社内からの質問の対応に時間を取られ、業務効率が落ちていると感じていませんか。
そんな悩みを解決するのが「社内FAQ」です。社内FAQを活用することで、情報共有の効率化や問い合わせ対応の負担軽減が可能になります。
社内FAQの作成には、情報収集から定期的な更新まで、いくつかのステップが必要です。また、適切なツールを選ぶことで、より効率的にFAQを運用できます。
この記事では、社内FAQについて、メリットや作り方のステップ、おすすめのFAQツールについてご紹介します。
社内FAQとは?
社内FAQとは、社内版のよくある質問であり、社内で繰り返される質問や疑問への回答が掲載されたものを指します。
各部門やプロジェクトでよく寄せられる質問をまとめてひとつのFAQとして社内に公開することで、個別の問い合わせ対応の手間を減らし、全社員が同じ情報にアクセスして疑問を解決できるようになります。
また、新入社員やプロジェクトメンバーのスムーズな立ち上がりにも役立ちます。
社内FAQを作成するメリット
社内FAQを作成するメリットとはなんでしょうか。様々なメリットがあげられますが、重要な3つの点についてご紹介します。
問い合わせ対応の効率化
社内FAQを導入する最大のメリットは、問い合わせ対応の効率化です。特定の部門や社員が同じ質問に何度も答える手間を省き、作業負荷を軽減することができます。
よくある質問に対する標準的な回答を一度作成すれば、後から同じ質問が繰り返されても、対応に時間を割く必要がありません。結果として、時間とリソースを節約でき、より重要な業務に集中することが可能になります。
知識の共有と蓄積
社内FAQを使えば、全社員が一貫した情報を共有し、知識を効果的に蓄積することが可能です。FAQが存在することで、情報のばらつきや誤解が減り、全員が同じ情報にアクセスできるようになります。
例えば、業務におけるよくある疑問点があった場合、常に最新の正確な情報を共有できる点が非常に有益です。これにより、情報の透明性が向上し、組織全体の連携がスムーズになります。
新入社員のトレーニングコスト削減
FAQを利用することで、新入社員のトレーニングが効率的に進められ、結果としてトレーニングコストが削減されます。
基本的な質問や手順をFAQにまとめることで、トレーニング担当者が同じ説明を繰り返す時間を削ることが可能です。これにより、新入社員は自分のペースで学習でき、トレーニング担当者の負担を軽減することができます。
わからないことはまずは自ら調べるといった文化の醸成にもつながるため、長い目で見てもマネジメントコストの軽減につながっていくでしょう。
社内FAQにおける課題
メリットが多い社内FAQですが、一方で課題も存在します。3つの観点から課題について解説します。
初期作成の労力
社内FAQの最大の課題のひとつは、初期の作成にかかる労力が大きいという点です。各部署から必要な情報を集めるだけでなく、質問内容を整理して回答を作成する作業には相当な時間と労力がかかります。
たとえば、全社的に使用されるFAQを作るためには、各部門の専門知識を集約した上で、一般的な言葉に説明しなおす必要があります。初期時点でどの程度綿密に作成を行うかによって、長期的に見た際の問い合わせ対応の効率化に関わってきます。
利用率の向上
FAQを作成しただけでは効果を最大限に発揮することはできません。社員がその存在を認識し、積極的に活用することが重要です。例えば、新しいFAQが導入された際には、その存在を社内で周知し、適切なタイミングで利用を促さなければ、FAQの活用が進みません。
また、FAQを簡単にアクセスできる場所に配置することも重要です。利用のハードルを下げる工夫を行うことによってFAQの利用率を向上させ、社内の情報共有を促進する必要があります。
内容の更新とメンテナンス
社内FAQのもう一つの課題は、内容の更新とメンテナンスです。FAQの情報が古くなると、かえって混乱を招いてしまう場合があります。
そのため、定期的に内容を確認し、必要に応じて更新を行うことが不可欠です。たとえば、新しいシステムの導入や業務フローの変更に応じて、FAQの内容も随時更新する必要があります。
常に最新の情報にメンテナンスを行うことは非常に重要ですが、かかる労力が大きいことからFAQ運営の課題となります。
社内FAQの作り方
せっかく社内向けにFAQを作成するのであれば、多くの社員に長く利用されるようにしたいですよね。以下では、最適なFAQ作成のための手順について解説します。
1. 必要な情報を集める
社内FAQを作成する際の最初のステップは、必要な情報を集めることです。各部署やチームから、業務で頻繁に発生する質問や問題をリストアップし、全社的に共有するためのデータを収集します。
この段階では、社員や部門リーダーにインタビューを行ったり、過去の問い合わせ履歴を分析したりすることが有効でしょう。特に、繰り返し発生している問題がないかを確認し、それらをFAQに含めることで効果が高まります。情報収集はFAQの基盤を形成するため、広範囲から正確に情報を集めることが後のステップの成功に繋がります。
2. 質問を整理し回答を作成する
次に、集めた情報を基に、よくある質問をカテゴリーごとに整理しましょう。最適なカテゴライズを行うことで、利用者にとって目的の回答を見つけやすいFAQを作成できます。
また、回答は誰でも理解できるように簡潔、かつ、わかりやすく書くことがポイントです。複雑な内容や専門用語を使う場合は、必要に応じて説明を追加するか、わかりやすい言葉に置き換えることが求められます。
加えて、同じ内容の質問が複数の表現で寄せられることがあるため、重複を避けつつ、あらゆる質問に対して一貫した回答を提供できるように整理することも重要です。
3. ユーザー目線でチェックする
FAQが完成したら、次にユーザー目線でのチェックを行いましょう。実際にFAQを利用する社員やチームメンバーの立場に立って、質問や回答が分かりやすく、実際の業務で役立つかどうかを確認します。
チェックの過程では、第三者の視点を取り入れるようにしましょう。例えば、新入社員や他部門のメンバーに実際にFAQを使ってもらい、分かりにくい箇所や、回答が不明瞭な部分をフィードバックとして収集することがおすすめです。
4. 段階を踏んでスタートする
社内FAQでは、全ての質問を一度に網羅しようとする必要はありません。まずは重要度の高い質問から優先してFAQを作成し、段階的に拡充していく方法が効果的です。このアプローチを採ることで、FAQ作成の負担を軽減し、早期に運用を開始することができます。
初期の段階では、過去の履歴で社員から何度も質問されていた項目から着手していくとよいでしょう。その後、質問を追加していくことで、効率的にFAQを整備することが可能です。
また、段階的な更新を行うことで、社員からのフィードバックを適時反映しながら、FAQの内容を充実させていくこともできます。
5. 定期的にコンテンツを確認する
FAQは作成した後も定期的に見直しを行い、回答が常に最新かつ正確な状態であることを確認する必要があります。業務内容や使用するツールの変化に伴い、FAQの内容が古くなることがあるため、定期的な更新は必須です。
例えば、四半期ごとや大きなシステム変更の際にFAQを見直し、内容の適正さを確認するプロセスを組み込むことが効果的でしょう。また、社員からのフィードバックを取り入れ、よくある質問や新たな課題に対して適切な対応を追加することも重要です。
おすすめの社内FAQツール
社内FAQツールを作成する際には、FAQツールを使うこともお勧めです。以下にて8つのFAQツールについてご紹介していきます。
Qast
出典:Qast
Qastは、シンプルで使いやすいUIが特長のナレッジマネジメントシステムです。使いやすく、強力な検索機能を持つFAQツールのため、社員が必要な情報をすばやく見つけることができます。
検索機能においては、例えば同義語(同じ意味を持つ別の言葉)や添付ファイル内のテキストについても検索できるため、社員が目的とする回答を得られる可能性が高くなります。
また、500ID以上のクライアントに対しては、ナレッジコンサルタントが導入・活用を支援するなど手厚いフォローも魅力です。
Confluence
出典:Confluence
Confluenceは、アトラシアン製品のひとつであり、TrelloやJIRAなどのプロジェクト管理ツールとスムーズに統合することが可能です。既にアトラシアン製品を利用している場合には、使い勝手の良いサービスとなるでしょう。
また、すぐに利用を開始できる無数のテンプレートやAIエディターによるライティングなどFAQを作成するための補助機能が豊富です。
その他、コミュニティやユースケース、製品ガイドなど情報のインプット元が多くあるため、作成の際に手助けとなるでしょう。
Helpjuice
出典:Helpjuice
Helpjuiceは、専門的なFAQ作成に特化したツールであり、大規模なFAQを運用する企業にも最適です。UIがシンプルであり、FAQの作成から管理、分析までを一貫して行うことができるという特長があります。
特に、ユーザーの行動をトラッキングし、どの質問が最も頻繁に参照されているかを分析する機能が特徴的です。これにより、FAQの利用状況を把握し、必要な部分を改善するためのデータを提供することが可能です。
Zendesk
出典:Zendesk
Zendeskは、カスタマーサポートに特化したツールですが、社内FAQとしても活用することができます。多機能で柔軟性があり、チケット管理やチャット機能も備えています。
Zendeskは多くの企業がカスタマーサポートとして利用していることから、使い慣れたサービスとして社内での活用を行いやすい可能性があります。
その他、カスタマイズ性が高いという特長があるため、社内のニーズに合わせてFAQを最適化できるという点に魅力があります。
Notion
出典:Notion
Notionは、オールインワンのナレッジ管理ツールで、社内FAQの作成にも適しています。シンプルなテキストエディターから、データベースやタスク管理まで幅広い機能を備えており、FAQを視覚的かつ整理された形で管理することが可能です。
多様な形式のコンテンツを統合できるため、テキストだけでなく、画像や動画も組み合わせたFAQの作成ができます。アイコンの設定なども可能なため、形式ばったFAQではなく、社員の身近な存在として活用されるようになるでしょう。
Google Sites
出典:Google Sites
Google Sitesは、Google Workspaceに組み込まれたウェブサイト作成ツールであり、簡単に社内FAQを構築することができます。
特に、他のGoogleサービスとの連携が強みであり、Googleドキュメントやスプレッドシートと簡単に統合できます。無料で使用できるため、コストを抑えながら社内FAQを作成したい企業にとっては理想的な選択肢です。
また、複雑な機能はなく、シンプルな操作性により、初心者でも手軽に利用することができるでしょう。
Microsoft SharePoint
Microsoft SharePointは、企業向けのナレッジ管理ツールであり、社内FAQの管理にも適しています。特に、Office 365との連携に強みがあり、WordやExcelなどを活用してFAQを効率的に作成・編集することが可能です。
また、アクセス権限の管理が容易であり、必要な情報にアクセスできるユーザーを制限することもできるため、セキュリティ面でも安心です。大規模な組織にとっては、SharePointは有力な選択肢となるでしょう。
Slack
出典:Slack
Slackは、チームコミュニケーションツールとして有名ですが、FAQの共有にも役立ちます。Slackの検索機能を使えば、FAQとして保存された質問や回答を素早く見つけることができ、リアルタイムで情報を共有できます。
また、チャットボットを活用することで、よくある質問に自動的に回答するシステムを構築することも可能です。これにより、社員の質問に迅速に対応できます。
社内FAQを作成する際の注意点
最後に、社内FAQを作成する際の注意点について解説します。以下の3つの観点についてご紹介します。
質問と回答の整合性を確認する
社内FAQを作成する際には、質問と回答の整合性が非常に重要です。回答が曖昧だったり、不正確な情報が含まれていると、むしろ社員に混乱を招く可能性があります。
例えば、質問に対する回答が具体的でなく、多くの解釈を可能にする場合、かえって問い合わせが増えてしまいます。FAQは正確で簡潔な情報を提供し、誤解を避けるために、事前にしっかりと内容を確認する必要があります。
従業員の使いやすさを重視する
FAQは、社員の誰でも簡単に利用できるようにすることが重要です。FAQの回答が煩雑であったり、検索機能が不十分であったりすると、社員が探している情報にたどり着くことが難しくなります。
使いやすいFAQを作成するためには、FAQの構造を分かりやすく整理し、カテゴリや検索機能を充実させることが必要です。また、利用してくれている社員からフィードバックをもらうことで、使いやすさを改善していくことが重要なポイントになります。
運用ルールを設定する
FAQは作成した後も定期的なメンテナンスが必要です。そのため、FAQの更新やメンテナンスに関する運用ルールを設定し、誰が、いつ、どのように情報を更新するのかを明確にしておくことが重要になります。
更新を各部署に協力してもらう場合、定期的にコンテンツを確認するタイミングを設け、必要に応じて改訂するルールを設けることで、常に最新の情報を提供できるようにします。
まとめ
社内FAQは、問い合わせ対応の効率化や知識の共有に大きく貢献しますが、作成には時間と労力がかかります。また、FAQを効果的に運用するためには、定期的なメンテナンスや利用促進が欠かせません。おすすめのツールを活用しながら、FAQを継続的に改善することで、社員の生産性を高めましょう。