「ローコード開発ではどの程度のシステム開発に対応できる?」「ローコードツールで実際にどんなシステムが作れるのか知りたい」このような、ローコード開発の事例をお探しではありませんか?
本記事では、数多くの企業でローコード開発を手掛けてきた当社が、ローコードツールを活用した開発事例を5つ紹介します。中でも当社が手掛けた開発事例では、新規事業立ち上げの際にぶつかる壁やローコード開発が適している理由なども詳しく解説します。
この記事を読むことで、ローコード開発の可能性を理解し、開発プロセスの効率化やコスト削減、そしてビジネス成長の実現に向けたヒントが得られるでしょう。ローコード開発を検討している方はぜひ参考にしてください。
ローコード開発とは?
ローコード開発とは、少ないコーディングで迅速かつ効率的にアプリケーションを構築する開発手法です。具体的には、GUIの開発環境を使って、ドラッグ&ドロップ操作で機能を実装します。
ローコード開発は従来のコーディングによる開発に比べて、時間とコストを大幅に削減します。例えば、ローコードプラットフォームを使うと、通常数ヶ月かかる業務アプリの開発を数週間で終えることが可能です。
ローコード開発プラットフォームの登場により、企業のデジタル変革や業務の自動化が急速に進んでいます。今やローコード開発は、ビジネスの変革やイノベーションを生み出す有効な手段と言えるでしょう。
ローコードを使って開発を採用するメリット
ローコードを使った開発には数多くのメリットがあります。主なメリットは次のとおりです。
メリット | 詳細 |
開発時間の短縮 | 従来のコーディングに比べて大幅に開発時間を削減できます。ビジュアルインターフェースとプリセット機能の使用により、迅速なプロトタイピングと製品の市場投入が可能です。 |
コスト削減 | 専門的なプログラミングスキルが不要なため、開発に関わるコストを削減できます。また、短縮された開発時間は、人件費の削減にも直結します。 |
アクセシビリティの向上 | ビジュアルベースの開発環境は、プログラミングの専門知識がない人々でも使用できるため、より多くのチームメンバーやステークホルダーが開発プロセスに参加できます。 |
ビジネス機動性の向上 | ローコード開発により、市場の変化やビジネスニーズの急変に迅速に対応できます。この柔軟性は、競争優位を維持するために不可欠です。 |
エラーの低減 | ローコードプラットフォームは、多くの検証機能とエラーチェックを内蔵しているため、開発中のエラーが少なくなります。 |
イノベーションの促進 | チームメンバーが技術的な制約に縛られることなくアイデアを試すことができるため、クリエイティブなソリューションの探求が容易になります。 |
特に開発リソースや開発予算が限られている環境においてローコード開発は有効です。
ローコード開発事例5選
ここでは、ローコード技術を活用した5つの好事例を紹介します。これらの事例を通じて、ビジネスへどのような成果をもたらすか、具体的なイメージを掴んでいただけたらと思います。
- ローコードの新規事業支援事例(弊社事例)
- LIXIL | 申請業務のデジタル化を実現
- エネチェンジ | 飛躍的な成約件数増加にも対応した、スマートな顧客管理
- TSI | ECに占めるアプリの売上比率30%を達成
- 日本フレックス工業 | DXのカギとなるAI外観検査の導入
ローコードの新規事業支援事例(弊社事例)
まずは当社ファンリピートが手掛けた新規事業支援の事例を紹介します。流通業を展開する株式会社B様では、法人向けの大規模なプロジェクト開発の着手に伴い、要件定義を効率的に進めるためにローコード開発を検討されていました。
ローコード開発を検討した理由としては大きく2つあり、1つ目は初めから高額な費用をかけて開発を行うにはリスクが大きいと判断したこと。2つ目はアジャイル開発を採用するとしても、前段階でPoCの実施は必要になると想定されたことが挙げられます。
そこで、ノーコード開発プラットフォーム「PowerPlatform」を採用。PoCの実施からスピーディに開発を行い、プロジェクトをできる限り手戻りなく円滑に進めていくことになりました。
LIXIL | 申請業務のデジタル化を実現
住宅設備機器・建材の工事、リフォーム、メンテナンスなどを手掛けるLIXILトータルサービスでは、「SmartDB」を導入し、デジタル化基盤として業務プロセスの標準化と最適化に成功しました。
このプロジェクトでは、年間36,000件にも及ぶ申請業務のデジタルワークフロー化により、約5,000時間の業務削減に成功。さらに、システムの統合と標準化により、承認待ち時間を50%削減し、業務の効率化を実現しました。
さらに、サイロ化されたシステムの課題を解決し、誤申請による差し戻しが84%減少するなど大きな成果をもたらしました。
参考:SmartDB導入事例・活用事例|株式会社LIXILトータルサービス
エネチェンジ | 飛躍的な成約件数増加にも対応した、スマートな顧客管理
エネチェンジ株式会社は、サイボウズの「kintone」を導入し、飛躍的な成約件数の増加に対応した顧客管理を実現しました。同社は以前、エクセル形式のスプレッドシートで数千の顧客を管理していましたが、データ重複や更新の誤りによる問題に直面していました。
kintone導入により、これらの問題が解決され、情報管理の効率化が達成されました。これにより、電力自由化に伴う問い合わせ数の急増にも対応し、法人案件の成約件数が15倍に増加しました。また、至急の案件に対する対応スピードが向上し、営業スタッフのモチベーションも高まりました。
TSI | ECに占めるアプリの売上比率30%を達成
株式会社TSIは、アプリプラットフォームYappli(ヤプリ)を導入して、EC売上の約30%をアプリ経由で達成しました。Yappli導入の決め手は、誰でも簡単に扱えるCMSの使いやすさと、運用の容易さでした。
店舗スタッフと連携してアプリのダウンロードを促進し、ブランド特性を活かした施策を展開。これにより、ダウンロード数とアクティブ率が大幅に向上しました。
アプリによる売上がEC売上の約30%を占める結果を達成し、店舗と社内の幅広い部署を巻き込んでアプリの活用に取り組むなど、好影響をもたらしています。
日本フレックス工業 | DXのカギとなるAI外観検査の導入
コントロールケーブルの専門メーカーである日本フレックス工業株式会社は、全社的なDX推進の一環としてAI検査MENOUを導入しました。これにより、既存の選別装置と連携を実現し、ノーコードでAI外観検査を行えるようになりました。
導入後は、無償検証を通じてAIによる画像解析の実現可能性を確認し、その後社内でAI学習を推進。導入効果として、AIによる外観検査の基準を人の目視検査と合わせることで、検査仕様が整理・統一され、定量的な判断が可能になりました。
ローコード開発を成功させるコツ
新規事業立ち上げの際にぶつかる壁
新規事業立ち上げの際にぶつかる壁としては、次の5つが挙げられます。
- 市場調査の難しさ
- リソースの制約
- 製品開発と市場整合性
- 競争と差別化
- ROI(投資収益率)の証明
このような原因から、新規事業は成果が出るまでに時間が掛かることや、最悪の場合事業撤退も起こり得ます。したがって、事業計画の策定、市場調査、資金調達などを通じてプロジェクトを慎重に進めることが重要です。
①実際の画面イメージをベースにした迅速な要件定義
PowerPlatformでは、実際の画面イメージをベースにした迅速な要件定義が可能です。ワイヤーフレームなどの認識を合わせを行いながら進めるので、認識相違を防ぎます。
また、機能に関する実装の可否や実装方針はアプリケーションありきなので議論に時間が掛かりません。議題の中身がシステムの本質や全体像にフォーカスできるので、スピーディに開発に着手できます。
②ローコードツールを使用した短期間でのシステム開発/PoCの実施
PowerPlatformを活用することで、短期間でプロトタイプを構築し、要望改善を行うことで、スピーディにPDCAサイクルを回せます。したがって、開発業務に時間が掛からないため、システム開発の本質的な課題解決に取り組むことができ、顧客が求めるアウトプットを迅速に提供できます。
③プロジェクトの成果
結果として、当初の予定よりも短期間での開発に成功し、要件定義フェーズを大きく進捗できました。また、チーム内でのシステムのイメージ共有が円滑になり、手戻りなくプロジェクトを進めることに成功。開発時に課題となる落とし穴のような箇所が可視化され、事前に発見しやすくなりました。
当社を選んでいただいた理由
株式会社B様からは、「最初の打ち合わせで要件に対する理解度が高く、プロジェクトの目線合わせもしやすかった」「要件定義や各資料の質、対応スピードが早かった」といった評価をいただきました。
こうした評価をいただけたのも、当社では要件定義のフォーマットを作成し、抜け漏れなく管理を徹底している点。クライアントファーストの開発を常に心がけている点がポイントであったと感じています。
まとめ
本記事では、ローコード開発を活用した具体的な事例を5つ紹介しました。これらの事例を通じて、ローコードツールが業務効率化、コスト削減、そしてイノベーション促進にどのように貢献するかをご理解いただけたと思います。
今回紹介した事例以外にも、ローコード開発は多様なビジネスニーズに対応しています。もし業務効率化やDX化に課題を抱えている場合は、ローコード開発の実績が豊富なシステム会社に相談することをおすすめします。