本記事では「Teams や Outlook のカレンダーでスケジュール管理をしているメンバーの日程調整が簡単にできるアプリ」をご紹介します。
Power Appsで日程調整アプリを作るメリット
Power Appsで日程調整アプリを作成することで、様々なメリットが得られます。従来の日程調整業務における課題を解決し、業務効率化、コスト削減、そして社員の満足度向上に繋がるでしょう。
1. すぐ作れる
1時間もあれば作れると思います。2つのスクリーンしかないですし複雑な処理とかもありません。状況に応じて様相を追加・変更すれば色々カスタマイズできます。
誰でもサクッとアプリをカスタマイズできるのが良い点です。PowerAppsにおいては「作った本人に聞かないとわからないよ…」はあまり発生しませんからね。
2. 柔軟なカスタマイズができる
Power Appsは、ドラッグ&ドロップで簡単にアプリをカスタマイズできます。参加者数、日程候補の数、通知方法など、あなたのビジネスニーズに合わせたアプリを自由に設計できます。既存システムとの連携も容易なので、既存のワークフローを維持したまま、効率化を図れます。
3. リアルタイム情報共有ができる
アプリ上でリアルタイムに予定を確認・共有できるため、メールのやり取りによる遅延や情報の食い違いを解消できます。参加者全員が同じ情報を確認できるため、迅速かつ正確な日程調整が可能です。
4. Power BIでデータが見れる
アプリで収集された日程調整データは、Power BIと連携して分析できます。参加者ごとの出席率、人気の日程パターンなどを分析することで、今後の日程調整戦略に役立てることができます。Dataverseと連携すれば、さらに高度なデータ分析が可能になります。
5. セキュリティ的に安心
Power Appsは、Microsoftの堅牢なセキュリティ基盤上で動作するため、機密情報の取り扱いも安心です。アクセス権限を細かく設定することで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
作り方とか
- データ構造の設計
まず、スケジュールデータを保存するためのデータソースを選びます。
候補:- SharePointリスト(推奨、特にMicrosoft 365環境に慣れている場合)
- Dataverse(Power Platform全体の連携が必要な場合)
- ExcelやGoogleスプレッドシート(簡易プロジェクトの場合)。
- タイトル: イベントや会議の名前。
- 日付: スケジュールの日付。
- 時間帯: 開始時間と終了時間。
- ステータス: 「空き」「予約済み」など。
- 参加者: 予約者の名前またはグループ。
2. Power Appsでアプリを作成
2.1 キャンバスアプリを作成
- Power Apps Studioにアクセス。
- **「キャンバスアプリの作成」**を選択し、スマートフォン向けまたはタブレット向けを選ぶ。
- アプリの名前を「日程調整アプリ」に設定。
2.2 データソースの接続
- 左のメニューから「データ」を開き、「データソースを追加」をクリック。
- SharePointリストまたは選んだデータソースを接続。
- スケジュール管理に必要なリストを選択。
3. UI(ユーザーインターフェース)の作成
3.1 日程表示用の画面を追加
- 「ギャラリー」コンポーネントを挿入し、予約一覧を表示:
- Itemsプロパティに次のPower Fx式を設定:PowerAppsコードをコピーする
Filter(ScheduleList, Date = DatePicker.SelectedDate)
- これにより、選択した日付の予約データのみが表示されます。
- Itemsプロパティに次のPower Fx式を設定:PowerAppsコードをコピーする
- カレンダー:
- 「日付選択」用のコンポーネントを追加(例: Date Picker)。
- ボタンの追加:
- 新規予約用の「+予約」ボタンを配置し、フォーム画面にナビゲートするよう設定。
3.2 新規予約フォームの作成
- 「編集フォーム」を挿入し、データソースに接続。
- 必要なフィールド(タイトル、日付、時間帯、参加者など)を追加。
- 「送信」ボタンを作成し、以下の式をOnSelectプロパティに設定:PowerAppsコードをコピーする
Patch( ScheduleList, Defaults(ScheduleList), { Title: TextInput1.Text, Date: DatePicker1.SelectedDate, Time: TextInput2.Text, Participant: User().FullName, Status: "予約済み" } )
- これにより、入力されたデータがリストに保存されます。
4. Power Automateを使用した通知フロー
4.1 フローの作成
- Power Automateにアクセスし、「自動化フロー」を作成。
- トリガー: 「SharePointアイテムが作成または変更されたとき」を選択。
- アクション:
- 参加者にメールまたはTeamsメッセージを送信。
- メールの件名に「日程調整の確認」などを設定。
5. テストとデプロイ
- フォームが正しく機能するか確認。
- データが正しく保存されるか、通知が適切に送信されるかテスト。
- 完成後、「ファイル」 > 「公開」でアプリを配布。
使い方
- 「日程調整」で候補日や会議時間を設定。
- 出席者を検索し、追加。
- 「空き時間を確認」で全員の空き時間を自動表示。
- 候補日を選択し、テキストやTeams会議リンクを共有。
- 「送信」で会議スケジュールを送信。
既存システムとの連携
Power Apps の真価を発揮するには、既存のシステムと連携させることが重要です。 既存システムとの連携により、データの二重入力などを削減し、シームレスなワークフローを実現できます。 ここでは、Power Apps 日程調整アプリと連携できる代表的なシステムと、連携によるメリットをご紹介します。
1. Microsoft 365 カレンダーとの連携
Microsoft 365 カレンダーと連携することで、Power Apps で作成した日程調整アプリと既存のカレンダーを同期できます。 これにより、アプリ上で作成した予定が、Microsoft 365 カレンダーにも自動的に反映されます。 逆に、Microsoft 365 カレンダーに登録された予定も、アプリ上で確認できるようになります。 データの二重入力の手間を省き、常に最新の情報にアクセスできます。
メリット:
- データのリアルタイム同期: アプリとカレンダーの予定が常に同期されるため、情報の一貫性が保たれます。
- 予定の重複防止: 既存カレンダーの予定と重複する予定の作成を防ぎます。
- 使い慣れたインターフェース: Microsoft 365 カレンダーの使い慣れたインターフェースを利用できるため、ユーザーの学習コストを抑えることができます。
2. Microsoft Teams との連携
Microsoft Teams と連携することで、アプリから直接 Teams のチャットや会議を開始できます。 予定の変更や追加情報などを、Teams でチームメンバーと迅速に共有できます。 これにより、コミュニケーションの効率化を図り、よりスムーズな日程調整を実現します。
メリット:
- 迅速な情報共有: アプリから直接 Teams にアクセスできるため、情報共有がスムーズになります。
- コミュニケーションの効率化: メールのやり取りを減らし、コミュニケーションの効率化を図ります。
- リアルタイムな情報伝達: Teams の通知機能を活用することで、重要な予定の変更などをリアルタイムに通知できます。
3. Outlook との連携 – メールとの連携で効率化!
Outlook と連携することで、アプリから直接メールを送信できます。 予定の招待状や変更通知などを、Outlook を使って簡単に送信できます。 また、Outlook の予定情報とアプリの予定情報を同期することで、データの一元管理を実現できます。
メリット:
- メール送信の効率化: アプリから直接メールを送信できるため、メール作成の手間を削減できます。
- データの一元管理: アプリと Outlook の予定情報を同期することで、データの整合性を保ちます。
- 既存ワークフローの維持: 既存のメールワークフローを維持したまま、日程調整アプリを活用できます。
まとめ
本記事では、空き時間の確認、会議作成、通知までを一括で実現する日程調整アプリの作り方などを解説しました。
内容にもよりますが、今回紹介したようなアプリであれば1~2時間あれば完成するでしょう。日常業務の効率化にぜひ活用していただければと思います。
弊社ではPowerAppsなどのローコード開発プラットフォームを用いた開発支援を行っています。最終的に自社開発が可能なレベルまで並走することも可能なので、ご興味あればご相談ください。