kintone(キントーン)はサイボウズ株式会社が提供する、業務アプリ構築クラウドサービス。誰でもかんたんに業務アプリ開発ができるため、業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)に役立ちます。
ただ、以下のような疑問を持つ方は少なくありません。
kintoneは実際のところ何が作れるの?
そもそも何を改善したら良いかわからない
そこで本記事では、ノーコード・ローコード開発を手掛けるBOLTが、kintoneを使うと具体的にどのような業務アプリが開発できるか、実際の開発事例をもとに解説していきます。
すでにkintone導入済みの部門ご担当者様はもちろん、現在kintoneをはじめ、業務アプリ開発をご検討中のご担当者様は、ぜひ最後までご覧ください。
kintone(キントーン)開発で実現できることとは?
kintoneを活用することで、業務効率改善に役立つ業務アプリ開発が可能です。
本項では、kintone開発で実現できることの事例を解説します。
- 業務の自動化
- 業務の見える化
- 情報の集約
- 作業の省力化
業務の自動化
毎回同じ業務をやるのは正直面倒ですよね。そうしたときにこそ業務の自動化がおすすめです。
自動化や繰り返し処理は、プログラミングの得意領域。業務ごとにワークフローを作成することで、ボタンひとつで作業の自動化が可能になります。
kintoneを使えば、複雑なワークフローの設計も、直感的な操作だけで設定できます。
今まで丸一日費やしていた業務がわずか数分で解決できるようになったという話は良く聞きますし、空いた時間で別な業務を行うことが可能です。
業務の見える化
kintoneを使えば、タスク進捗や業績進捗などの見える化が可能です。特に、テレワークが普及したことで「メンバーのタスク状況が把握できない」「確認に手間がかかる」といった悩みを持つ管理職の方が増えています。
kintoneでは、各担当者が個人単位で入力した作業量や、完了したタスクをリアルタイムに反映可能。処理状況はグラフでひと目で把握できるため、メンバーの状況確認を効率的に行えます。
情報の集約
Excelデータや資料など、社内に情報が散らばり最新情報かどれかわからないといった悩みも、kintoneを活用することで情報をひとまとめにできます。
例えば
- 社内ポータル
- FAQ・マニュアル
- ファイル管理
といったように、社内に眠る情報を同じ場所に蓄積し続けることが可能です。
作業の省力化
仕事は時間を掛けることよりも、短時間で高い成果をあげることが求められます。そのため、同じ業務・作業でもいかに時間を短縮させるかが重要です。
例えば、日報や報告書など、人によってフォーマットや記載内容がバラバラだと、分かりにくく集計がしにくいといった問題があります。
kintoneを活用することで、入力フォームを統一化が可能になるため、入力作業の省力化が実現します。管理者も情報の集計がしやすくなるため、管理業務の省力化に繋がります。
kintone(キントーン)を使った業務アプリ開発事例を紹介
kintoneでは、実際にどのような業務アプリが作れるのでしょうか。
本項では、ビジネスのDX推進に役立つ業務アプリ開発事例を紹介します。
その他、具体的な開発方法・手順について知りたい方や、自社の業務に役立つアプリを開発したいという方はお気軽にご相談ください。
- 乱立する社内情報を、Kintoneに集約したことで月間1300時間の削減
- タスクの見える化で残業をゼロに。生産性向上により創業以来最高の売上を記録
- マニュアルや各種申請の一括管理により、働き方の多様化に対応
乱立する社内情報を、kintoneに集約したことで月間1300時間の削減
リゾートバイトに特化した人材派遣事業をメインに手掛ける株式会社ダイブは、求人サイトを通じて派遣希望者とリゾート施設をマッチングし、さらに派遣先での勤怠状況を管理するといった事業を手掛けています。
当初の課題
採用担当者によって、派遣登録者とのやり取りがバラバラで、運用ルールが統一されていないといった課題がありました。
kintoneで何を開発したか
求人サイトからの応募情報を自動でkintoneに取り込まれ、面談対応履歴から、採用後の派遣先決定、給与支払にいたるまで、事業に関わるすべての業務フローをkintoneに集約する業務アプリを開発しました。
実現したこと
最新の共通データを常に関係者全員が確認できるようになったことで、業務効率が飛躍的に向上。
さらに、LINEと連携することで、登録者情報が自動的に取り込めるようになり、手入力が不要に。月間300時間の削減にも繋がりました。
また、以前は求人サイトやスプレッドシートなど、他システムにそれぞれ入力が必要だったものが、kintoneの情報を更新するだけで全てのシステムに反映されるようになり、作業時間の短縮や質の向上も実現しています。
タスクの見える化で残業をゼロに。生産性向上により創業以来最高の売上を記録
大正8年に創業、100年以上の歴史を持つ株式会社京屋染物店は、浴衣などのお祭り用品のオーダーメイドを中心に、染物のデザインから縫製までワンストップで手掛けています。
時代にニーズに合わせ、現在では染色以外の業務も内製化を図り、営業やデザイン部門を立ち上げるなど事業拡大を図りました。
当初の課題
部署や従業員間の情報共有やコミュニケーションがうまくいかず、注文の納期や、作業進捗が見えないといった課題がありました。その結果、本来であれば受けられた注文も断ってしまうという状況が発生していました。
kintoneで何を開発したか
受注管理・販売管理・見積書作成などの業務を中心に13個のアプリを開発しました。
特に受注管理アプリに関しては、今まで紙で管理していた案件管理・作業工程管理をすべて統合し、関係者全員がリアルタイムに進捗確認が出来るようになりました。
実現したこと
受注から納品までの全工程を全員がひと目で把握できるようになったことで、負担が増えている部署を手伝うなどの協力体制が生まれました。
その結果、大幅な納期短縮を実現。以前は深夜残業もありましたが、現在ではほとんどが17時に終業できるようになりました。
さらにシステム上での情報共有や、部署をまたいだコミュニケーションが活発になったことで、キャッシュフローが改善。kintone導入後の繁忙期において、過去最高の売上を記録しました。
マニュアルや各種申請の一括管理により、働き方の多様化に対応
社会福祉法人生活クラブ風の村では、高齢者や子育て支援を中心とした事業を展開し、80を超える事務所で1800名が働いています。
事業規模の拡大に伴い、全体での情報共有が難しくなり、さらに従業員一人ひとりの働き方の多様化に柔軟に対応するために、デジタルツールの導入を検討しました。
当初の課題
従来経営会議で決まったことを、各事業所の所長から紙や口頭にて伝えられていました。しかしながら、十分に伝わっていないケースが見受けられました。
さらに、業務マニュアルも紙で作成・保管されているため、更新が行き届いておらず、現場によってはマニュアルが機能しないといった実態がありました。
kintoneで何を開発したか
デイサービスやショートステイといった事業ごとに用意された「マニュアル共有アプリ」、就業規則や注意喚起といった「お知らせアプリ」、本部会議室の「会議室予約アプリ」などを開発。
従来の紙や口頭で行っていたことを、全てシステム情報で申請・通知ができるようになりました。
さらにモバイルでもアクセスできるようにし、従業員1800名がいつでも・どこでも利用できる仕様となっています。
実現したこと
今まで紙で行っていた申請を電子化したことで、紙の印刷や書類の保管スペースが削減されました。
また、従来の紙書式をそのまま電子化しているため、システム操作が苦手な年配スタッフでもすぐに使い方に慣れたため、従業員からの不満もなかったようです。
移動中や外出中でも申請できるようになったことで、申請業務の負担が減り、全体的な労働時間短縮にも繋がっています。
kintone(キントーン)の開発時のポイント
「kintoneを使えば業務に役立つアプリを作れることはわかるけど、実際にどのような流れで開発を進めたらいいかわからない」
といった方に向けて、開発時のポイントを解説します。特に、業務アプリ開発において重要なのは「設計」です。
例えば、家を建てるときも、設計図や工程表をもとに、各職人さんが作業していきますよね。
アプリ開発も同様で、思いつきのまま開発を進めてしまうと、やり直しが必要になったり、完成後に上手く動作しないといった状況が発生しかねませんので注意が必要です。
- 自動化・見える化・情報集約ができる業務がないか考える
- 開発前に設計書を作る
- 設計書をもとに実装していく
自動化・見える化・情報集約ができる業務がないか考える
はじめに、自部署や自分が日々行っている業務の中で、デジタル化できる業務がないか考えることをおすすめします。
- ルーティン業務であれば自動化
- 工程管理・進捗確認であれば見える化
- マニュアル・ナレッジであれば情報集約
など、業務とカテゴリーを分類することで、デジタル化すべき業務が見えてきます。
その上で、開発すると社内インパクト(影響力)が大きい業務を選ぶと良いでしょう。
開発前に設計書を作る
何を開発するか決めたら、続いて設計書を作成します。設計書もはじめはホワイトボードなどでラフ案を出しながら、どんな機能が必要かを検討します。
自分一人では抜け漏れが生じやすいので、複数名で意見を出し合うことで抜け漏れがなくなります。
ラフが出来たら、詳細の設計書作成に入ります。
設計書をもとに実装していく
設計書をもとに、実際にkintoneで開発していきます。
kintoneの操作がわからない方は、専任担当者に質問をするか、公式サイトにある資料・動画コンテンツで学習をおすすめします。
また、kintoneでは独自の認定制度も設けていますので、専任の開発担当者を決めることで、開発業務の内製化を図ることも可能です。
必要に応じてプラグインやAPI連携を活用する
kintoneでは、プラグインや外部サービス連携(API連携)によって、拡張機能を導入することが可能です。
拡張機能を活用することで、外部サービスとkintoneをシームレスに遷移できるなど、使い勝手が格段に向上します。
現在ほかのサービスを利用していれば、kintoneと連携できないか確認してみると良いでしょう。
まとめ|kintoneを使えば非エンジニアでも業務アプリを開発可能
本記事では、kintoneを使った業務アプリは具体的にどのようなものが開発できるのか、実際の開発事例をもとに解説してきました。
- 業務の自動化・見える化・省力化が実現できる
- コスト削減・売上拡大に繋がる
- 自社でそのまま使える参考事例が豊富にある
また、kintoneはノーコード/ローコードでアプリ開発ができるため、
- 社内に開発部門がない
- 開発予算が掛けられない
といった場合において、有効な手段となります。