生産性向上の課題とは?よくある課題と対策法をわかりやすく解説

企業活動において「生産性向上」は急務となっています。

昨今、業務補助のためのデジタルツールやAIなどが登場し、生産性を高めるためのアクションを取りやすくなりました。しかし、まだまだ生産性が低い企業は多いといえます。そもそも課題自体を理解できず、プロジェクト自体が頓挫してしまうケースもあります。

そんななか「生産性向上の課題とは何か?」「課題に対してどう対策をすべきか」など、悩んでいる経営者、マネジャーの方も多いでしょう。

そこで今回は、システム開発によって数々の企業の生産性を高めてきたファンリピートが「生産性向上の課題」について解説します。日本の現状から、具体的な課題、対策、成功事例を紹介しますので、参考にしてみてください。

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目次

そもそも生産性とは?定義から解説

はじめに「生産性」の言葉の定義から紹介します。生産性とはヒト、モノ、カネなどの投入に対して、生み出せたものの量を指す言葉です。

生産性を算出する際の式は以下です。

アウトプット量(成果物の量) - インプット量(ヒト・モノ・カネの投入量) = 生産性

つまり生産性を高めるためには、「インプット量を保ったままアウトプット量を増やす」か「アウトプット量を保ったまま、インプット量を減らす」の2つの手段があります。

生産性向上の具体例は以下です。

インプット量を保ったままアウトプット量を増やすアウトプット量を保ったままインプット量を減らす
製造業において手動から自動に切り替えることで、同じ時間でも倍の成果物ができるようになった企業が社内の書類承認プロセスをデジタル化することで書類確認・承認時間を減らせた
営業活動にCRMを組み込むことで、同じ営業担当者が1.5倍の顧客にアプローチできるようになった小売業がデータ分析を用いて在庫管理を最適化することで商品補充のコストを削減できた
マーケティング部門が、生成AIを用いて広告のコピーを考えることで10倍のアイディアが出るようになった研修プログラムをオンラインにすることで対面での移動コストを削減できた

こうしたアプローチをとることで、生産性が高まり、企業活動の無駄を省けます。

日本の生産性が伸び悩んでいる理由とは?

生産性の向上は、企業の成長に欠かせない観点です。一方でこれだけデジタル化が進んだ現在、日本ではまだまだ生産性が伸び悩んでいます。

1人あたりの労働生産性は1996年以降ほぼ横ばいで、他国に比べて伸び悩んでいるのが現状です。

その理由は、以下の4点だと考えられています。

  • 非正規雇用が増えたから?
  • 雇用の流動性が低いから?
  • アナログ業務が根付いているから?
  • 仕事への対価が低いから?

それぞれ、詳しく紹介します。

非正規雇用が増えたから?

日本の非正規雇用労働者は、2010年以降増加が続き、2020年、2021年は減少しましたが、2022年以降は増加しています。

参考:厚生労働省「「非正規雇用」の現状と課題

こうした非正規雇用者の増加が生産性向上を妨げているという指摘がされています。非正規雇用者は正規雇用者と比べると、賃金が低く簡単な仕事を任せられます。

その結果、日本全体で見たときの生産性が下がっているともいえます。

また、多くの場合、アルバイター、パートタイマーといった非正規雇用者は、正規雇用者と比べて、以下のような特徴があります。

  • 専門的なスキルを持たない
  • 雇用が不安定であり、モチベーションを担保できない
  • 比較的短期間で職場を離れることが多い

つまり、非正規雇用者が増えると、生産性の観点で以下の問題点が出てきます。

  • 特別な教育、研修を行う必要がある
  • 仕事へのコミットメントを保てずミス・遅行が出てくる
  • スキルが育つ前に退職してしまう

こうした問題が起きることで生産性を向上できなくなるケースは多くあります。

雇用の流動性が低いから?

賃金の低い仕事から高い仕事に労働者が流動すると、日本全体の生産性は向上します。しかし日本では簡単に社員を解雇できません。

労働組合があり、生産性の低い社員は、賃金を下げながらも雇用し続ける必要があります。その結果、全体の生産性が下がっているともいえます。

また転職も同じです。日本でも近年、数年スパンでの転職が一般的になってきました。いわゆる「ジョブホッパー」と呼ばれ、自分から賃金を高めにいく動きも広まっています。

しかし海外と比べると、まだ「真面目に長く勤続する」という意識が強いともいえます。雇用の流動性が低い結果、生産性がなかなか高まらないという背景もあるといえるでしょう。

アナログ業務が根付いているから?

近年では生産性向上のためのデジタルツール、生成AIなどが登場し、徐々に日本もデジタルシフトが進んできました。

しかしながらまだアナログ業務は各社で残っています。例えば以下のような業務文化が残る企業は多いです。

  • 大人数での頻繁な会議
  • 紙とペンを用いた業務
  • ハンコリレー
  • 資料の形骸化

こうした業務をデジタル化することで、業務効率は大幅に高まり、生産性が向上します。しかし以下のような課題でデジタル化が進まないのが現状です。

  • スキルを持った人材が不足している
  • 難色を示す人が一定数いる
  • 経営者のITリテラシー不足
  • 多くのコスト・労力がかかる
  • セキュリティ面でのリスクが生じる

デジタル化が遅れる原因については以下の記事で、詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

仕事への対価が低いから?

日本では昔から「安くて高品質」が良しとされてきました。その結果、商品価格が下がり、人材の賃金も低下するという悪循環のまっただ中にいるといえます。

2023年の世界の平均年収ランキングでは、日本は32,409USドルで24位です。1位のスイスは105,184USドルと、日本の3倍以上になっています。

こうした日本の商習慣を変えなければ、国全体としての生産性は高まっていかないことでしょう。

参考:グローバルノート「世界の平均年収 国別ランキング・推移

生産性向上における課題とは?

そんななか、国内各社では長期にわたって生産性向上を目指してきました。こちらでは具体的に生産性向上を阻んでいる課題を、以下の4つに分けて紹介します。

  • 特定の業務を行えるスキルを持った社員が限られている
  • 業務フローに問題がある
  • 紙ベースの業務プロセス
  • 設備が古い

特定の業務を行えるスキルを持った社員が限られている

属人化しがちな「専門的な業務」は、生産性向上の観点で大きな課題です。例えば以下のような業務に気を付けましょう。

  • ITシステムの運用・保守
  • 財務・経理の管理業務
  • 法務・労務関連の審査・書類作成
  • 関係値の深いクライアントとの営業・交渉
  • データ分析、マーケティング施策の設計

こうした業務は専門的な人材にしか扱えず、退職、休養などの不測の事態が起きた際に大幅に生産性を下げてしまいます。

業務フローに問題がある

業務フロー自体が、意味もなく複雑化してしまうケースもあります。「本来は必要ない部署、メンバーが間に入っている」「各プロセスでの役割が明確化されていない」などが起きると、生産性が低下します。

まだ「業務のブラックボックス化」にも注意しましょう。作業内容が定義されていないと、メンバーが誰にも相談せず、自分のやり方で仕事をしてしまいます。すると「何を行っているのか」が可視化できません。

「蓋を開けてみると、長期にわたって効率が悪い方法で進めていることがわかった」というケースもあります。

紙ベースの業務プロセス

「ペーパーレス」は、手っ取り早く生産性を高めるための手段の一つです。例えば、以下の業務を紙ベースで進めている企業は早めに見直すことをおすすめします。

  • 契約書の作成・署名・保管
  • 請求書の発行・受領
  • 人事関連の申請書類
  • 決裁・承認フロー
  • 社内アンケート
  • 社内報

「紙」という制約があることで、承認者も作成者も出社が必須になり、対応の遅延を招きます。また紛失、破損などのミスが起きやすくなり、生産性が下がります。

設備が古い

見落としがちなのが「ハードウェア、ソフトウェア設備の老朽化」です。例えば設備が古いことで以下の生産性低下につながります。

項目詳細
PC、スマートフォンの老朽化古いデバイスは処理速度が遅く、各作業で遅れが出てしまう。または実行出来ない作業が生まれる
ハードウェアの老朽化製造業、小売業などで用いる設備機器の老朽化により作業速度が落ちてしまう。または事故のリスクが高まる
互換性の問題古いソフトウェアは最新のファイル形式やプラットフォームとの互換性がなく、無駄な業務が増える
セキュリティの脆弱性によるリスク古いソフトウェアやOSは、最新のセキュリティが搭載されておらず、無駄なトラブルにつながる可能性がある

ハードウェアの導入にはイニシャルコストがかかりますが、長期的視点で見るとリスクヘッジになりますし、生産性向上により利益を生み出せます。

生産性向上における課題への対応策

上記の生産性向上の課題への対策を紹介します。具体的には以下の4つです。

  • 業務の属人化を防ぐ
  • ITツール導入
  • 単純作業からの解放
  • 労働環境の改善

業務の属人化を防ぐ

業務の属人化を防ぐことで、担当者の休暇、退職があった際にも適切に対応できるため、生産性は向上します。具体的には以下の方法で属人化を防ぎましょう。

  • 業務プロセス、作業内容の資料化
  • ナレッジ共有の促進
  • 複数の社員による業務分担(ジョブローテーション)
  • 引き継ぎやバックアップ体制の定義

またこのほか「ツールを用いた業務の民主化」という方法もあります。

例えば、従来のITシステム運用・保守業務はプログラミングスキルが必要です。しかしローコード、ノーコ―ドを用いることで、プログラミングスキルがなくても保守・運用ができるようになります。

弊社・ファンリピートでは、お客様のシステム開発に関してローコード・ノーコードを用いて開発、納品します。システムに関するナレッジがない企業でも、運用しやすい形を意識しておりますので、お気軽にご相談ください。

ITツール導入

紙ベースでの業務をはじめとしたアナログな仕事に関して、ITツールを導入することで生産性を向上できます。例えば、ITツールを導入すると以下のような変化がおきます。

従来のアナログ業務ITツールを用いた業務
紙の書類を手作業で処理書類を電子化することで、検索性が高まり紛失リスクがなくなるため業務効率化できる
電話やFAXでのコミュニケーションチャットツールやメールを使えば、即時の連絡と履歴管理が可能になるため業務効率化できる
手書きでの勤怠管理勤怠管理システムを使えば、自動集計とリアルタイム確認ができるため業務効率化できる
ファイルキャビネットでの書類保管クラウドストレージに保管すれば、場所に関係なくアクセスできるため業務効率化できる

単純作業からの解放

毎日の単純作業をアルバイターやパートタイマーに依頼している企業も多いと思います。しかしイレギュラーの少ない単純作業は、RPAで代替することが可能です。

例えば以下のような業務はRPAによって置き換えられます。

手動での作業RPAでの作業
請求書や経費精算書の手動チェック・入力請求書や経費精算書のデータを自動で読み取り、システムに入力する処理を自動化
顧客情報の定期的な更新作業定期的な顧客情報の収集・更新作業を自動化し、システムのデータを最新に保つ
定型的な手動でのメール送信指定のタイミングで自動的に送信する
定期的なレポート作成データを集計し、定期的にレポートを自動で生成する

このほか、生成AIを用いることで、一部の非定型的な業務も自動化できます。社内の単純作業を洗い出して自動化するだけでも大きな生産性向上につながります。

RPAで業務効率化を実現する方法については以下の記事を参考にしてみてください。

労働環境の改善

労働環境が悪く、スタッフがパフォーマンスを最大限発揮出来ていない可能性もあります。例えば「残業が多い」「休暇を取れない」「部署ごとに壁がある」などの理由で、生産性が低下するケースは多々あります。

以下のステップで労働環境の改善を進めましょう。

ステップ詳細
1.社内アンケートで現状の問題を把握するまずは現状の問題を把握します。社員が自由に意見できるよう匿名が望ましいです
2.改善施策の優先順位を設定するアンケートを元に改善施策でやるべきことを設定します
3.具体的なアクションプランを設定する改善するための順序を設定します。スケジュール、工数、準備物、KPIなどを定義しましょう。
4.社員への情報共有をする後からハレーションを起こさないよう、事前に社員に環境改善のプランを通達します
5.施策実施と観測をする実際に施策を実施し、KPIを達成できるかをモニタリングします
6.データをもとに改善KPIなどの数値指標を観測しつつ改善をしていきましょう

ファンリピートではアナログ業務改革サービスを提供しています

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社内の生産性向上に課題をお持ちの方は、以下のリンクからお気軽にお問い合わせください

https://unify.bolt-dev.net/#contact

生産性向上の課題に取り組んだ企業の事例

実際に生産性向上を達成した企業の成功事例を紹介します。

惣菜製造業「みすず」の例

参考:株式会社みすずコーポレーション

みすずコーポレーションでは生産性に関して課題を抱えていました。

主に手作業による無駄や品質のバラツキが課題感としてありました。油揚げ選別工程で、手作業が多かったため、無駄が発生したといえます。また品質不良により廃棄ロスが多いことも課題でした。

こうした課題に対して同社はビデオ解析を導入。原因が「歩行時間」や「コンテナの高さ」にあると分析し、改善策としてシューターを導入し、歩行時間をゼロにしました。これにより26%の作業時間削減に成功しています。

また不良品の原因分析をした結果、攪拌機に付着した凝固物が原因であることがわかりました。定期的な清掃により、廃棄ロスを42%削減しました。

生産性の課題に対して、ツールを導入することで改善した好例です。

参考:厚生労働省「総菜製造業「みすず」の例

総合食品スーパーマーケットの例

参考:株式会社さえきセルバホールディングス

株式会社さえきが運営するフーズマーケットさえき 多摩平の森店では生産性に関して、大きく2つの課題を抱えていました。

1つ目が「バックヤード業務の非効率化」です。賞品がバックヤードに煩雑に置かれており、スペースと時間の無駄が発生していました。2つ目が「キャベツをまとめてカットしていたこと」です。これにより仮置きスペースに無駄が生じていました。

そこで同社はバックヤードの商品をサイズごとに整理、売り場の棚の追加などで通路スペースを確保し年間150時間の生産性向上が実現しました。またキャベツを1つずつ流すことで作業時間を短縮。22%の生産性向上を達成しました。

参考:キヤノン株式会社「【小売業】スーパーマーケットの生産性向上活動報告

宿泊業の例

参考:京都旅館 綿善

京の宿 綿善旅館はもともと「客室係とフロント係の連絡が非効率で客室係が長距離を移動する必要がある」「繁忙時に特定の社員に業務が集中し、他の社員が稼働できなくなる」といった課題がありました。

そこで同旅館はタブレット・LINEを導入し連絡しやすくしました。これにより年間146時間の業務効率化を実現しています。またスキルマップを導入し、従業員のスキルを可視化。繁忙時に相互に応援できる体制を構築し、年間310時間の生産性向上を実現しています。

参考:厚生労働省「宿泊業の生産性向上事例報告

生産性向上の取り組みにおけるポイントと注意点

最後に、実際に生産性向上に取り組む際に気を付けるべきポイントを紹介します。

ゴールを定め方向性を見失わない

まずは生産性向上に関して、最終的なゴールを定めることが重要です。

「想定していた通りの業務フローが確立できたか」など、オペレーションの変化はもちろん、可能な限り数値的目標(KPI)を立てたうえで観測しましょう。

PDCAサイクルを回し、常に改善しづける

生産性向上は一度きりの施策ではなく、継続的なタスクとなります。

削減時間、成果物の量など目標を達成した場合でも、さらなる生産性向上を目指してPDCAサイクルを回しつづけましょう。

全体像を考えて取り組む

生産性向上のために一部の業務フローを改善した場合、全社的に影響が出る可能性があります。例えば稟議申請を紙からシステムに移行すると、契約書や勤怠など稟議に関わる内容も電子化しなければいけません。

単体の業務だけではなく、その業務に関わる全体像を整理したうえで生産性向上にとりかかりましょう。

まとめ

今回は生産性向上の課題と対策方法について解説しました。

各社で生産性向上の課題はまちまちです。まずは全社的に業務の無駄を洗い出すところから始めましょう。そのうえで、対策方法を定義していく必要があります。

弊社・ファンリピートでは、お客様の課題の抽出から、システム開発・納品まで一貫してご支援いたします。お気軽にご相談ください。

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