ノーコードを製造業が活用すべき理由とは?サンプルアプリも公開

ノーコードを活用したコーディングを必要としないシステム開発に様々な業種の企業が取り組んでおり、加古川市の市役所で非エンジニアが「特別定額給付金Web申請システム」をノーコードを用いて開発したことも大きな話題となりました。

ノーコードを活用すれば、「社内にエンジニアがいない」「システム開発の予算が捻出できない」といった問題を解消し、現場手動でのシステム開発が可能となります。

多くの企業がノーコードを活用したシステム開発に取り組んでいますが、生産性の低さが顕著である製造業では未だ目立った成果や成功事例が登場していません。

生産性改善が急務である製造業こそノーコードを活用した、システム開発に取り組み、デジタル化を推進するべきです。

この記事では、ノーコードツール・ローコードツールを用いたシステム開発サービスを運営し、数多くのノーコードシステム開発を成功させてきたBOLTが、製造業がノーコードを活用すべき理由と製造業におすすめなサンプルアプリをご紹介します。

監修者

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竹村貴也

株式会社ファンリピートCEO

ベンチャー企業でのシステム開発経験を経て、フリーランスとして多数の企業のプロジェクトマネジメントに携わる。2019年に株式会社ファンリピートを設立し、ローコード開発、AIを活用した業務効率化ソリューションの開発・提供を手がける。
著書:「ChatGPTによるPythonプログラミング入門. AI駆動開発で実現する社内業務の自動化
目次

製造業がノーコードを活用すべき理由とは?

製造業がノーコードを活用すべき理由とは?

国内では多くの企業が生産性や業務効率性に課題を感じ、ノーコードを活用したシステム開発に取り組んでいますが、その中でもなぜ、製造業こそノーコードを活用すべきなのでしょうか。

ここでは製造業がノーコードを活用すべき理由を解説していきます。

  • 生産性向上が急務
  • 人材不足が顕著
  • 競合優位性の創出

生産性向上が急務

日本の1時間あたりの労働生産性は47.5ドルで、主要先進国の中で最下位の労働生産性の低さを示しており、仕事をする上での効率の悪さが顕著になっています。

製造業の場合、労働生産性が低いということは労働者1人あたりが使うコストや時間に対して、生産数が少ないことを示し、時間あたりの生産数が少なければ、製品原価が高くなり、市場において価格メリットを生み出せなくなります。

生産性が悪ければ、商品販売によって生まれる利益が確保できなくなり、経営状況を圧迫することに繋がります。

生産性を妨げる要因は企業の非効率な働き方が起因しており、その多くは手書きの紙業務やFAXを使ったやりとりなどのアナログ業務です。

アナログ業務に時間を取られて、本来行うべき付加価値の高い業務が停滞するような状況はもってのほかであり、製造業はノーコードを活用したデジタル化による早急な生産性向上が必要となっているのです。

人材不足が顕著

人材不足問題は深刻化しており。大手企業であっても人材確保が困難となっているため、少ない人数で業務に対応する仕組みが求められている。

人材不足問題は中小企業だけでなく、大手企業にも影響が出ており、都内で大企業が人材募集をかけても、思うように人が集まらない事態に陥っているのです。

業務量変わっていないが、人だけ少なくなり、10人でなんとかこなしていた業務を半分の人数で対応しなければならないような状況も発生しています。

少ない人数で業務対応をすることで長時間労働が常態化し、中には長時間労働に嫌気がさして、従業員が退職してしまうことで、業務負担が更に増加する負のスパイラルに陥っている企業も存在します。

今後、日本国内で人口が増加する傾向はなく、減少の一途を辿ることから企業では少ない人数でも仕事を定時内に完了できる効率的な業務の仕組みを構築する必要があります。

とはいえ、システム開発予算が限られており、全ての業務をデジタル化するというのは現実的ではなく、企業の予算と時間は限られています。

製造業では部署ごとの現場主導で部署内の非効率な業務を効率化していく必要があるのです。

競合優位性の創出

製造業では商品力で競合優位性を生み出すのが極めて難しくなっています。

世の中にはモノが溢れたことによって、コモディティ化に陥り、機能や品質などで差別化要素のある商品を生み出すのは極めて難しくなり、結果として顧客の選定基準が価格のみとなり、多くの企業は価格競争に陥っています。

価格競争に陥ってしまうと、企業の収益性は低下し、経営に悪影響を及ぼすことになります。

商品が溢れてしまった以上、製造業が取るべき道は商品以外のサービス面で付加価値を生み出すことで競合優位性を見出すことが求められています。

製造業において顧客が価値を感じるサービスは「速さ」です。

例えば、製品購入時後の保証書がすぐに発行されることや見積依頼から5分以内に見積回答を届くなどが代表的なサービスによる差別化です。

顧客の求める「速さ」による競合優位性を提供するためには、システムを活用した仕組みを構築する必要があり、企業競争を生き抜くためには製品開発だけでなく、「速さ」を生み出すデジタルの仕組みが必要となっているのです。

製造業がノーコードを活用するメリット

製造業がノーコードを活用するメリット

ここまで、製造業が抱える低い生産性、人材不足問題、コモディティ化を解決するためにノーコードの活用が必要であると説明してきましたが、ノーコードを活用することでどのようなメリットを製造業は手にすることができるのでしょうか。

ここでは製造業がノーコードを活用することで得られるメリットを紹介していきます。

  • 部門単位の小さい業務をシステム化できる
  • 情報システム部の手を借りずに済む

部門単位の小さい業務をシステム化できる

ノーコードを活用すれば、従来のシステム開発方法では費用対効果や導入メリットを見いだせず、システム化が見送られていたような部門単位の小さい業務をシステム化することが可能となります。

製造業におけるシステム開発の場合は投資するシステム開発費用に見合った費用対効果を出すことができる業務のシステム化が優先されます。

そのため、担当者レベルでしか分からないような部署単位の小さい業務がシステム化の対象になることはなく、非効率な業務を続けていくことになり、この小さい非効率な業務の積み重ねが製造業における低い生産性の原因になります。

しかし、ノーコードを活用すれば、通常はシステム化範囲にならないような部署単位の小さい業務もシステム化の範囲とすることができます。

ノーコード開発は従来のシステム開発のような高額な初期開発費用が不要で、月額数千円程度を支払うだけで制限なくシステム開発を行うことが可能です。

そのため費用対効果やシステム化によるメリットを気にすることなく、どのような小さい業務であってもシステム化の対象とすることができます。

万が一、費用対効果を示す必要があったとしても、ノーコードを活用するために必要なコストは月数千円程度なので、システム化で1日1時間の時間削減が実現すれば、月度で数万円のコスト削減に繋がるため、十分な費用対効果を見出すことが可能です。

ノーコードを全社的に展開することで、これまでシステム化が及ばなかった部門中に存在する非効率な業務をシステム化することで、全社の生産性向上に繋がります。

情報システム部の手を借りずに済む

ノーコードはコーディング不要でシステム開発ができるため、社内の情報システム部などのIT部門の力を借りずに、現場主導で業務改善のアイディアを形にすることができます。

製造業では情報システム部などにシステム化の相談をすると「別のシステムを開発してるから手が回らない」「システム化する内容を固めてから来てください」と断り文句をもらって、業務効率化のアイディアが頓挫することが多いです。

もちろん、情報システム部が嫌がらせをしているわけではなく、情報システム部は潤沢なリソースを抱えているわけではないので、本当に忙しくて、システム化のサポートをする手が回らない状態なのです。

情報システム部の手が開くのを待っていては、業務改善のアイディアはいつまで経っても、形にならず、時間だけが過ぎてしまい、結果として従業員が諦めてしまい、せっかくの貴重なシステム化のアイディアが無駄になってしまいます。

しかし、ノーコードを活用すれば、情報システム部の力を借りずにシステムを自分たちの手で構築することができます。

ノーコードは従来のようにコーディングを行う必要がなく、その多くがドラック&ドロップの簡単な操作だけでシステムを構築できるので、アイディアさえあれば誰でも簡単にシステムを構築できるのです。

全て自分1人で開発する自信がない方も安心してください。

システムを完璧に実装しなくても、業務をどのように改善し、どれだけ効率化されるかが実証できるプロトタイプを用意して、部門長に披露するだけでも、紙や文字で説明する何倍も簡単に効果を理解してもらえるので、システム開発予算を獲得するのが容易くなります。

製造業におすすめなノーコードアプリ

製造業におすすめなノーコードアプリ

ここまで製造業がノーコードを活用するべき理由とメリットを解説してきました。

製造業がノーコードを活用すべき理由の背景と得られるメリットを理解したことで、ノーコードを活用してみたくなってのではないでしょうか。

しかし、いきなりノーコードを使う前にノーコードでどのようなシステムを構築できるかのイメージを持つことが大切です。

ここでは製造業におすすめのノーコードアプリを2つ紹介していきます。

Glide:カタログアプリ

カタログアプリのスクリーンショット

自社で扱う製品が多く、製品ごとの原価を覚えるのが困難な場合に活躍するのがカタログアプリです。

カタログアプリはモバイルアプリ上で自社製品をカテゴリー別に区分し、サイズ、規格、納期、原価などを簡単に調べることができるアプリです。

特に外出先で顧客から見積依頼や単価確認の連絡が来た際に、毎回社内に確認の電話をしている人に適したアプリになります。

製品のデータはスプレッドシートに格納されているので、新しい商品が出た場合でも、スプレッドシートにデータを追加すれば、最新情報をすぐにアップロードすることができます。

自社製品を豊富に揃えるメーカーの営業担当者の利用に適したアプリになります。

→カタログアプリを試してみたい方はこちら

Glide:現地調査アプリ

現地調査アプリのスクリーンショット

建物の設備点検や補修工事などを行う際に補修部分などの記録を取って工事部門に情報をシェアルするための現地調査アプリが活用されています。

モバイルアプリで外出先からでも簡単に現地調査報告を作成できます。

通常、設備点検や補修前の事前チェックを行う際には記録内容をメモして、該当部分の写真を取って、社内で専用の手書きもしくはExcelに転記する必要があり、他にもわざわざ会社に戻る手間などがあります。

しかし、現地調査アプリを活用すれば、該当部分の写真を撮って、必要な部分をスマートフォンで入力するだけで、作成した報告内容が自動でスプレッドシートに転記されるので、わざわざ報告内容を転記する必要がなくなります。

また、入力方法は手入力以外にも音声入力が活用できるので、報告内容の入力も省力化することが可能です。

→現地調査アプリを試してみたい方はこちら

【まとめ】製造業こそノーコードを活用した現場主導のデジタル化に取り組むべき

この記事ではノーコードを製造業が活用すべき理由とおすすめのサンプルアプリを紹介してきました。

製造業にとってノーコードは、低い生産性、人材不足、コモディティ化を共通課題を解決するための重要な役割を果たす存在となります。

従来のシステム開発のように高額な初期費用をかけずに業務改善の仕組みを構築できるため、「費用対効果の出る業務しかシステム化できない」「情報システム部の手が回らない」にも影響されることはありません。

何より、現場の課題を最も理解しているのは、現場で業務を行っている担当者です。

ノーコードは担当者が感じる業務の課題を自分自身の手で解決できる手段となり、かつ企業側のコスト負担が少ないので、今後の製造業の生産性向上に大きな影響を与えるのではないでしょうか。

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