コード開発を行うことができる生成AIをご存じでしょうか。
GPT-Engineerは、自然言語でどのようなアプリをつくりたいかについて仕様を伝えることで、わずか数分程度でアプリ開発を実現する生成AIです。GPT-Engineerによってアプリ開発を行うことで、開発効率の向上を実現することが可能です。
この記事では、GPT-Engineerの特徴や料金、使い方や開発事例をご紹介します。
GPT-Engineerとは?
GPT-Engineerとは、Chat GPTを介して自然言語によって簡単にアプリを開発できる無料のオープンソースAIサービスです。
つくりたいアプリの仕様をテキストで伝えると、必要な詳細の要件についてAIから確認が行われ、確認が完了でき次第、自動でアプリ開発を行ってくれるという優れたサービスです。
そもそも、GPT(Generative Pre-trained Transformer)とは、人間のように自然な文章を生成できる言語モデルを指します。膨大なテキストデータで事前学習を行うことで、与えた指示の文脈に即した回答を行うことが可能です。
Chat GPTの登場により、こうしたGPTを備えたサービスが次々に登場しました。その流れに即して、GPT-Engineerは膨大なコード情報をあらかじめ学習していることで、自然言語のプロンプトに合わせて、適切なコーディングを行うことが可能です。
GPT-Engineerでできること
GPT-Engineerを活用することで、エンジニアは従来のコーディング作業を大幅に効率化することが可能です。ここでは、GPT-Engineerを使ってできることを3つ紹介します。具体的
- 自然言語でアプリを作れる
- AIに対して改善を依頼できる
- プログラミング初心者でもアプリを作れる
自然言語でアプリを作れる
GPT-Engineerの最大の特徴は、なんといっても自然言語でアプリを開発できる点です。
自然言語で指示を出すだけで、誰でも簡単にアプリ開発が可能です。
これまでのアプリ開発と比べて開発者がコードを生成する時間を大幅に削減できるため、大幅な効率化に繋がります。
また、GPT-Engineerは開発時間を短縮できるだけでなく、膨大なデータに基づいてコードを生成するため、高品質なコード生成を実現することも可能です。
AIに対して改善を依頼できる
GPT-Engineerを使えば、既存のコードに対する改善依頼を行うことができます。
改善を依頼する場合、改良したいコードが入ったフォルダを手元のPC内に置いておきます。その上で、「prompt」というファイルを作成し、コードをどのように改善するかを記載します。
そうすることで、GPT-Engineerが既存のコードについて改善を行ってくれます。
AIの視点で既存のコードを確認してもらうことで、より質の高い開発を行うことが可能です。
プログラミング初心者でもアプリを作れる
GPT-Engineerを使用することで、プログラミング初心者でも簡単にアプリ開発を行うことが可能です。
自然言語だけでアプリ開発を依頼することができ、仕様に関しても簡単な質問にいくつか回答するだけで開発を行うことができます。
プログラミングの知識や経験が浅い方でも、迅速かつ効果的にアプリを開発できる環境が提供されています。
これまでアイデアがありながらも、自分のスキルでは開発を進めることが難しかったという方でも、GPT-Engineerを活用することで、アプリ開発のハードルを大きく下げることができるでしょう。
GPT-Engineerの料金
GPT-Engineerは、オープンソースで利用できるため、誰もが無料で利用することが可能です。
ただし、GPT-Engineerを使用するためには、OpenAI GPT 4のAPIキーが必要となります。コードを生成するたびに、GPT 4トークンを使用することになります。つまり、利用量に応じた費用が発生することになります。
トークンや出力と入力双方にかかり、入力には1000トークンあたり$0.03〜、出力には$0.06〜が必要となっています。
日本語の場合、1トークンあたり約1文字となるため、入力と出力に必要な文字数からおおよそかかる料金を試算することが可能です。
GPT-Engineerの使い方
GPT-Engineerを利用するためには、まずはアカウント登録を行う必要があります。現在、GPT-Engineerを利用するためには、Wiating Listに登録し、招待を待つ必要があります。
そのため、まずはアカウント登録についてのご紹介をしたいと思います。
STEP1:アカウント登録を行う
まずは、 https://gptengineer.app/ からアカウント登録を行いましょう。
メールアドレスを入力すると、簡単なアンケートが表示されます。
どのようなアプリ開発を行いたいかや職種、想定しているAPI利用費用などについて聞かれます。
また、アンケートに回答すると同時に、登録したアドレスにWaiting List上で何番目にあたるかのメールが届きます。
実際に利用できるようになるためには、招待のメールを待ちましょう。招待メールが届いたら、利用が可能です。
GPT-Engineerの開発事例
実際にGPT-Engineerを利用したアプリ開発にはどのような事例があるでしょうか。
インターネット上から事例をいくつかご紹介したいと思います。
マルバツゲームの開発事例
順番に〇×をつけていくマルバツゲームの開発を行っています。デザイン等はシンプルなものではありますが、1分間でマルバツゲームが完成しています。
また、一度目に仕様を伝えてから、何度か質問に回答したのみでゲーム開発を行ってくれています。
シンプルな開発ではありますが、GPT-Engineerによって効率的に開発が可能となるということがわかります。
ChatGPTの利用料は14セントだったということです。
プロフィール共有システムの開発事例
プロフィールを登録し、公開してお互いに共有できるアプリの開発です。バックエンドのみの開発ということですが、約1分でこちらもアプリ開発が完了しています。
こちらは、途中でGPT-Engineerから質問が複数あったにもかかわらず、1つ回答した時点でそのほかの質問には回答せずにコーディングが進行してしまったそうです。まだやりとりに不完全な点があるということがうかがい知れます。
ChatGPTの利用料は48セントということでした。
スネークゲームの開発事例
スネークというゲームをGPT-Engineerが開発してくれています。およそ5分間でコード生成を行ってくれています。
エラーが出ることが多かったというコメントを書いてくれていますが、完成したコードをしっかりとフォルダに格納してくれており、また、テストコードも書いてくれています。
費用としては、数十円程度で開発することができたということです。
生成AIを活用したアプリ開発のメリット
GPT-Engineerをはじめ、生成AIを活用したアプリ開発は数多くのメリットをもたらします。ここでは、主なメリットとして、3つご紹介します。
- 開発スピードの向上
- バグの早期発見・修正
- 開発コストの削減
開発スピードの向上
生成AIを利用することで、開発スピードは大幅に向上します。開発者がコード生成について考える時間を削減することができるため、アプリ開発の効率化が可能です。
また、GPT-Engineerは膨大なデータから学習を行っているため、コードの品質も一定水準が担保されています。したがって、手戻りなども少なく、結果的に開発スピードの向上を実現できるでしょう。
バグの早期発見・修正
GPT-Engineerは、自然言語での対話を通してコードを生成していきます。プロンプトを入力する際、仕様の確認が必要な場合はGPT-Engineerに質問することで、確認してくれるため、バグや修正箇所を早期に見つけることが可能です。
また、既存のコードについてもGPT-Engineerに改善を依頼することもできます。
このように、AIによるコーディングによって、ヒューマンエラーやバグの発生を大幅に減らすことができるでしょう。
開発コストの削減
GPT-Engineerで開発を行うことにより、開発人員の工数削減も実現することが可能です。
これまでコード生成にかかっていた時間をAIに依頼することで削減することでき、空いた時間を開発者は別の時間に割くことができます。
その結果、少ない開発体制でアプリ開発を実現できるため、開発コストの削減に貢献します。
まとめ
GPT-Engineerは、エラーが出たり会話が不自然だったりと、まだまだ開発途上の生成AIIですが、数分程度でアプリ開発を実現できるという点で非常に優れたサービスです。
また、オープンソースのため費用もGPT4の利用費用のみとなっており、リーズナブルにに利用できます。
将来的には、エンジニアは自分でコーディングを行わなくても、生成AIが完全自動でアプリ開発を行ってくれる日も近いかもしれません。。今後のコード開発における生成AIの改善に期待が高まります。