Webサイトがわりとラクに作れるPower Pagesというツールがありますが、「どういったサイトが作れるのかいまいちわからない…」って思いますよね。
本記事ではPower Pagesを用いた「受発注管理の機能に重点を置いたECサイトの構築」について紹介します。社内でPowerPlatformを活用して何かやりたい!とお考えの方はぜひご覧ください。
Power Pagesとは?中小企業に最適なワケ
Power Pagesは、マイクロソフトが提供するローコード開発プラットフォームです。ノーコード・ローコードでもWebサイトの作成・運用ができます。
GUIで画面を作成できるので、直感的な構築が可能。Power Pagesを使うには、個別で契約するか一部のOfficeソフトを契約するかのどちらかになります。対象のOfficeソフトを契約していれば、追加料金なしでPower Pagesが使える…というイメージ。
ローコード開発とは?
ローコード開発とは、従来のプログラミングのようにコードを大量に書くのではなく、あらかじめ用意された部品(パーツ)を組み合わせることで、素早くシステムを開発する方法です。このため、専門知識がない方でも、比較的容易にシステム開発に取り組むことができます。
なぜ中小企業に最適なのか?
Power Pagesが中小企業に最適な理由は以下の3つです。
- コスト削減:
- 従来のシステム開発は、外部の専門業者に依頼することが多く、多額の費用がかかる。Power Pagesを利用すれば自社内でシステム開発ができるため、大幅なコスト削減が可能。
- 月額のサブスクリプション形式で利用できるため、初期費用を抑えられる。
- スピード:
- ローコード開発なので、専門的な知識やスキルがなくても短期間でWebサイトを作成できる。
- 従来のシステム開発に比べて、開発期間を大幅に短縮できる。素早いリリースが可能。
- 柔軟性:
- Power Pagesは、ドラッグ&ドロップ操作でWebサイトのデザインや機能を自由にカスタマイズできる。
- 自社のビジネスニーズや業務プロセスに合わせて、柔軟にシステムを構築できる。
- 必要な機能を随時追加したり、変更したりすることも容易。
中小企業は、大手企業のように潤沢な予算や専門の人材を確保するのが難しい現状があります。Power Pagesは、そんな中小企業にとって、少ない資源でもDXを推進するための強力な武器となるでしょう。
Power Pagesで受発注ができるECサイトは作れるのか
Power Pagesを活用することで、自社の業務に合わせたECサイトを構築し、受発注業務の効率化を大きく進めることができます。ここでは、Power Pagesで実現できる主な機能を見ていきましょう。
Power Pagesで実現できる主な機能
- ログイン機能: 取引先ごとにアカウントを発行し、セキュアなログイン環境を提供。これにより、不正アクセスを防ぎ、情報を保護する。
- IP制限: 特定のIPアドレスからのアクセスのみを許可することで、セキュリティをさらに強化できる。
- 取引先ごとのアクセス管理: 取引先ごとに閲覧できる商品や価格情報を制限。これにより、取引先ごとに異なる価格設定や商品ラインナップに対応可能。
- 非公開サイト設定: 特定の取引先のみがアクセスできる非公開のWebサイト。これにより、特定の顧客向けの限定的な情報を共有できる。
- 商品検索・表示: 商品名や型番、カテゴリーなどから商品を検索し、一覧表示可能。これにより、取引先はスムーズに商品を探し、発注作業を行える。
- カート機能: 複数の商品をまとめてカートに追加し、一括で発注できる。これにより、発注業務における手間を大幅に削減できる。
- 発注フォーム: 取引先が発注情報を入力するための専用フォームを設置できる。必要な項目をあらかじめ定義することで、入力ミスを防ぎ、正確な発注情報の収集が可能。
- 発注品の登録: 発注した商品をシステムに登録し、発注履歴や進捗状況などを確認できる。これにより、発注状況を可視化し、より適切な在庫管理や生産計画に役立てることができる。
- 発注品の履歴表示: 過去の発注履歴を取引先ごとに確認できるように。これにより、再注文時の手間を省き、過去の取引データに基づいた発注業務が可能。
- 廃盤品の管理と類似品表示機能: 廃盤になった商品をリストから自動的に非表示にし、類似品を提案することで、取引先が誤って廃盤商品を発注することを防ぐ。
ケーススタディ:発注業務効率化の2段階
弊社が過去に対応した事例を紹介します。Power Pagesを活用し、発注業務の効率化を段階的に進めたいというご要望です。
まず、フェーズ1として、以下の機能を実装することで、発注業務の効率化を図りました。
- 取引先がサイト内で発注書の入力を完了できる機能
- サイト内で発注品の登録ができる機能
- 発注書の作成を自動化し、PDFでダウンロードできる機能
- 発注履歴をサイト内で確認できる機能
そして、フェーズ2では、さらに効率化を進めるために、以下のような機能も実装。
- API連携による外部システムとのデータ連携
- 見積書作成からPDF発行までの自動化
これらの機能を実装することで、手作業による入力ミスを減らし、発注業務の効率が大幅に上がりました。また、情報の一元管理により情報共有がはかどり、より効率的に業務が行えるようになりました。
Power PagesとSharePointの連携
Power Pagesは、単独でも強力なWebサイト構築ツールですが、SharePointと連携することで、情報共有をさらに強化することができます。SharePointは、ファイル共有やチームでの情報共有に強みを持つプラットフォームです。Power Pagesと連携することで、より効果的な情報発信や業務プロセス構築を実現できます。
連携のメリット
- 学習コストが低い: SharePointは多くの企業で利用されており、多くのユーザーが基本的な操作に慣れています。そのため、Power PagesとSharePointを連携させる際、新たな操作を覚える必要が少なく、導入や利用がスムーズに進みます。
- 簡単な導入で済む: Power Pagesは、SharePointとの連携が容易です。特別な設定や複雑な手順を踏む必要なく、簡単にデータや情報を共有できます。既存のSharePoint環境がある場合は、より簡単に導入できます。
- ワークフロー構築が容易: Power PagesとSharePointを連携させることで、Power Automateを活用したワークフローの構築が容易になります。例えば、Power Pagesで入力された情報をSharePointリストに保存し、その情報を基に自動で承認プロセスを開始する、といった高度な業務プロセスを構築できます。
SharePoint連携の具体的な活用例
- 商品情報の共有: SharePointリストに登録した商品情報をPower Pagesで表示させることができます。価格や在庫状況などを常に最新の状態に保つことができます。
- 契約書や資料の共有: SharePointに保存された契約書や資料を、Power Pages上で取引先がダウンロードできるようにすることができます。
- お問い合わせフォームの作成: Power Pagesで作成したお問い合わせフォームから送信された情報をSharePointリストに保存し、管理することができます。
Power PagesとSharePoint連携のポイント
- Power Pagesのデータソースとして、SharePointリストを選択することで、簡単にデータ連携できます。
- Power Automateを活用することで、SharePointとPower Pagesの間でデータのやり取りやワークフローを自動化できます。
- SharePointのアクセス権限設定を活用することで、Power Pagesからの情報共有範囲を適切に制御できます。
Power PagesとDataverseの連携
Power Pagesは、SharePointとの連携だけでなく、Dataverseとの連携によって、より高度なデータ管理とセキュリティを実現できます。Dataverseは、Power Platformの中核となるデータベースサービスであり、業務アプリケーションに必要な様々な機能を提供します。
Dataverse連携のメリット
- ユーザー管理の容易さ: Dataverseを利用することで、ライセンスを持たないユーザーでも、セキュリティロールを活用してアクセス権限を柔軟に管理できます。これにより、システムへのアクセスを効率的にコントロールできます。
- 複雑なデータ構造の構築: Dataverseはリレーショナルデータベースのような構造で、複数のテーブル間に関係性を定義できます。そのため、複雑なデータ構造を柔軟に扱い、効率的なデータ管理が可能です。
- データの柔軟な統合: Dataverseは、APIを通じて外部システムとの連携が容易です。異なるシステムに分散しているデータを一元的に管理し、システム間のデータ連携をスムーズに行えます。
- 高いセキュリティ基準の適用: Dataverseは、Microsoftの堅牢なセキュリティ基盤上で運用されており、高いセキュリティ基準を満たしています。企業が扱う機密情報を安全に管理し、情報漏えいのリスクを最小限に抑えることができます。
Dataverse連携の具体的な活用例
- 顧客管理: 顧客の基本情報、購入履歴、問い合わせ履歴などをDataverseに一元管理し、Power Pages上で顧客情報を閲覧・編集できます。
- 商品管理: 商品名、価格、在庫数、画像など、商品の詳細な情報をDataverseに登録・管理し、Power Pages上で商品情報を表示できます。
- 発注管理: 発注情報、見積情報、請求情報など、発注に関するデータをDataverseに一元管理し、Power Pages上で発注履歴やステータスを確認できます。
Dataverse連携のポイント
- Power PagesのデータソースとしてDataverseのテーブルを選択することで、高度なデータ操作が可能です。
- Dataverseのセキュリティロールを活用することで、ユーザーごとに異なるアクセス権限を細かく設定できます。
- Power Automateと連携することで、Dataverseのデータ変更時に自動的にワークフローを実行できます。
DataverseとPower Pagesを連携させることで、高度なデータ管理と強固なセキュリティを実現できます。これは、単なるECサイト構築を超え、企業の基幹システムとしての役割も担える可能性を示唆しています。
Power Automateとの連携
Power Pagesで構築したECサイトは、発注業務を効率化するための強力な基盤となります。しかし、さらに業務効率化を加速させるためには、Power Automateとの連携が不可欠です。Power Automateは、Power Platformにおけるワークフロー自動化サービスであり、Power Pagesと連携させることで、さまざまな業務プロセスを自動化できます。
Power Automate連携による自動化の例
- 見積書作成の自動化: Power Pagesで発注情報が入力されたら、その情報をもとに自動で見積書を作成し、PDF形式で取引先に送信します。手作業による見積書作成の時間を大幅に削減できます。
- 発注書作成の自動化: 見積書が承認されたら、自動的に発注書を作成し、システムに登録します。発注担当者の負担を軽減し、発注漏れを防ぎます。
- 承認フローの自動化: 発注金額に応じて、自動的に承認フローを実行します。上長承認が必要な場合でも、承認作業をスムーズに行えます。
- 発注通知の自動化: 発注が完了したら、自動的に取引先に発注通知メールを送信します。これにより、発注状況をリアルタイムで伝えることができます。
- 在庫連携の自動化: 発注情報を基に、自動的に在庫を更新します。常に最新の在庫情報を把握し、過剰発注や在庫切れを防ぎます。
- データ連携の自動化: Power Pagesに入力された情報を、他のシステム(会計システム、在庫管理システムなど)に自動的に連携します。複数のシステム間でデータを手動で転記する手間を省き、データの一貫性を保ちます。
Power Automate連携のメリット
- 手作業の削減: ルーティンワークを自動化することで、社員はより創造的な業務に集中できるようになります。
- 業務効率の向上: ワークフローを自動化することで、業務プロセスを迅速化し、ミスを減らすことができます。
- コスト削減: 手作業による人件費を削減し、より少ない人数でより多くの業務をこなすことができます。
- リアルタイムな情報共有: システム間のデータ連携を自動化することで、常に最新の情報を共有できます。
Power Automate連携のポイント
- Power Pagesでトリガーを設定し、Power Automateのフローを開始できます。
- Power Automateのコネクタを活用することで、様々なシステムやサービスと連携できます。
- 条件分岐や繰り返し処理などの高度な制御を実装することで、複雑なワークフローも自動化できます。
このように、Power AutomateとPower Pagesを連携させることで、発注業務の自動化を徹底し、より効率的でミスの少ない業務プロセスを実現できます。
Power Pagesを使った内製化。自社でシステムを開発・運用するメリットとは?
Power Pagesは、ローコード開発プラットフォームとして、専門的なプログラミングスキルがなくてもWebサイト構築を可能にします。この特性を活かすことで、外部に委託せず、自社内でシステムを開発・運用する「内製化」を実現できます。内製化には、多くのメリットがあり、企業の成長に大きく貢献します。
内製化の主なメリット
- コスト削減:
- 外部のシステム開発会社に委託する場合、高額な開発費用や運用保守費用が発生します。Power Pagesを活用して内製化を進めることで、これらの費用を大幅に削減できます。
- 特に中小企業では、限られた予算内でシステムを構築する必要があるため、内製化によるコスト削減効果は非常に大きいです。
- 開発期間の短縮:
- 外部委託の場合、要件定義、設計、開発、テストなど、多くの段階を経てシステムが完成するため、開発期間が長期化しがちです。
- 内製化であれば、自社のペースで開発を進められるため、スピーディーにシステムを構築できます。
- Power Pagesのローコード開発の特徴を活かせば、より短期間でシステムを構築できます。
- 柔軟なシステム改修:
- 外部委託の場合、仕様変更や機能追加を行う際に、追加費用や時間がかかる場合があります。
- 内製化であれば、自社の状況に合わせて柔軟にシステムを改修できます。
- Power Pagesの簡単な操作性により、現場の担当者でもシステム改修に携わることができます。
- 業務効率化への貢献:
- 外部委託の場合、完成したシステムが自社の業務プロセスに合わない場合もあります。
- 内製化であれば、自社の業務に合わせたシステムを開発できるため、業務効率を最大限に高めることができます。
- 現場の担当者が主体的にシステム開発に関わることで、より使いやすいシステムを作れます。
- ノウハウの蓄積:
- 自社でシステムを開発・運用することで、Power Pagesに関するノウハウや技術が社内に蓄積されます。
- これにより、今後のシステム開発や運用において、より自立した体制を構築できます。
- また、Power Platform全体の知識向上にもつながります。
内製化における注意点
内製化は多くのメリットがある一方、以下の点に注意が必要です。
- 初期の学習コスト: Power PagesやPower Automateの使い方を学ぶための時間が必要です。
- 技術的なサポート: 高度なカスタマイズや複雑なワークフローを構築する場合、専門家のサポートが必要になることがあります。
- 人材育成: 内製化を継続するためには、Power Platformの知識を持つ人材を育成する必要があります。
まとめ
この記事では、Power Pagesを活用したECサイト構築と、発注業務効率化の可能性について解説しました。Power Pagesは、ローコードでWebサイトを構築できるため、中小企業でも手軽にECサイトを内製化できます。
また、Power PagesとPower Automate、DataverseといったPower Platformの各サービスを組み合わせることで、業務効率化、データの一元管理、セキュリティ強化など、さまざまなメリットを享受できます。
特に、手作業による非効率な発注業務に課題を感じている企業様にとって、Power Pagesは強力な解決策となるでしょう。
ファンリピートでは、Power Pagesの導入から運用まで、お客様のニーズに合わせた最適なサポートを提供しています。
ぜひお気軽にご相談ください。