最近、FlutterFlowについてのお問い合わせをよくいただきます。
FlutterFlowとは、いわゆるノーコード・ローコードツール。Google出身の二人のエンジニア、AbelとAlexが立ち上げました。作れるアプリは基本的にはiOSもAndroidも両対応ですし、それどころかWEBもMacアプリ、Windowsアプリ、Linuxアプリも作成可能。
本記事ではそんなFlutterFlowについて、特徴やメリット・デメリットなどを詳しく解説します。ぜひ最後までご覧ください。
FlutterFlowとは?

FlutterFlowは、Webブラウザ上で動作するアプリケーション開発ツールです。クロスプラットフォームに対応しており、iOSとAndroid両方のネイティブアプリを同時に作成できます。
FlutterFlowの最大の特徴は、プログラミング不要でアプリ開発ができる、いわゆる「ノーコード」であること。これにより、開発期間を大幅に短縮できます。
さらに、FlutterFlowは「ローコード」ツールでもあります。つまり、必要に応じてコードを記述することもできるので、ノーコードの制約を受けずに、複雑な機能を実装することも可能です。
厳密に言えばローコード・ノーコード開発ツールではない

FlutterFlowは、コードなしでアプリを開発できる機能を備えていますが、コード記述によるカスタマイズも可能です。
そのため、一般的にはローコードツールと認識されがちですが、FlutterFlowの開発元は、自身を「ノーコード・ローコードツール」ではなく、「ビジュアル開発環境」と位置づけています。
FlutterとFlutterFlowは何が違う?
FlutterFlowは、Googleが開発した Flutter(フラッター) というフレームワークをベースに作られています。
- Flutter: UI(ユーザーインターフェース)を構築するためのフレームワーク。Dart(ダート)というプログラミング言語を使用します。
- FlutterFlow: Flutterの機能を、視覚的に、より簡単に使えるようにしたツール。FlutterFlow上で作成したUIデザインは、自動的にFlutterのコード(Dart)に変換されます。
つまり、FlutterFlowは、Flutterの公式ツールではなく、Flutterの機能を拡張し、使いやすくした サードパーティ製のツール という位置づけになります。
FlutterFlowの特徴
FlutterFlowの特徴を4つの観点から解説します。
ビジュアルプログラミングができる

FlutterFlowの最大の特長は、プログラミングの知識がなくても、UI(ユーザーインターフェース)を直感的に構築できる点です。ボタン、テキストフィールド、画像などの要素をドラッグ&ドロップで配置し、色、フォント、サイズ、余白などを調整することで、アプリの見た目をデザインできます。
マウスでポチポチしていれば、簡単にきれいなデザインができるというわけです。レスポンシブ対応も簡単ですし、アニメーションを取り入れればよりクオリティの高いアプリに仕上がります。
UI/UXが優れているので、非エンジニアでもある程度推測して開発できそうです。
ソースコードをダウンロードできる

FlutterFlowの最大の強みは、ソースコードをダウンロードできることです。ローコードツールは、チーム開発への移行や、ツールでは実現できない機能の実装時に課題が生じがちです。しかし、FlutterFlowはFlutterベースのプロジェクトを生成し、そのソースコードをダウンロード可能。ローカルでのビルドや開発に移行できます。
これにより、MVP開発から本格的な製品開発への移行をスムーズにします。FlutterFlowはリリースから日が浅く、時にプラットフォーム上では解決困難なエラーに遭遇することもありますが、ソースコードを直接確認することで解決できる場合が多いです。
最終手段としてソースコードを入手できることは、開発者にとって大きな安心材料となります。ソースコードのダウンロードは有償(月額30ドル)ですが、初期段階から大規模なチーム開発を行う場合でも、UI部分をFlutterFlowで作成し、その後Flutterに移行するという選択肢も有効です。
Firebase連携ができる
アプリ開発においてはUIデザインだけでなく、データの保存、ユーザー認証、プッシュ通知といったバックエンド(サーバー側)機能の実装も必要です。FlutterFlowは、Googleが提供する Firebaseとの連携機能 を標準で備えており、サーバー構築や専門知識がなくとも、これらの機能を容易にアプリに組み込むことができます。
FlutterFlowとFirebaseを連携させることで、以下の機能が利用可能になります。
- データベース: アプリのデータ(ユーザー投稿、商品情報など)のクラウド上での保存・管理
- 認証: ユーザーのログイン・ログアウト機能の実装(メールアドレス認証、SNS認証など)
- ストレージ: 画像や動画などのファイル保存
- プッシュ通知: ユーザーへのメッセージ送信
これらの機能を活用することで、サーバー側の開発をほとんど行うことなく、アプリに必要なバックエンド機能を実装できます。
AIによる生成機能
FlutterFlowにはAIによるコード自動生成機能が備わっています。
例えば、「ログイン機能を作って」と入力すれば自動で実装してくれたり。簡単な機能ならサクッと作ってくれるので、面倒な機能にリソースを割けますね。
便利機能が多い
FlutterFlowの機能はまだまだあります。
- クロスプラットフォーム対応: 一つのプロジェクトから、iOS、Android、Webなど、複数のプラットフォーム向けのアプリを同時に開発できる
- コードの自動生成: 作成したUIデザインは、自動的にFlutterのコード(Dart)に変換されます。このコードはエクスポートし、Flutterの開発環境でさらにカスタマイズすることも可能です。
- リアルタイムプレビュー: デザインの変更は、リアルタイムでプレビュー画面に反映されます。
- 豊富なテンプレート: 様々な種類のアプリのテンプレートが用意されており、これらを活用することで、ゼロから開発する手間を省ける
- GitHub連携: 複数人での共同作業がスムーズにできる
また、そのほかには
- アプリの状態(ログイン状態など)を管理する機能
- Stripeなどの外部サービスと連携する機能(決済機能などを簡単に実装可能)
などを備えています。これらの機能も活用することで、より高度なアプリ開発ができるはず。
FlutterFlowの料金
FlutterFlowには、無料を含む4つのプランがあります。プラン選択のポイントと、各プランの概要をまとめました。
プラン | 料金 (月額/年額) | 主な特徴 | おすすめのユーザー |
Free | $0 | Firebase連携、テンプレート利用、Web上で動作確認可能。ただし、ソースコードDL・APK DLは不可。 | FlutterFlowを試したい、小規模/学習目的 |
Standard | 月払い:$30 年払い:$264 | ソースコード/APKダウンロード可能。 | 個人開発、本格的なアプリ開発の初期段階 |
Pro | 月払い:$70 年払い:$600 | Standardに加え、GitHub連携、AppStore/Google Play Storeへの直接デプロイ、1クリック翻訳が可能。 | 商用アプリ開発、アプリのリリースまで完結させたい |
Teams | 月払い:$70 年払い:$600 | Proの全機能に加え、複数メンバーでのリアルタイム共同編集、デザインライブラリ共有が可能。(最低2ユーザーから) | チーム開発、デザイン共有が必要な場合 |
- 無料版 → まずは機能を試したい方に最適。Web上での動作確認まで可能です。
- Standard → アプリのソースコードをダウンロードしてカスタマイズしたい個人開発者向け。
- Pro → 商用アプリ開発に必要な機能が充実。GitHub連携や、App Store/Google Play Storeへのデプロイも可能です。
- Teams → 複数メンバーでの共同開発
FlutterFlowのメリット・デメリット
FlutterFlowは、アプリ開発の効率化と、これまでになかった開発体験をもたらすツールですが、導入を検討する際には、メリットだけでなく、デメリットについても理解しておくことが重要です。
メリット
ソースコードをDLできる
繰り返しにはなりますが、FlutterFlowの大きな利点は、生成されたプロジェクトのソースコードをダウンロードできることです。Flutterには数多くのパッケージが存在しますが、FlutterFlowが公式にサポートしていないものでも、カスタムウィジェットで対応できない機能は、ソースコードを直接編集することで、ほとんどの場合、実装可能です。
費用対効果を重視する開発案件において、FlutterFlowは有力な選択肢となっています。クライアント企業がFlutterFlowを選ぶ理由として、最終的な成果物がFlutterのソースコードであるという点は、大きな安心材料となっているようです。
ノーコード・ローコードツールは、サービスの継続性が懸念されることもありますが、FlutterFlowの場合は、プロジェクトのソースコードをダウンロードできるため、サービス終了のリスクを回避できることも、採用を後押しする要因となっています。
かなり早くアプリが作れる
FlutterFlowのビジュアルエディタは、ドラッグ&ドロップ操作でUIをデザインできるため、コーディングの時間を大幅に短縮できます。
豊富なテンプレートを活用すれば、ゼロからデザインする必要がなく、さらに開発を加速できます。また、デザインの変更はリアルタイムでプレビューに反映されるため、試行錯誤を繰り返しながら、効率的にUI/UXを改善できます。
さらに、クロスプラットフォーム対応により、一つのプロジェクトでiOS、Android、Webなど、複数のプラットフォーム向けのアプリを同時に開発できるため、開発期間を大幅に短縮できます。
非エンジニアでもアプリ開発が可能
FlutterFlowは、ドラッグ&ドロップ操作を中心とした直感的なUIを採用しているため、プログラミング未経験者でも比較的容易にアプリ開発に取り組めます。プログラミング言語の習得が不要なため、学習コストも低く、短期間でアプリ開発の基本を習得できます。
Firebase連携によるバックエンドの容易な構築
FlutterFlowは、GoogleのFirebaseとの連携機能を備えています。これにより、データベース、認証、ストレージ、プッシュ通知など、アプリに必要なバックエンド機能を簡単に実装できます。サーバーの構築・運用が不要なため、インフラに関する専門知識がなくてもバックエンドを構築できます。
多言語に対応

FlutterFlowでは設定からどの言語で表示するか?が選べます。
こういったノーコードツールって基本英語だったりしますが、日本語に対応しているのはうれしいですね。
チームで作業ができる
FlutterFlowには、Collaborationという機能があり、複数メンバーが同時にプロジェクトにアクセスできます。共同作業ができるので、効率的に進められますね。
デメリット
完全なエンジニア未経験には向かない
FlutterFlowはローコード開発ツールであり、基本的な操作はプログラミング未経験者でも行えます。しかし、ある程度の予備知識があった方が、よりスムーズに開発を進められるでしょう。特に、エンジニアリング経験が全くない場合は、操作に苦労するケースも見受けられます。
外部サービスとの連携や、ロジックの構築のしやすさを重視するなら、Bubbleも選択肢の一つです。Bubbleは、連携可能な外部サービスが豊富で、視覚的な操作でロジックを組み立てられるため、プログラミング初心者にも比較的扱いやすいでしょう(利用料金はFlutterFlowより高額になります)。
大規模アプリ開発への懸念
FlutterFlowではTeamsプランがあり、少人数のチーム開発では使えるようになってきています。ブランチの機能もあり、別々の開発者が同時並行で作業をすることも、マージをする際に差分を比較することも可能です。
ただ、通常の開発と異なり、レビューを回すにはやや機能不足感が否めません。
FlutterFlowで構築されたアプリは、ネイティブコードで開発されたアプリと比較して、パフォーマンスが劣る場合があります。特に、大量のデータを処理したり、複雑なアニメーションを多用したりする場合には、注意が必要です。
FlutterからFlutterFlowへのインポートができない
FlutterFlowは、Flutterコードのインポートに非対応です。
一度Flutter側でコードを修正すると、FlutterFlowへの反映は不可。以降、デバッグはローカル環境が中心となり、Gitマージも困難になります。FlutterFlow、Flutter、ネイティブ、各コードの担当範囲を明確に区別し、開発を進めることが不可欠です。
FlutterFlow vs 他のローコードツール
ツール名 | FlutterFlow![]() | Glide![]() | Bubble![]() | AppMaster![]() | Adalo![]() |
主な用途 | モバイルアプリ、Webアプリ | モバイルアプリ(データ連携重視) | Webアプリ | モバイルアプリ、Webアプリ、バックエンド | モバイルアプリ、Webアプリ |
特徴 | Flutterベース、UIデザインに強い、Firebase連携 | スプレッドシート連携、シンプル、学習コスト低い | 自由度高い、Webアプリ開発に特化 | バックエンド機能充実、コード生成 | 直感的、テンプレート豊富 |
強み | 美しいUI、クロスプラットフォーム対応、Firebase連携 | 簡単、データ連携が容易、素早くプロトタイプ作成 | 柔軟性、拡張性、Webアプリ開発に特化 | 本格的なバックエンド構築、コード生成 | 初心者でも簡単、デザインの自由度が高い |
弱み | カスタマイズに制限、大規模アプリに懸念 | カスタマイズ性低い、複雑なアプリに不向き | 学習コスト高い、モバイルアプリに不向き | UI/UXデザインの自由度が低い、日本語情報少ない | バックエンド機能が弱い、大規模アプリに不向き |
学習コスト | やや高い | 低い | 高い | やや高い | 低い |
日本語情報 | 少ない | 比較的少ない | 少ない | 少ない | 比較的多い |
Glide
GoogleスプレッドシートやExcelなどのデータを連携させて、簡単にモバイルアプリを作成できるツールです。プログラミングの知識がなくても、直感的な操作でアプリを開発できます。データベースとの連携が容易で、データの入力・更新・表示などを簡単に行えます。シンプルなアプリや、社内ツールなどの開発に適しています。
Bubble
Webアプリケーション開発に特化したプラットフォームです。ドラッグ&ドロップ操作でUIをデザインし、ワークフローを組むことで、複雑なWebアプリケーションを開発できます。データベースやAPI連携など、Webアプリケーションに必要な機能を網羅しており、高い自由度と拡張性が特徴です。
AppMaster
バックエンド機能の構築に強みを持つプラットフォームです。データベース設計、ビジネスロジックの作成、API連携などをビジュアル的に行うことができます。モバイルアプリやWebアプリのバックエンドだけでなく、Webアプリケーション全体の開発も可能です。本格的なアプリケーション開発に向いていますが、UI/UXデザインの自由度は、FlutterFlowに比べるとやや劣ります。
Adalo
FlutterFlowと同様にコンポーネントを配置して開発するツールです。日本語の情報がFlutterFlowと比べると多く存在しています。
まとめ
FlutterFlowは、その直感的なUI、Firebase連携、クロスプラットフォーム対応など、多くの魅力的な機能を備え、アプリ開発の効率化と高品質化を実現します。今後のAI機能強化やAR/VR対応により、さらなる進化も期待されます。
もちろん、大規模アプリ開発への懸念や、カスタマイズの制限といった課題もありますが、FlutterFlowが、今後のアプリ開発の選択肢を広げ、多くの開発者、そして企業にとって、強力なツールとなる可能性は大いにあるでしょう。
「コードを書かずにアプリを作りたい」「アプリ開発のスピードを上げたい」 とお考えなら、ぜひ一度FlutterFlowを試してみてはいかがでしょうか。
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