Microsoftは2023年12月に法人向けAIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」を発表、また2014年1月には個人向けの「Copilot Pro」をリリースしました。
両社とも、これからのビジネスパーソンにとって必要不可欠なツールになる可能性があります。上手く使うことでWordを用いる作業を効率化できます。
どうやってWordにCopilotを導入するの?
どんなWordの業務を効率化できるの?
このような悩みをお持ちの方もいるかもしれません。
そこで今回は「WordにCopilotを追加する方法」「具体的に効率化できるWordを用いた業務」について、実際に登録・活用しつつ紹介します。
法人・個人問わず、社内で文書作成業務に励んでいる方必見です。気になる方は、この記事を読んだうえでインストールを検討してください。
Microsoft 365 Copilotとは
Microsoft 365 Copilotは、Microsoft社のアプリケーションでAIアシスタントを活用できる有料プランです。法人向けとなっています。
OpenAI社のGPT-4をベースにしたLLM(大規模言語モデル)を搭載しており、自然言語で会話をしながら業務を推進できます。
料金は年額45,000円です。1年単位か3年単位で一括払いができます。月額にすると3,750円となります。
Microsoft 365 Copilotは、主に以下のMicrosoft 365(旧Office)アプリケーションにAIアシスタントを組み込めます。
- Word
- Excel
- PowerPoint
- Outlook
- Teams
- OneNote
- Loop
- ホワイトボード
特にWordを用いた業務では「文書作成のためにAIから示唆を受け取る」「文章の要約・校正をしてもらう」といった使い方ができます。
Copilotと何が違うのか
Microsoftは2023年2月からCopilot(旧Bing Chat)というツールを提供していました。現在もBingの検索エンジン上などから無料で使えます。
Microsoft 365 CopilotとCopilotの違いは以下です。
Microsoft 365 Copilot | Copilot(旧Bing Chat) | |
利用環境 | アプリで使う | Webブラウザ上で使う |
参照データ | GPT-4の膨大なデータ+Microsoft 365内に保存された情報にアクセスできる ※プラグインを使えばWeb上のデータを参照できる | GPT-4の膨大なデータ+Bing内に公開された情報 |
ライセンス | Microsoft 365のライセンスが必要 | Microsoftアカウントのみ |
費用 | 有料 | 無料 |
CopilotがWebブラウザ上で用いるツールだったのに対して、Microsoft 365 Copilotはアプリケーション上で使います。より実務に適したツールです。
また「参照データ」が違います。CopilotはGPT-4や、Webブラウザ上のオープンなデータを元にしているのが特徴です。
一方でMicrosoft 365 Copilotの場合は、社内のクローズドなデータも学習します。過去に作成したExcel、Word、PowerPointなどを参考にしながら業務を進められるため、より実務で使いやすく設計されています。
Copilot Proとは
Microsoft社は個人向けの有料プランとして「Copilot Pro」を発表しています。無料のCopilotと比較すると以下の点で違いがあります。
Copilot | Copilot Pro | |
利用ピーク時の対応 | CPT-4、GPT-4 Turbo以外を利用 | CPT-4、GPT-4 Turboを優先的に利用 |
画像生成 | 1日当たり15ブースト | 1日あたり100ブースト 横長形式のAI画像を迅速に生成 |
Microsoft 365製品との連携 | できない | Word、Excel、PowerPointをはじめとしたアプリが対応 |
利用者にカスタマイズ | できない | Copilot GPT Builderで構築できる |
料金 | 無料 | 月額3,200円 |
※ブーストは画像数ではなく、生成するためのターン数を指す。
登録することで、Microsoft 365のアプリケーション上で、AIアシスタントを使えるようになります。また画像生成の自由度も高まるのが価値です。フリーランスの業務効率化に貢献してくれます。
Copilot Pro Wordの使い方
Copilot Pro Wordの使い方を紹介します。
前提としてCopilot Proに登録するためには、Microsoft 365のPersonalプラン、もしくはFamilyプランへの加入が必須です。Personalプランは月額1,490円、Familyプランは月額2,100円かかります。
Business Standardなど法人向けプランに加入している場合は「Microsoft 365 Copilot」の導入を検討してください。
1. サブスクリプションに登録しWordの設定を変更する
まずは月額3,200円のサブスクリプションプランに登録しましょう。登録後7日間はお試し期間となっており、解約しても払い戻しを受けられます。
サブスクライブが完了したらWordを立ち上げます。「ファイル」タブから「アカウント」を開き「ライセンスの更新」をクリックしてアップデートしましょう。
すると、Word上にCopilot Proのアイコンが表示されるようになります。また初回の際には「Copilotを使って下書き」という画面が登場します。これでセットアップは完了です。
2. 右側に表示されるパネルから質問をする
Copilotのアイコンをクリックすると、右側にパネルが登場します。チャット欄から自然言語で指示を出すことで利用する形です。
その後は「資料の原案を作ってもらう」「長い文章を要約してもらう」などで活用していきましょう。
Copilot Pro×Wordでできること
では実際の活用方法を紹介します。Copilot Pro Wordを使用することで「文書の原案の作成」「文書の校正・要約」といった作業をAIアシスタントに任せられます。
文書の原案の作成する
Copilot Wordに指示をすることで、すぐに文書の原案を作成してくれます。例えば以下のプロンプトを投げかけてみましょう。
社内向けの会議資料を作成します。社内業務のうち、非効率な仕事を洗い出し、具体的な効率化の手段をまとめたいです。
すると、すぐに以下の文書ができました。
もちろん完成したわけではなく、この後は人間でチェックして質を高める必要があります。ただし原案を書いてもらうことで、資料の作成時間を大幅に短縮できます。
長文を要約する
また記事や参考資料などの長文の文書を要約してもらうことも可能です。Word上に文書を記載し、パネル上で「このドキュメントを要約する」と指示を出します。
すると、以下のようにパネル上で要約した文章を提案してくれます。
また「さらに短くする」など、調整することも可能です。他人が作った資料を把握する時間を短縮できるほか、自分で書いた文章をサマリでまとめる際にも使えます。
校正・書き換えをする
また文章を書き換えてくれる機能もあります。編集したい文章を選択して、右クリックをすると「Copilotを使って書き換え」というボタンが出ます。
すると以下のように提案してくれます。あとは「置換」をクリックするだけで簡単に文書の書き換えができます。文章が苦手な方でも、伝わりやすい言葉に置き換わるのがメリットです。
Copilot Pro Wordの注意点
実践するに当たって、注意すべき点を紹介します。必ず事前に確認をしたうえで利用しましょう。
必ずしも正しい情報とは限らない
Copilot Wordで生成した文章は、必ずしも正しい情報だけではありません。時に間違った情報をアウトプットする可能性があります。そのため、利用する際には人間の目でレビューをしましょう。
「Copilot」とは「副操縦士」という意味です。つまり利用者が操縦士であり、マネジメントをする必要があります。
校正した文章が読みやすいとは限らない
Copilot Wordに書き直してもらった文章が読みやすいとは限りません。傾向として、仰々しい表現を担ってしまうことがあります。
文書を作成する場合は「ドキュメントをつくる目的」と「読んでもらう相手」が存在します。場合によっては、少しくだけた表現のほうがフィットすることもあるでしょう。
Copilotを用いると、良くも悪くも同じような文体になってしまいます。情報の正誤性だけでなく、文体についても人間の目で確認しましょう。
まとめ
今回はMicrosoft社がリリースした法人向けCopilotの「Microsoft 365 Copilot」、個人向けの「Copilot Pro」をWordで用いる方法について解説しました。
文章を書く作業は社内のどの部署にも通ずる部分です。また時間がかかりがちなタスクでもあります。Copilotを使うことで、業務効率化を実現できるのが魅力です。気になる方はぜひ導入してみてください。
ただし最終的に人の目でレビューをすることを忘れないようにしましょう。うまく利用することでドキュメントの質を落とすことなく、業務効率化を実現できます。