OpenAI社のChatGPT、Google社のGeminiなど、各社がチャット型AIアシスタントをリリースしています。
日本だと、楽天やソフトバンクといった大規模データをもつ企業が大規模言語モデルの開発を発表しており、国内外問わず、生成AI市場は盛り上がりを見せています。
そんななか、初期にリリースされ話題となった対話型AIがAnthropic社の「Claude」です。2024年3月4日にリリースされたClaudeの最新モデルが「Claude3」となっています。
「Claude3はChatGPTやGeminiと比べて優れているのか」「Claude3の使い方を知りたい」と気になっている方も多いでしょう。
今回は「Claude3」について、注目される理由や使い方を紹介します。気になっている方はぜひ登録して使ってみてください。
Claude3とは
Claude3とはAnthropic(アンソロピック)社がリリースしたLLM(大規模言語モデル)「Claude」の最新モデルです。
Anthoropic社はこれまでClaude、Claude 2、Claude2.1と、早いペースでバージョンアップを繰り返していました。この時点でGPT-4よりも最大トークンが多く、API価格が安いということもあり「実用性が高い」と評判になっていた対話型AIです。
そんななか、リリースされたのがClaude3です。
Claude3の概要
Claude3の概要をより詳しく紹介します。
Claude3を開発したのは元OpenAI社の社員であるダリオ・アモデイとダニエラ・アモデイの兄弟が立ち上げたAnthoropic社です。現在はAmazonやGoogleから巨額の出資を受けています。
もともとOpenAI社でGPTを開発していたメンバーでしたが、商業主義に傾くOpenAIに反発して離脱。利他主義的なAnthoropicを立ち上げたという背景があります。
そんな思いで開発されたClaudeは、ChatGPTと同じような対話型AIです。Claude3では、主に以下のことができます。
- 自然言語処理
- 作文・編集支援
- データ分析
- プログラミング
- 数学問題への回答
これを業務に落とし込むと、以下のようなタスクを効率化できます。
- アイディアの発想・壁打ち
- 文章内容の校正
- 顧客・市場分析と示唆だし
- 開発(コーダー業務)
- 適したKPI数値の設定
ただし画像の生成はChatGPTと同様、有料版限定の機能となっています。
Claude3が注目される背景
Claude3はリリース後、すぐに注目を集めました。その理由が「性能の高さ」です。
以下の画像はChatGPTのLLMであるGPT-4、Gpt-3.5、またGeminiのLLMであるGemini Ultra、Gemini Proと比較したときの表です。
ここでは各ツールのハイエンドモデルである「Claude3 Opus」「GPT-4」「Gemini Ultra」を比較して見てみましょう。
特に高い正答率を示したのが「GSM8K」「MATH」といった数学的な分野です。計算能力の高さがうかがえます。
また「HumanEval」という、プログラム合成能力(特にPython)を測る指標は、競合に大きく差を付けています。プログラマー、コーダーを助けるツールにもなることが期待されます。
またAIアシスタントの基礎能力ともいえる「MMLU(多領域の学術ベンチマーク)」でも、両ツールを上回っています。
こうした性能の高さからClaude3は注目を集めています。
Claude3のモデルとは
Claude3には以下の3種類があります。
- Claude3 Haiku
- Claude3 Sonnet
- Claude3 Opus
3種類のレベル感としては「Haiku」「Sonnet」「Opus」の順番に高まっていきます。SonnetとOpusはもともと使えましたが、3月14日にHaikuがリリースされた形です。
無料版ではSonnetまでしか使えませんが、有料版でOpusを利用できます。先述したように、画像生成などの機能はOpusでしか使えません。
画像生成などの機能を使う場合は、プランをアップグレードする必要があります。
Claude3の特徴
Claude3の特徴をChatGPTなど他のAIモデルと比較しつつ紹介します。
最大20万トークンに対応
「トークン」とは単語や句読点など、テキストを構成する要素のことです。文字によって消費するトークンは変わりますが、5000トークンで約2万文字程度の日本語の文章を読み込めます。
Claude3は2024年3月時点で、20万トークンに対応可能とされています。ただし性能としては100万トークンを処理できるようで、一部の顧客には解放するようです。
かなり長文の文章も読み込める能力があるため、例えば論文や創作物などの長文をコピペして解読してもらう、といった使い方もできます。
2023年8月までのデータを学習
Claude3のSonnetに「いつまでのデータを学習しているか」と尋ねると、以下の回答がありました。2023年8月までのデータを溜めているようです。
一方で、ChatGPTの場合は以下となります。なお、同じローエンドモデルで比較するためGPT-3に質問しています。こちらは2022年1月までのようです。
Claude3のほうが最新のデータをもとに回答してくれます。
今後各社のLLMがアップデートされるなかで更新されますので再現性は低いですが、現時点では新しいデータまで参考にしてくれます。
無料版でも画像のアップロードに対応
Claude3は無料版のSonnetでも画像のアップロードに対応できます。
一方でChatGPTでは有料版でしか使えないGPT-4でしか、画像のアップロード機能に対応していません。
画像のアップロードは、特に初めて使う人がお試しで使ってみたい機能でしょう。この点については、Claude3のほうがハードルが低いです。
ただし画像生成については、有料版でしか使えないので注意が必要です。
Claude3の使い方
それでは、実際にClaude3を使用する際の基本的な手順や方法を紹介します。
Claude3にアクセスしアカウント登録をする
Claudeはまだスマホアプリには対応していません。
Webブラウザから公式サイトにアクセスしましょう。未登録の場合、以下の画面が表示されますのでアカウントを作成します。
アカウント登録の際には電話番号を使った本人認証が必要になります。
電話番号にて本人確認ができたら、アカウント名を入力しましょう。
無料版を使ってみる
すると各種、プライバシーポリシーの確認画面に移動しますので、承認してください。承認が完了すると、チャット画面に遷移します。
あとは会話形式で、使えますので、何でも質問してみましょう。
ChatGPTと同じようなUIでチャット形式でのやりとりができます。
また画像ファイルをチャット上にドラッグアンドドロップすることで、添付ができます。
有料版に加入する
有料版に加入する際は、チャット画面右上のアカウントボタンをクリックしてバナーを開いた後「Subscribe to Pro」を選択しましょう。
すると決済情報の入力画面に遷移します。決済方法はクレジットカードかGoogle Payのどちらかを選択できます。
チャット画面に戻り、チャット欄の下に「Claude 3 Opus」と表示されたら、完了です。
Claude3の注意点
実際にClaude3を利用するにあたって、潜在的なリスクや注意すべきポイントを紹介します。
事実とは異なる情報を出力することがある
Claude3だけではなく、対話型AI全般における注意点として「事実ではない情報をアウトプットする可能性がある」が挙げられます。これを専門用語で「ハルシネーション」といいます。
使う際には、必ず人間の目で最終レビューをしましょう。またプロンプトを整備することで、ハルシネーションリスクを下げられます。
機密・秘密情報のアップロードに気を付ける
Claude3はユーザーから提示される情報を学習に利用します。そのため自社やステークホルダーの機密情報、秘密情報はアップロードしないようにしましょう。
例えば、SQLを記述できないマーケターなどが、顧客情報の抽出・分析をしてもらうためにCSVデータをアップロードするのが、よくあるパターンです。
また顧客やパートナーの情報が記載された契約書の文面を流し込んで校正してもらう、というケースも多くの場合は違反にあたります。
社内で対話型AIを導入する際には、マニュアルの整備・啓蒙を同時に進める必要があります。
メリット・デメリットを理解して他の対話型AIと比較検討する
Claude3には、先述したようなメリットがあります。「性能の高さ」「API利用料の安さ」などです。
一方でChatGPTやGeminiと比べて、劣る部分もあります。例えばChatGPTに備わっているGPTsやプラグインといった機能はありません。
各社が同じような金額帯で有料プランをリリースしているなか、使う人のニーズによって選べる状態になっています。購入する際には比較検討をしましょう。
まとめ
今回はClaude3について、網羅的に紹介しました。特筆すべきはGPT-4やGemini Ultraといった競合よりAIの性能が高いことです。
対話型AIはそれぞれにメリット・デメリットがありますが、Claude3は無料でも画像認識機能が解放されていますので、初心者の方が試すにはうってつけのツールといえます。
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