなサービスを作ったのか
- 要領検索アプリ:
- 組織内の業務要領やマニュアルを、Power Appsで検索できるようにしたアプリ。
- Excelでは実現できなかった検索機能を実装し、業務効率を向上させた。
- 文書保存箱管理アプリ:
- 倉庫や書庫にある文書の入出庫を管理するアプリ。
- 手書きの申し込み内容をデジタル化し、運送業者への依頼も自動化。
- 報告アプリ:
- 部署からの業務報告書を収集し、ファイル名の統一や督促を自動化するアプリ。
- 報告作業の効率化だけでなく、ファイルの一元管理を実現。
- その他にも、研修申込、課題提出、法務関連相談依頼、内部監査指摘検索など、15個ほどの市民開発アプリが稼働。
なぜPower Appsを選んだのか
- ローコード開発:
- プログラミングの専門知識がなくても、直感的にアプリを作成できる。
- Excelの知識やMicrosoft 365のスキルがあれば、比較的簡単にアプリ開発に取り組める。
- 柔軟性:
- 業務の改善に合わせ、Power Appsで柔軟にアプリを開発・改修できる。
- 既存環境との連携:
- Microsoft 365との連携が容易で、既存のデータを活用できる。
- 内製化推進:
- 外部に依頼せずに、自分たちで業務に合ったシステム開発ができる。
Power Apps活用による成果
- 現場主導のDX推進: 現場の職員が自らアプリを開発・運用する、市民開発の成功事例となった。
- 業務効率化:
- 要領検索アプリにより、検索にかかる時間を大幅に削減
- 文書保存箱管理アプリにより、アナログな業務をデジタル化。
- 報告アプリにより、ファイル管理や督促業務を自動化。
- IT人材の育成:
- 現場の担当者がアプリ開発に挑戦する中で、ITスキルが向上。
- 若手職員が主体となってアプリ開発に取り組むことで、組織全体のITリテラシーが高まった。
- 縦割り組織の打破:
- 部署間の連携が促進され、情報共有がスムーズになった。
- 全社的なデジタルシフト:
- 現場職員が中心となり、デジタル化の流れを加速。
- 組織全体でDXに対する意識が高まり、その定着が進んだ。
- 組織全体の活性化
経営層のトップダウンと現場発信のボトムアップが融合し、組織全体のDXを活性化した。
旭化成株式会社
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どんなサービスを作ったのか
- 安全活動改革アプリ
- Power Apps でヒヤリ・ハット登録を統合。
- Power BI で集計・レポーティングを自動化。
- Power AutomateとTeams連携で、共有業務を自動化し、リアルタイムでの共有・改善を可能にした。
- ヒヤリ・ハットを工場の敷地図にマッピングし、安全パトロールを支援。
- 工場帳票レポートの電子化:
- Power BI を活用し、約50種類の帳票を電子化・統合。
- 年間5,000時間以上の削減を達成し、さらなる効率化を目指す。
- 研修申込・課題提出アプリ、法務関連相談依頼アプリ、内部監査指摘検索アプリなど、計15個ほどの市民開発アプリ
- Power Appsを使った内製化を推進し、様々な業務効率化アプリが開発された。
なぜPower Platformを選んだのか
- 使いやすさ: システム開発の経験がない従業員でも理解しやすく、アプリ開発の入り口として最適。
- マイクロソフト製品との親和性: Microsoft 365 E3を全社導入済みのため、既存の環境を活かして手軽に利用を開始できた。
- 手厚いサポート: マイクロソフトによる手厚いサポートにより、導入・利用をスムーズに進めることができた。
- 柔軟性と拡張性: 様々な業務ニーズに合わせてアプリを開発・カスタマイズできる。
- 業務プロセスの最適化: 業務効率化に貢献するだけでなく、従業員が自らの業務を改善していくという意識改革にもつながった。
Power Platformの活用による成果
- デジタル人材の育成:
- Power Platformの利用を促進することで、従業員のDXスキルを向上。
- オープンバッジ制度導入により、従業員のスキルアップを可視化。
- レベル4の認定を取得した社員が、自らの業務改善に取り組む。
- 業務効率化:
- 安全活動における年間1,400時間、工場帳票レポートの電子化で年間5,000時間以上の削減を実現。
- ヒヤリハットの登録から共有までのプロセスを自動化し、業務スピードを向上。
- 組織全体の活性化:
- 縦割りの組織を超えた情報共有や連携が促進。
- 従業員が自ら課題を発見し、解決策を模索するようになった。
- 企業全体として、DXを推進する体制が確立。
- 内製化の促進:
- 従業員が自らアプリ開発に取り組むことで、内製化が促進された。
参考:https://www.asahi-kasei.com/jp/
サントリー株式会社スピリッツカンパニー 梓の森工場
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どんなサービスを作ったのか
- 電子チェックシートアプリ:
- 従来紙で行っていた、製造設備の稼働データや点検状況のチェックをデジタル化。
- 手書きでの数値記入をなくし、転記・計算・集計作業を効率化。
- 現場の担当者が使いやすいように、ボタンの配置や入力項目、表示項目などをカスタマイズ。
- 排水運転チェックシート、液処理運転チェックシート:
- 工務部門とパッケージ部門がそれぞれ使用するチェックシートアプリを開発。
- 現場の声を取り入れ、使いやすいUIを実現。
- 健康管理アプリ:
- 出社時に、従業員が体温や体調を入力するアプリ。
- 従業員の健康状態を把握し、体調不良者の早期発見に役立てる。
- 暑さ指数(WBGT)管理アプリ:
- IoT機器と連携し、WBGTデータを自動で収集・可視化。
- Power AutomateとTeams連携で、熱中症アラートを自動通知。
- 予備品管理システム:
* 山崎蒸溜所でも利用されるシステムを構築し、工場間で予備品を融通することを可能にした。 - その他:
- 研修申込・課題提出アプリ、法務関連相談依頼アプリ、内部監査指摘検索アプリなど、多岐にわたる業務を効率化するアプリを開発。
なぜPower Appsを選んだのか(または、Power Appsを使うことのメリット)
- 現場主導の開発:
– 現場の担当者が自らアプリを開発できるため、業務に最適なシステムを構築できる。- 自分たちでアプリを開発できることで、技術的な障壁を取り除き、現場の課題解決を直接的に支援できる。
- 迅速な開発:
- 短期間でアプリのプロトタイプを作成し、早期にテスト運用を開始することができた。
- 現場の担当者が主体となることで、よりスピーディーに課題解決と改善を繰り返せた。
- 高い拡張性と柔軟性:
– 現場からのフィードバックをすぐに反映させ、必要な機能を追加できる。
– Power Appsだけでなく、Power BI、Power Automate、Teamsとの連携も容易であり、機能拡張が柔軟に行える。 - Microsoft 365との親和性:
- 全社でMicrosoft 365を導入済みのため、Power Appsをスムーズに導入・活用できた。
- TeamsやOutlookなどの既存ツールとの連携が容易。
- 手軽さ:
- プログラミングの知識がない従業員でも、比較的簡単にアプリ開発ができる。
現場で必要な機能を、手軽に、自らの手で形にすることが可能。
- プログラミングの知識がない従業員でも、比較的簡単にアプリ開発ができる。
Power Appsの活用による成果
- 業務効率化:
- 手作業でのデータ収集や転記作業を自動化し、業務時間を大幅に削減。
- 電子化されたデータにより、リアルタイムな情報共有や分析が可能。
- 現場担当者が直接システムを改善することで、業務への適合性を高めた。
- 品質管理の向上:
- チェックシートの電子化により、入力ミスや記入漏れを防止し、より正確なデータに基づいた品質管理を実現。
- データ分析を可能にすることで、品質改善やトラブルの予兆検知に役立てることができた。
- 内製化の促進:
- 従業員が自らアプリを開発することで、内製化の文化が醸成。
参考:https://www.suntory.co.jp/?ke=hd
静岡県 島田市
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どんなサービスを作ったのか
- 子育て支援プラットフォーム「しまいく+」
- 妊娠期から18歳までの子を持つ親と家族を対象としたWebサイト。
- マイナンバーカード認証で、住民情報に基づいたOne to Oneの情報提供を実現。
- 子どもの年齢や状況に合わせて必要な情報やメニューを自動表示。
市役所開庁時間外でも、PCやスマホから手続きや問い合わせが可能。
- 各種手続き、問い合わせのデジタル化:
- 従来の紙ベースでの手続きを、Webサイトで完結できるようにデジタル化
- 市民は、市役所の窓口に出向くことなく、いつでもどこでも手続きや問い合わせができる。
* マイナンバーカードを利用した認証機能で、高いセキュリティを確保しつつ、ユーザーの利便性を高めている。
- 将来的には、防災や福祉などの分野への拡大も視野に入れて開発。
なぜPower Platformを選んだのか
- 柔軟な拡張性:
– 将来的な他分野への拡張を見据え、Power Apps(Power Pages) を選択。- 既存のシステムとの連携が容易で、スケーラビリティに優れている。
- データ連携:
- Dataverseの豊富な連携性能を活かし、Office 365やDynamics 365との連携が容易。
- Microsoft製品との親和性が高く、スムーズなシステム構築を実現。
- ローコード開発:
- ある程度標準化されたテンプレートが用意されており、ローコードで短期間での開発が可能。
- UIの統一感も保ちやすく、複数分野でのサービス展開に最適。
- セキュリティ:
- Dataverseの高いセキュリティ基盤により、個人情報の安全な管理が可能。
- ライセンス体系:
- 将来的な利用者増加にも対応できる、柔軟なライセンス体系を備えている。
Power Platformの活用による成果
- 市民サービスの向上:
- 市民一人ひとりのニーズに最適化された情報提供を、効率的に行える。
- 時間や場所に制約されずに、手続きや問い合わせができるようになり、利便性が向上。
- 市民からは「市役所に行かなくてもいいのはありがたい」との声も。
- 業務効率化:
- 職員は、事務作業を効率化できるようになり、より市民サービスに専念できる。
- 紙ベースでの煩雑な業務プロセスをデジタル化し、業務効率を改善。
- 柔軟なシステム構築:
* Webサイト形式での開発により、将来的な拡張や改修に柔軟に対応できる。 - 住民ニーズを捉えたシステム構築: 住民アンケートを基に、本当に必要な機能のみを搭載。
- 自治体DX推進:
- マイナンバーカードを活用することで、よりセキュアで利便性の高い行政サービスの提供を実現。
- 職員のデジタル活用を促進し、庁内業務のDXを推進。
- 他自治体のモデルケース:
- 他自治体からも注目され、問い合わせが増加。
北陸先端科学技術大学院大学
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どんなサービスを作ったのか
- PC端末貸与/返却アプリ:
- 学生向けPC端末の貸出・返却フローをデジタル化。
- バーコード/QRコードスキャン、タブレットでのサイン取得、データベース登録、メール通知を自動化。
- アプリアンインストール状況確認システム:
- 全学で使用していたアプリの解約に伴うアンインストール状況を管理。
- 削除依頼メールの配信、電子署名ツールへの誘導、報告書の提出記録、未提出者へのリマインドを自動化。
- 情報環境利用同意手続きシステム:
– 新入生向けの同意手続きをオンライン化。
– 入力内容を自動的に集計し、控えメールも自動送信。 - その他:
- Power BIを活用したレポートの可視化や、様々な業務効率化アプリも開発されている。
Power Platformの活用による成果
- 業務効率化:
- PC端末貸与・返却業務における作業時間を大幅に削減。
- 報告書回収業務を自動化し、工数を大幅に削減。
- チェックシートの電子化により、データの一元管理を実現。
- スピーディーな開発:
- プログラミングの専門知識がない担当者でも、短期間でアプリ開発が可能。
– 現場のニーズに応じたアプリを、自分たちで迅速に開発・改善できるようになった。
- プログラミングの専門知識がない担当者でも、短期間でアプリ開発が可能。
- 属人化の解消:
- 特定の担当者に依存していた業務を、チームで共有・対応できるようになり、業務の可視化が進んだ。
- デジタル人材の育成:
- 職員が自らアプリ開発に取り組むことで、ITリテラシーが向上。
- 開発プロセスを通して、論理的思考力や課題解決能力も高まった。
- 大学全体のDX推進:
- 情報社会基盤研究センターでの成功事例をきっかけに、他部署でもDXへの関心が高まり、全学的な取り組みへと拡大。
- 学内システムの見直しや改善を加速させ、教育研究環境の向上に貢献。
- 全学的なデジタルシフト:
- 自らツールを活用する文化を醸成し、既存業務の改善を促進。
参考:https://www.jaist.ac.jp/index.html
経済産業省
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経済産業省ではインフォシェア株式会社に委託する形で、PowerAppsを用いたシステム開発をおこないました。
経済産業省ではもともと、電子申請システム「Gビズフォーム」を提供しています。省内職員向けと外部利用者向けに2種類のアプリケーションを開発していました。
省内職員向けはPowerAppsの「モデル駆動型のアプリ」を利用しています。これは大規模データを管理するためのアプリケーションです。一方で、外部利用者向けでは「ポータル型」のアプリケーションを作成し、UI観点でも使いやすいよう意識しています。
この「Gビズフォーム」の開発には複数の開発者が関わっており、ルール・レギュレーションが整備されていない課題がありました。対して、ドキュメントの整備などの解決策を取りました。
またそのうえで、利用者側のUIの改修などもおこない、より使いやすいツール作成を進めています。
PowerAppsはローコード・ノーコードだからこそ、メンテナンスやセキュリティに力を入れる必要があります。チーム開発をおこなう場合は、特に環境整備を意識しましょう。
トヨタ自動車株式会社
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トヨタ自動車株式会社は2021年2月からPowerAppsを用いたアプリ開発を推進しています。2023年2月段階で、すでに40以上のアプリを独自開発している状況です。
もともと社内でデジタル活用するために、年単位のリードタイムも発生するほどハードルが高かったことが課題でした。
この課題に対して、もともとMicrosoft 365の全社導入をしていた同社では、開発の自由度を高めるためにノーコード・ローコード開発が可能なPowerAppsを導入しました。
これにより、ある工場業務の作業時間は平均16分から7分まで削減し、費用対効果を感じています。
北陸先端科学技術大学院大学
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大学では競争が激しくなっています。他学との差別化をするためには、学生・職員が質の高い研究ができるようなインフラ環境を整備することが必須です。
そんななか北陸先端科学技術大学院大学はデジタル化を取り入れていましたが、システムが多すぎるうえ、UI上の問題もあり、使い勝手が悪かったといいます。その結果、浸透しておらず、押印業務をはじめアナログ業務が残存していました。
そこでPowerAppsを導入。他のツールとのAPI連携ができることが大きな魅力だったといいます。また開発チームにはプログラミング初学者もいましたが、ノーコード・ローコードだったため、スムーズに開発が進んだそうです。
その結果、ある業務においては体感・1/10ほどの労力で業務改善できています。
株式会社ニトリ
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株式会社ニトリではもともと他社SFAを導入して、営業業務の改善を考えていました。しかし部内にSFAの知見がなく、活用が進んでいなかったそうです。この状態が4年ほど続きました。
そんななかPowerAppsを用いたオリジナルのSFAアプリを開発しました。
ニトリではもともと「内製化」の風土が強いという特徴があります。そんななか開発に時間がかかることがネックですが、ノーコード・ローコードを用いることで作業レベルでの課題が解消されました。
また自社でSFAを開発・メンテナンスすることで、カスタマイズがしやすくなったこともあり、社内での浸透率が高まっているといいます。
ヤマトホールディングス株式会社
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2021年夏の東京五輪に際してヤマトHDでは、1万台以上の車両と7000人以上の人員を割いて、会場設営に貢献しました。
今大会では東京を中心とした43の会場に資材を運ぶ必要があり、サプライチェーンが複雑化するという課題があったといいます。
そんななか、東京五輪用のオペレーションシステムをPowerAppsで開発しました。以下の3つが利点となり、導入を決めたとのことです。
- 業務要件が日々変わるなか、アジャイルでの開発が可能なこと
- 過去大会のExcelデータを扱いやすいこと
- セキュリティ面が安心であること
今回の成功体験を軸に、他のイベント物流業務にも対応していく下地ができました。
日本たばこ産業株式会社
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喫煙人口が減少するなか、日本たばこ産業株式会社では従来の営業スタイルを見直す必要がありました。
たばこ販売許可を持つ売り場だけでなく、電子タバコのデバイス体験店舗などで、消費者に直接アピールする必要が出てきました。
新しい営業体制を構築するために同社では、PowerAppsを用いて自社開発を進めました。もともとは外部ベンダーに保守を依頼していましたが、新体制発足直後ということで、たびたび要件が変わり対応に苦慮していたといいます。
またPowerAppsを使った営業システムを浸透させるため、社内セミナーを実施。現在では従来のシステムもPowerAppsに移行し、一元管理が進んでいます。
【海外】PowerApps活用事例を6つ紹介
ここではPowerAppsを活用して、システム開発を行っている企業の活用事例紹介していきます。
PowerAppsの活用を検討しているが、活用方法が思いつかずに困っている方は、導入企業の活用事例を今後のシステム化の参考にしてください。
Telstra:顧客情報の一元管理
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オーストラリアの大手通信会社テルストラは顧客サポートを行うための情報がスプレッドシート・紙などの様々な形式で社内に分散化してしまっていることを課題として、顧客への手厚いサポートを実現するためにPowerAppsを導入しました。
テルストラで作成されたアプリは「TIDE」と呼ばれる問い合わせ解決システムです。
TIDEには顧客からの問い合わせがチケットとして保存され、全ての担当者がアクセスして、問い合わせに対する進捗管理・情報共有する用途で開発されました。
顧客の問い合わせ情報が記載されたチケットには、関連する情報やコメントが記載できるようになっており、状況が変化した場合には関連する全ての従業員に通知される仕組みになっています。
管理者はTIDEで顧客からの問い合わせチケットの状況を確認して、進行中なのか、解決したのかを簡単に確認できるようになりました。
TIDEを利用することで、顧客から問い合わせを受けた時点で、問題解決のために必要な情報が全て集約されるため、現場の担当者は顧客対応する前にTIDEを確認することで顧客情報はもちろん、問い合わせ解決のために必要な情報を全て確認することができます。
TIDEによって、現場の担当者は迅速に問題を解決することができるので、顧客満足度の向上を実現しました。
Reliable Electric:見積積算の自動化
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Relaiable Electricはカナダの高級個人住宅向けの電気設備の設計・デザイン・工事をトータルで提供している企業です。
顧客に対して提案をするためには見積書を作成する必要があり、顧客の住宅図面から材料を拾い出して、拾い出した材料情報から見積書を作成しますが、この見積作業に大きな課題が存在しました。
Relaiable Electricは見積積算のためにAccubidと呼ばれる古いソフトウェアを活用していましたが、図面から拾い出した情報を全てAccubidで入力し、計算された見積情報を全て、1つずつスプレッドシートにコピー&ペーストする作業を行っていました。
このコピー&ペースト作業は非効率な作業であり、かつ使いにくい画面であったため、見積積算に時間がかかり、顧客への提案スピードにも悪影響を及ぼしていました。
見積積算改善のためにツール導入を検討しましたが、Accessでは対応できず、Excelでは煩雑すぎて、従業員が利用することができないため、課題解決の手段が見つかりませんでした。
そんな中で、Relaiable ElectricはPowerAppsで見積積算システムを構築したところ、見積積算画面に図面から拾い出した部材の数量を入力するだけで、データベースに保存されている製品データや作業単価を参照して、見積書が自動作成されるようになりました。
見積作成にコピー&ペースト作業が不要になったことに加え、業者向けの製品リストや部品表も自動でシステムから作成されるようになったため、見積以外の業務改善も実現しました。
Pinnacle Group:ヘルプデスクの紙業務をデジタルに
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Pinnacle Groupは公共物件の住宅、学校などの管理・運営を手掛ける企業です。
Pinnacle Groupでは管理する物件に対して、様々な監査を行い、それらの監査結果を報告していますが、この監査レポートは紙ベースの管理であったために面倒な業務が多く発生していました。
また、紙ベースの業務が原因で、メモ情報の入力漏れやスプレッドシートへの転記ミスが多く発生しているため、社内で問題視されていました。
そこで、Pinnacle GroupはPowerAppsを活用して、監査プロセスを効率化する安全衛生管理アプリを開発しました。
このアプリには監査業務に沿ったワークフローが設定されており、各フェーズごとに担当の監査官が必要情報をドロップボックスやコメントなどで登録できるようになっており、その他にもタスクの追跡などで作業漏れが発生しないよう仕組みになっています。
監査業務が全て完了すると、システム内で未完了の監査項目が集計され、レポート情報のURL情報がメールで関係者に報告されます。
レポートはPowerBIに連携されて、自動作成されるので、1つのツールで全ての業務の流れを追えるようになりました。
Pinnacle GroupはPowerAppsの導入により以下の効果を生み出しています。
- 紙の印刷を年間3300枚削減
- データの入力時間を550時間節約
- 未対応の業務調整のための作業時間を年間450時間削減
PowerAppsで非効率な紙の業務を全てシステムに置き換えることで、高い業務効率化を実現しています。
Priceline:店舗データ集計作業を効率化
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Pricelineはオーストラリアに480以上の店舗を構える大手医薬品販売業者です。
Pricelineの店舗責任者はデータ収集に大きな課題を抱えていました。
店舗責任者が自店舗の報告レポートを作成するためには複数のシステムにアクセスして、手作業でデータを収集する必要があり、このデータ収集に何時間も時間をかけていました。
またCMや各種広告を用いたプロモーションを行った際には、店舗の売上がピークに達するため、データ収集作業には更に時間が必要になり、全店舗から報告された報告データを本部がBIツールで視覚化するのにも、1営業日の時間が必要になりました。
本部が実績データを確認するのが1日遅れることで、プロモーション活動の結果を確認して、すぐに改善活動に動き出せないため、非常に大きな問題となっていました。
そこでPricelneはPowerAppsを活用した店舗データ集計アプリ「Heart in Hand」を作成しました。
この店舗データ集計アプリは、以下の改善をもたらしました。
- 店舗責任者はどこからでも、店舗情報にアクセス可能
- 自店舗のエリアに存在する全ての店舗の販売状況がリアルタイムで閲覧可能に
- 店舗改善のための、アイディアや要望を投稿できるように
- 必要なレポートを自動作成
Heart in Handにより、店舗責任者は人がやるべきでないデータ集計作業から解放され、本来の価値の高い業務に注力できるようになりました。
PowerAppsの「コネクタ機能」を活用し、外部のデータソースと連携し、必要な情報を一か所に集約することで、レポート業務の自動化を図った事例です。
Kelly Roofing:現場進捗管理のデジタル化
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Kelly Roofingはアメリカフロリダ州で最大手の屋根葺き替え工事の請負業者です。
Kelly Roofingでは工事中の作業進捗の報告のために手順や状態に従って、作業員が写真撮影を行い、その写真データを登録・整理するために現場の作業員が、多くの時間をかけていました。
この現場作業員による写真での報告作業を効率化するためにPowerAppsを用いて、現場管理アプリを構築しました。
現場作業員は、作業の開始前、作業中、作業後の写真をスマートフォンからアップロードすることでアプリ側で作業員の担当現場の情報を参照し、データを自動登録します。
登録だけでなく、必要であれば作業報告情報を顧客や関係するメンバーにメールで共有することも可能です。
アプリに登録された作業データは毎日顧客に作業日報として提供されるので、現場作業員が報告のための日報を作成する必要もなくなりました。
現場作業員がアプリにデータを登録するだけで、営業担当者はリアルタイムに現場の進行状況を確認できるため、顧客からの進捗問い合わせ件数を30%削減することに成功し、業務効率化と顧客満足度向上を同時に実現した事例です。
Metro Bank:デジタル化による新たな顧客体験を創造
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Metro Bankはイギリスのロンドンに、50以上の店舗を展開する銀行です。
Metro bankではウェルカムエクスペリエンスと位置付けた高品質の接客サービスを提供するために、PowerAppsで接客対応用のタブレットアプリを開発しました。
従来の接客サービスでは、紙のクリップボードに顧客名を記入し、事務所まで戻り、CRMシステムで顧客情報を確認する作業を繰り返していました。
このアナログ業務の影響で、顧客の待ち時間を正確に判断できず、顧客に最適な担当者を設定するのにも時間がかかっていたため、十分な顧客体験をもたらすことができませんでした。
しかし、タブレットアプリの導入後は待機している顧客、対応可能な従業員、顧客担当者が昼食から戻る時間などのデータをタブレット上で簡単に検索・確認できるようになりました。
システム化されたことで、待ち時間の計測が正確になることに加え、受付窓口が対応可能になった場合に、店舗の外にいる顧客にアプリからテキストメッセージを送付することまで可能となりました。
接客業務にタブレットアプリを活用することで、わざわざデスクに戻らずに必要な情報を手にしたうえで、接客対応ができるため従来よりもはるかに高品質な接客サービスを提供できるようになりました。
PowerAppsで開発したアプリで非効率な業務を改善することで、業務の効率化だけでなく、顧客に対して新たな価値を提供することに成功した事例です。
PowerAppsを活用したサンプルアプリ
ここまでPowerAppsの特徴や活用方法を解説しましたが、「実際にどんなアプリが作れるの?」と疑問を抱く方も多いでしょう。
具体的にどのようなアプリが作れるのかイメージが湧かない方に向けて、PowerAppsを使用して実際に作成できるサンプルアプリをいくつか紹介します。もちろん、ここで紹介する以外にも様々なアプリを開発できますので、一つの参考としてご覧ください。
在庫管理アプリ
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PowerAppsを使用することで、商品や部材の在庫状況を一元的に管理するアプリケーションを作成できます。例えば、在庫の入出庫管理、在庫数のリアルタイムな確認、在庫が少なくなった際の通知機能など、効率的な在庫管理をサポートする要素を盛り込むことが可能です。
さらに、過去の在庫動向や季節性を分析する機能を追加することで、適切な在庫量の維持をサポートします。
名簿アプリ
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PowerAppsで名簿アプリを作成すれば、従業員や顧客、取引先といった情報の一元管理が可能です。
情報の追加・編集・検索はもちろん、カテゴリ分けやタグ付けなどの高度な機能を活用することで、必要な情報を迅速に取り出すこともできます。さらに、連絡先のインポート/エクスポートや、一括メール送信機能なども組み込めるため、業務の幅を広げることができます。
経費報告アプリ
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PowerAppsで経費報告アプリを作成すれば、従業員の経費申請を簡易化し、管理者は迅速に承認するフローを実現します。
レシートの撮影・アップロード機能や経費のカテゴリ分け、さらには承認フローの自動化など、経費管理の効率化をサポートする機能も組み込めます。また、経費の傾向分析や予算管理機能を組み込むことで、経費の適正化も図ることが可能です。
顧客管理アプリ(CRM)
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顧客との関係を深化させるための顧客管理アプリ(CRM)も、PowerAppsで作成できます。顧客情報の詳細な登録・編集や、営業履歴の追跡、受注予測の分析などの機能を設計することで、顧客との信頼関係をより深めることが可能です。
また、顧客の購買履歴や接触履歴を一元管理することで、パーソナライズされた提案やマーケティング活動の最適化も実現します。
現場でよくある課題別の活用方法
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ここでは、企業の現場によくある課題別のPowerAppsを活用方法を紹介していきます。
紹介する3つの課題は必ず社内に存在するものなので、PowerApps活用のヒントにしてください。
アナログ業務をシステム化したい
アナログ業務をシステム化する場合は、PowerAppsのテンプレートアプリを利用することをお勧めします。
PowerAppsでは部門別でよくある業務テンプレートアプリが用意されているので、それらを利用して、システム化することができないか検討をしてください。
もちろん、ゼロから開発することも可能ですが、テンプレートアプリを利用することでシステム開発工数を大幅に下げることができます。
基本的はテンプレートアプリを利用して、業務をシステム化できないか検討し、どうしてもテンプレートで解決できない部分がある場合は、その部分のカスタマイズをすることで最小の工数でシステム化が実現できます。
データを一元管理したい
複数のシステムやデータベースに散らばるデータを、一元管理したい場合はPowerAppsの「コネクタ」を利用して、データ連携することをお勧めします。
PowerAppsには200種類以上の外部サービスと連携するためのコネクタが用意されています。
従来ではデータ連携をするには、システムの繋ぎこみ部分の開発に加え、連携先のシステムの仕様調査が必要で、手間のかかる開発内容でした。
しかし、コネクタを利用することで、面倒な連携のための作業を省くことができます。
コネクタを活用してPowerAppsのシステムに集約できた後は、Microsoftが提供するBIツールである「Power BI」に連携することで、データを視覚化することが可能です。
データの集約はPowerAppsのコネクタを活用し、データの視覚化にはBIツールであるPowerBIを活用することで、データの集約から視覚化を1つのツールで管理することができます。
定型業務を自動化したい
毎日必ず行う定型業務はPowerAppsの「Flow(フロー)」機能を活用すれば、業務自動化の仕組みを構築することができます。
定型業務には必ず「この連絡がきたら、別システムに入力する」、「この作業の後はスプレッドシートに転記」など決まったワークフローとなっていることがほとんどで、システム化しやすい領域です。
PowerAppsのFlow機能はシステムから呼び出すことができる、ワークフローを作成することができる機能です。
例えば、問い合わせフォームに申請があった際に毎回、関係部署にわざわざ内容を転記して、メールを送付している定型業務があるとします。
この業務をFlowで自動化する場合は、以下のようなフローを組むことで解決できます。
- 問い合わせフォームに申請が入ったら、問い合わせ内容を取得する
- 取得したデータの連絡先部署の項目から送付先部署を指定する
- 送付先部署のSlackのチャンネルにデータを連携する
このような形のワークフローを構築するだけで、以降の問い合わせフォームからの申請は全てPowerAppsのアプリから、自動でSlackにデータ連携される自動化が実行されるようになります。
定型業務のような、決まった作業だけ繰り返す業務は最もシステム化しやすいので、Flowを活用して、業務自動化に取り組むのはいかがでしょうか。
Power Appsでよくある質問
- Power AppsとKintoneだとどちらが良い?
-
正直に言うと、一概には言えません。ただ、Power AppsにできてKintoneでできないことは多くあります。
Kintoneは学習コストが少ない分、Power Appsと比べると実装できる機能に差がありますが、より早くシステム開発が可能です。
- Power Appsって簡単に開発できるなら外注する意味はある?
-
あります。簡単に開発できると謳われていますが、実際にはある程度学習しないとまともなものは作れません。
弊社であれば複雑なシステム開発でも1ヶ月で可能。また、自社で開発できるようになるまで並走して支援することも可能なので、ご興味あればご相談ください。
- Power Appsで開発してみたいけど、何から始めればいい?
-
まずはPower Apps入門書などで基礎の基礎から学習すると良いでしょう。ある程度Power Apps周りのことがわかるようになったら、弊社が提供している無料のPowerPlatformチュートリアルにチャレンジしてみてください。
完全初心者向けではないので少しハードルが高いように思えますが、クリアできれば一通りの開発スキルが身につきます。
実務で役立つスキルが学べるPowerPlatformチュートリアル>>
【まとめ】非効率な業務は全てPowerAppsの活用対象
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この記事ではPowerApps導入企業の活用事例と企業の課題別の活用方法を紹介しました。
活用事例で紹介したように、PowerAppsはあらゆる企業の課題を解決できる柔軟性と拡張性を有したシステム開発ツールです。
そのため、非効率な業務は全て、PowerAppsの活用対象となります。仕事をしていて非効率だと感じる場合は、それがPowerAppsを活用したシステム化のアイディアになります。PowerAppsにはテンプレートアプリも豊富に用意されているので、まずはテンプレートアプリと多少のカスタマイズで解決できる範囲で活用してみるのはいかがでしょうか。
もしPower Appsでの開発にご興味があれば、以下の無料お役立ち資料をご覧ください。また、何か作りたいシステムの構想があれば弊社にご依頼ください。毎月先着1社のみ無料でお引き受けしております。