PoC(概念実証)とは?システム開発における重要性を徹底解説

皆さんはPoCという言葉をご存知でしょうか?「Proof of Concept」の略語で日本語では概念実証という言葉で表されています。

主にシステム開発やITツールを導入する際に用いられ、昨今の働き方改革やデジタルトランスメーションなどを背景にシステム開発・導入の現場で多く用いられています。

そこで今回はPoCの概要、PoCを行う目的、具体的なPoCの方法をご紹介します。

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PoC(概念実証)の概要

PoC(概念実証)の概要

企業が投資を行いシステム導入を検討する際に用いるPoC(概念実証)と同時に用いられるPoV(価値実証)という検証方法が存在します。

ここではPoCとPoVの概要並びに2つの違いを分かりやすくご説明します。

PoC(概念実証の目的)とは

PoCは「Proof of Concept」の略語であると冒頭で説明しましたが、直訳するとコンセプトの証明という意味になります。

日本語では「概念実証」と呼ばれ、企業が新しいシステム投資を行う際に投資をするか否かの決断をする前に事前に実現可能性を証明するための検証を意味します。

PoV(価値実証)との違い

PoVは「Proof of Value」の略語であり、直訳すると価値の証明の意味になります。

日本語では「価値実証」と呼ばれ、システムやコンセプトに投資をする価値があるのかどうかの検証を意味します。

例を挙げると、昨今のクラウドサービスは本導入前に試験的に運用ができるトライアル利用期間が存在します。この行為がまさにPoVの実証です。

短い期間でシステムを試験利用して、既存の業務とシステムを利用した場合の業務を比較し、その削減効果と利用コストを天秤にかけて、利用価値を見出す事がまさに価値の実証となります。

PoCがコンセプトやシステムによる効率化実現可能性の証明であるとすると、PoVは新しいコンセプトの価値、システム化による費用対効果を検証するもので、PoCとPoVは企業がシステム投資の意思決定をする場面において、どちらも欠けてはならない要素です。

PoC(概念実証)の目的

PoC(概念実証)の目的

企業がシステム導入をする場合、数千万〜数億円の費用が必要となります。

この巨額投資には慎重な検討が不可欠で投資判断を「机上の空論」ではなく、より確実な根拠を基とする判断が必要になり、その際にPoCが用いられます。

そこで、ここでは企業がPoCを行う目的3つに関してご説明します。

実現性

どれだけ素晴らしい効果をもたらすシステムであっても、それがコンセプト通りに開発される保証はありません。システム開発でよくある「作ってみたらうまく開発できなかった」に陥ってしまいます。

システム開発は1度始めると後戻りができないため、投資判断をする前にシステムが想定どおりに開発される実現可能性を担保する事が目的の1つです。

費用対効果

システム開発には巨額の費用が必要になるため、システム導入による費用対効果の事前検証が不可欠です。

投資判断をする経営陣が求めるのは費用に対してどれだけの効果が出るのかであり、その部分が不明瞭なままで承認されることはあり得ないので、導入は先送りになるばかりです。

導入による費用対効果を明確に実証する事がPoCを行う目的です。

例を挙げると、400万円のシステム導入することで全社でこれだけの時間外労働時間が削減され、400万円の開発費用を超える人件費削減が見込めるという数字根拠を基に費用対効果を証明するのです。

具体性

実現性、費用対効果が実証できても、その実現方法が不明瞭では話が前に進みまないため、どのように実行していくかの具体性を示す必要があります。

この検証には現場の人間を巻き込む事が不可欠で、現場の現状と課題の中身をしっかりと把握した上で、どのように課題を解決していくかを示す必要があります。

これが抜けてしまうと現場の課題感や業務と全く合致しないシステムになってしまい、結果として誰も使わないシステムが完成し、会社としては無駄な投資となります。

経営陣からしても、実現性と費用対効果が見えても、具体的に導入前と導入後がどのように変わるのかが頭でイメージできなければ、投資判断を躊躇うことになります。

どのように、どう変えていくのかの具体性を持たせることもPoCの目的となります。

PoC(概念実証)のステップ

PoC(概念実証)のステップ

これまでPoCの概念とその目的を紹介してきましたが、システム開発におけるPoCの有用性が見えてきたのではないでしょうか。ここではPoCを実行する上での順序を追ってご紹介します。

試作

第1ステップはコンセプトや新システムを検証するための試作です。

物がなければ、検証ができないので、試作品を用意する必要があり、注意しなければならないのは「スモールスタート」であるべき点です。

試作品なのにあれもこれもと機能をつけるといつまで経っても検証がスタートしないので、検証に必要な機能だけ作成して、小さく始めてすぐに完成させ検証に移る事が大切です。

実装

第2ステップは用意した試作品を現場環境に実装します。

この実装というのは試作品を現場環境と同じ状態で利用できるようにする事で、現場環境に近ければ、近いほど良いとされます。

理由として現場にこそ、答えがあるのでそれに近い環境で試作品を運用する事で机上では見えなかった要素を集める事ができ、コンセプトにより具体性を持たせるヒントが見えるようになります。

検証

第3ステップは検証です。

試作品を実装し、そのコンセプトやシステムの効果を検証します。

この検証では現場で実際に作業をしている人を巻き込んで、よりリアルな業務環境の中で行う事がより確かな検証結果を出すことに繋がります。

例えば、帳票作成の自動化システムであれば、現場で帳票を作成していた事務担当者の参加が必要不可欠となります。

これまでのやり方と比較し、新しいシステムでの帳票作成業務はどのくらい便利で、どれほど効率的を図れるのかを現場の作業者に利用してもらって検証する事で、より正確な検証結果を手に入れることができます。

まとめ:大きな失敗をなくすためにPoCは必要

まとめ:大きな失敗をなくすためにPoCは必要

ここまでPoCの概念から、目的、その方法をご説明してきましたが、巨額の開発費用が必要となり、失敗ができないシステム開発の現場においてこそPoCの取り組みが必要ではないのでしょうか。

PoCを実行する事で実現性、費用対効果、具体性の3つを担保する事ができ、その結果を基により正確な投資判断が可能となり、投資失敗のリスクを排除した上でのシステム開発で業務効率化の恩恵をいち早く手に入れることができます。

より確実なシステム開発を進めるためにもPoCを是非とも今後のシステム開発の際の判断基準とし、リスクを抑えたシステム開発がより進むことを願っております。

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