AIOpsとは?具体的な機能や導入事例、実践的なツールを紹介

AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations)は、IT運用の効率化と自動化を目指す新しいアプローチです。

人工知能(AI)や機械学習を活用することで、従来の手動管理に依存することなく、膨大なデータをリアルタイムで解析し、問題の予測や自動対応を行います。

本記事では、AIOpsの具体的な機能や導入事例、実践的なツールについて詳しくご紹介していきます。AIOpsの導入により、システムのダウンタイムを最小限に抑え、IT運用の全体的な効率を大幅に向上させることが可能になるでしょう。

監修者

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竹村貴也

株式会社ファンリピートCEO

ベンチャー企業でのシステム開発経験を経て、フリーランスとして多数の企業のプロジェクトマネジメントに携わる。2019年に株式会社ファンリピートを設立し、ローコード開発、AIを活用した業務効率化ソリューションの開発・提供を手がける。
著書:「ChatGPTによるPythonプログラミング入門. AI駆動開発で実現する社内業務の自動化


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目次

AIOpsとは?

AIOps(Artificial Intelligence for IT Operations)は、人工知能(AI)や機械学習を活用してIT運用の効率化と自動化を図る新しいアプローチです。

従来の手動管理に頼るIT運用とは異なり、AIOpsは膨大なデータをリアルタイムで解析し、問題の予測や自動対応を行います。

これにより、システムのダウンタイムを最小限に抑え、IT運用の全体的な効率を向上させることができます。AIOpsは、IT運用の未来を変える可能性を秘めた画期的な技術です。

AIOpsのメリット

AIOpsには多くのメリットがありますが、中でも重要な以下の3つについてご紹介します。

  1. IT運用の効率化
  2. コスト削減
  3. 信頼性向上

IT運用の効率化

AIOpsを導入することで、IT運用の効率化が大幅に進みます。従来は手動で行っていた問題検出や対応が自動化されるため、人的リソースの削減が可能となります。

また、効率化の観点だけではなく、AI駆動になっていくことで人間よりも早くかつ正確な対応を実現できるというメリットもあります。自動化によってヒューマンエラーが減少することで損失を減らすことができます。

関連記事:AI駆動開発とは?導入するメリット、主なツールを紹介

コスト削減

AIOpsの導入はコスト削減にも寄与します。自動化されたIT運用により、人的コストが削減されるだけでなく、システムのダウンタイムを最小限に抑えることができ、機会損失を最小限にすることができます。

また、効率的なリソース管理ができるようになり、不要なコストの発生を防ぐことに繋がります。

例えば、過剰なサーバー容量の確保や不必要なソフトウェアライセンスの購入を避けることができ、IT予算の最適化を図ることが可能です。これにより、企業全体のコスト構造が改善され、長期的な競争力の強化ができるでしょう。

信頼性向上

AIOpsはシステムの信頼性向上にも大きく貢献します。リアルタイムでの監視と予測機能により、潜在的な問題を事前に察知し、適切な対応を行うことが可能です。

また、異常検知アルゴリズムにより、従来の手動監視では見逃しがちな微細な問題も捕捉できるようになるため、システムの安定性が一層強化されます。

信頼性の高いIT環境は、ビジネス上の機会損失を最小限に抑えるだけでなく、顧客満足度の向上の実現に繋がります。

AIOpsの具体的な機能

AIOpsにおいて、具体的にはどのようなことが実現できるでしょうか。

具体的な機能面について以下の3つの観点でご紹介します。

  1. データ収集と分析
  2. 予測と対応
  3. 自動化

データ収集と分析

AIOpsの重要な機能の一つに、膨大なデータの収集と分析があります。各種センサーやログファイルからリアルタイムでデータを収集し、AIアルゴリズムを用いて迅速に分析を行います。

これにより、どこでどのような問題が発生しているのかを素早く特定し、適切な対応策を導き出すことが可能となります。

例えば、ネットワークのパフォーマンスデータを分析し、トラフィックのボトルネックを特定することで、トラフィックの維持・向上を実現することが可能です。

場合によっては、データの可視化ツールを併用することで、視覚的にデータを把握できるため迅速な意思決定を行いやすくなるでしょう。

予測と対応

過去のデータから推測して、未来の問題を予測する機能も備えています。これにより、システム障害が発生する前に予防措置を講じることが可能です。

予測された問題に対して自動的に対応するため、システムのダウンタイムを大幅に削減できます。例えば、ディスク容量の不足やCPUの過負荷を事前に察知し、必要なリソースの追加や負荷分散を自動的に実施します。

自動化

AIOpsのもう一つの大きな機能は、自動化です。問題の検出から対応までのプロセスを自動化することで、人の手による介入を最小限に抑えます。

自動化によって運用チームの負担が軽減され、より戦略的な業務に集中することが可能です。例えば、システムのパッチ適用やソフトウェアの更新、バックアップ作業など、定型的な運用タスクを自動化することで、運用コストを削減し、効率性を向上させることができます。

また、AIによるインシデント管理により、問題発生時の迅速な対応が可能となり、システムのダウンタイムを最小限に抑えることができるでしょう。

AIOpsの導入事例

AIOpsがどのように活用できるかを知るためには、実際の導入事例を知ることが最も良いでしょう。

ここでは、以下の事例をご紹介します。

  • アクセンチュアでの事例
  • ITSでの事例
  • 日立製作所での事例

アクセンチュアでの事例

ITコンサルティング会社のアクセンチュアは、AIOpsを導入してIT運用の自動化を推進しています。具体的には、ServiceNowのITサービス管理(ITSM)とIT運用管理(ITOM)のソフトウェアを導入し、アラートの選別やシステムの定期修復作業を自動化しています。

機械学習アルゴリズムによって監視アラートを相互に関係づけ、運用スタッフに通知する必要があるアラートだけに絞り込みます。

これにより、重要度の低いインシデント対応にかかる時間を短縮し、運用効率を向上させています。データの整合性を保つために共通サービスデータモデル(CSDM)を構築し、信頼性の高いデータを提供しています。

参考:アクセンチュアが実践する「AIOps」による定型業務の自動化とは?:静かに現実味を帯びる「AIOps」【中編】 – TechTargetジャパン

ITSでの事例

システムインテグレーター大手のITS株式会社では、ITシステムの運用に際してAIOpsを活用しています。

ITシステムが大規模化し、かつ、複雑化する中でシステム担当者ひとりあたりのカバー範囲が拡大していました。また、DX化の機運の中でITシステムの重要度が高まっている中でシステムが停止した場合の影響度は高まる一方でした。

そうした中で、極力人が介さずに自律的に動く仕組みが必要であったため、AIOpsに着目しました。運用レコメンドプラットフォームを導入することにより、自動で問題の分析を行うなど人手を介した対応を減らす取り組みを行っています。

参考:AIOpsで実現する効率化 OSC 2022 Online Spring TIS

日立製作所での事例

日立製作所では、AIOpsを活用してIT運用管理のDXを推進を行っています。AIを用いたデジタルオペレーターにより、イベント監視、月次レポート作成、性能障害対応の効率化を実現しています。

例えば、約3,000件以上の監視対象イベントに1カ月当たり2.8人月の工数がかかっていましたが、AIOps適用後には運用前の約半数の工数で済むようになりました。

また、大塚商会での導入事例でもイベント監視の工数が半減しています。過去に発生したことがあるかどうかのチェックをAIで自動化することによって実現しています。

加えて、AppDynamicsとの連携により、性能監視と一次対処が迅速に行われ、問題の未然防止も可能となっています。

参考:属人化を解消!AI活用により実現する運用管理のDXとは ~ビジネスを止めないために「監視・分析・管理」の視点から考える~

AIOpsを活用する際の注意点

AIOpsを活用する際には、注意点もあります。以下の3つの観点から注意点について解説します。

  1. データの質と量
  2. セキュリティとプライバシー
  3. 適切なツールの選定とスキルの習得

データの質と量

AIOpsの効果を最大限に引き出すためには、高品質で十分な量のデータが必要です。不適切なデータは誤った予測や判断を招く可能性があるため、データの収集と管理が重要になります。

また、データの一貫性と正確性を保つためには、データガバナンスの確立が大切です。データのクリーニングや標準化を徹底することで、AIOpsの予測精度を向上させることができます。

セキュリティとプライバシー

AIOpsを導入する際には、データのセキュリティとプライバシーにも配慮する必要があります。特に機密性の高いデータを扱う場合は、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。

データの暗号化やアクセス制御を徹底し、内部・外部の脅威からデータを保護するための対策を講じていきましょう。また、プライバシーポリシーに従ったデータの取り扱いを徹底し、コンプライアンスを遵守することが必要です。

適切なツールの選定とスキルの習得

AIOpsを効果的に運用するためには、適切なツールの選定とそれを扱うスキルの習得が必要です。導入前に十分な調査を行い、運用チームのスキル向上を図ることが求められます。

特に、AIや機械学習に関する知識やデータサイエンスのスキルが重要です。トレーニングプログラムを実施し、運用チームが最新の技術を理解し、効果的に活用できるようにしていきましょう。

AIOpsツール

AIOpsを実現するためには、様々な種類のツールが存在します。ここでは、代表的なツールを5つご紹介します。

  1. Splunk
  2. Moogsoft
  3. Dynatrace
  4. IBM Watson AIOps
  5. AppDynamics

Splunk

Splunk
出典:Splunk

Splunkは、AIOpsの分野で広く利用されているツールの一つです。データ収集から分析、予測、対応までの機能を網羅しており、IT運用の効率化に寄与します。

  • 機能: ログデータやメトリクスのリアルタイム解析、異常検知、トラブルシューティング
  • 特徴: ダッシュボード機能により運用状況の視覚的把握が可能
  • 利点: データ収集から分析、予測、対応までの包括的なサポート
  • 使用例: IT運用の効率化、迅速な問題解決、データの可視化

Moogsoft

Moogsoft
出典:Moogsoft

Moogsoftは、AIを活用してIT運用の自動化と効率化を実現するツールです。リアルタイムのデータ解析により、問題の早期発見と迅速な対応を可能にします。

  • 機能: インシデントの相関分析、根本原因分析の自動化、リアルタイムデータ解析
  • 特徴: AIを活用した自動化と効率化
  • 利点: 早期問題発見と迅速な対応、システムの安定性向上
  • 使用例: インシデント管理、問題解決のスピード向上、運用コスト削減

Dynatrace

Dynatrace
出典:Dynatrace

Dynatraceは、AIOps機能を備えた総合的なIT運用管理ツールです。自動化された監視と分析機能により、システムのパフォーマンスを最適化します。

  • 機能: 自動化された監視と分析、アプリケーションパフォーマンス管理
  • 特徴: ユーザー体験向上のための詳細なデータ解析
  • 利点: パフォーマンスの最適化、迅速な問題解決プロセス
  • 使用例: アプリケーションパフォーマンス最適化、ユーザー体験向上、システムダウンタイム削減

IBM Watson AIOps

Watson
出典:IBM Watson AIOps

IBM Watson AIOpsは、IBMが提供する先進的なAIOpsツールです。AI技術を駆使して、複雑なIT運用環境の管理を支援し、問題の予測と自動対応を行います。

  • 機能: 自然言語処理、機械学習による運用データ解析、問題予測と自動対応
  • 特徴: 複雑なIT運用環境の管理を支援
  • 利点: 高度なAI技術による迅速かつ効果的な対応、システム安定性維持
  • 使用例: 複雑な運用データの解析、潜在的問題の予測、迅速な問題対応

AppDynamics

AppDynamics
出典:AppDynamics

AppDynamicsは、AIOps機能を持つアプリケーションパフォーマンス管理ツールです。リアルタイムの監視と分析により、アプリケーションのパフォーマンスを最適化し、ユーザー体験を向上させます。

  • 機能: リアルタイムのアプリケーションパフォーマンス監視と分析、ユーザー行動データ解析
  • 特徴: パフォーマンスボトルネックの特定、自動化された問題解決
  • 利点: パフォーマンスの最適化、ユーザー体験の向上、ビジネス継続性の確保
  • 使用例: トランザクションデータ解析、パフォーマンスボトルネックの特定、迅速な問題対応

まとめ

AIOpsは、IT運用の未来を変える革新的な技術です。効率化、コスト削減、信頼性向上など、多くのメリットを提供します。具体的な機能や導入事例を通じて、その有用性についても実証されています。

ただし、適切なデータ管理やセキュリティ対策などの注意点も忘れずに取り組むことが重要です。適切なツールを選定し、スキルを習得することで、AIOpsの効果を最大限に引き出すことができます。AIOpsは、IT運用の現場に新しい価値をもたらし、ビジネスの成長をサポートする強力なツールとなるでしょう。

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