「Difyって最近やたらと聞くけど、イマイチ何ができるのかわからない…」
本記事ではこういった悩みを持つ方向けに、Difyとはそもそも何なのか、どういうことができるかを解説します。最後まで読めばなんとなく全貌がつかめるはずです。
Dify(ディファイ)とは?
AIアプリ開発の常識を覆し、誰でもAIアプリ開発者になれる 可能性を秘めているのが、「Dify (ディファイ)」 という革新的なプラットフォームです。
一言で表すなら、「ノーコードAIアプリ開発プラットフォーム」。Difyならコードを書かずに、 視覚的な操作だけでAIアプリを開発できます。
特定のタスクや目的を達成するために動作するAIエージェントや、複雑な処理を行うAIモデルなどをノーコードで作れます。
LangChainとの違いは? – ノーコードの圧倒的な手軽さ
AIアプリ開発を支援するツールとして、「LangChain (ラングチェーン)」 というライブラリも有名です。LangChainは、大規模言語モデル(LLM)を活用したアプリケーション開発を効率化するための強力なツールですが、基本的にプログラミングが必須 です。
一方、Difyはノーコード。LangChainのようなコードベースのツールと比較して、圧倒的な手軽さ が魅力です。
Difyの特徴・できること
Difyが多くのユーザーから注目を集める理由は、その革新的な特徴と、AIアプリ開発の可能性を広げる多様な機能 にあります。
ここでは、Difyが持つ5つの主要な強み を徹底的に解説します。
ノーコードで簡単にアプリ開発ができる
Dify最大の強み、それは「ノーコード」 であること。
Difyの操作画面は、直感的で分かりやすい デザイン。ワークフローを選んでつなげるだけで簡単にプログラムが作れます。
- ドラッグ&ドロップ: 必要な機能を画面上に配置し、線で繋ぐだけの簡単操作。
- 豊富なコンポーネント: テキスト処理、画像認識、データ分析など、様々なAI機能が部品として用意されています。
- 視覚的なワークフロー: アプリの処理の流れを視覚的に確認しながら開発を進められます。
- リアルタイムプレビュー: 作成中のアプリの動作をすぐに確認できるので、試行錯誤もスムーズ。
プログラミングの知識があればもっと高度なものが作れるので、チャレンジしてみるのもいいと思います。
多様なAIモデルプロバイダーをサポート
Difyは様々なAIモデルプロバイダーに対応しています。
- OpenAI: GPT-4、GPT-o1など、最先端の自然言語処理モデル
- Google: Gemini
- Azure OpenAI Service: Microsoftが提供する企業向けOpenAIサービス
- Llama 2: Meta社が開発した高性能なオープンソースLLM
これらの主要なAIモデルプロバイダー に加え、Hugging Face や Replicate など、さらに多くのAIモデルを活用できます。
- 用途に合わせた選択: チャットボットにはGPT-4、画像認識には別のモデル、といったように、アプリの目的に最適なAIモデルを選べます。
- 複数のモデル連携: 複数のAIモデルを組み合わせることで、より複雑で高度なAIアプリを開発することも可能です。
- 常に最新のAI技術: Difyは常に最新のAI技術トレンドをキャッチアップし、対応モデルを拡充していく予定です。
選べるモデルの種類が多いのが良い点といえます。
RAGパイプラインで独自のチャットボット作成
Difyは、「RAG (Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)」 という機能を搭載しています。
RAGとは、AIに大量の独自データ (ドキュメント、FAQ、ナレッジベースなど) を学習させ、そのデータに基づいてより賢く、正確な 回答を生成する技術です。
DifyのRAGパイプラインを活用することで、
- 社内FAQチャットボット: 社内規定や業務マニュアルを学習させ、社員からの質問に的確に回答するチャットボット。
- 顧客サポートチャットボット: 製品マニュアルやFAQを学習させ、顧客からの問い合わせに迅速かつ正確に対応するチャットボット。
- 専門知識Q&A: 専門分野の論文や記事を学習させ、高度な質問にも答えられる専門家レベルのQ&Aシステム。
など、特定の用途に特化した、高性能なチャットボット をノーコードで開発できます。
外部ツールやAPIを組み合わせて高度なAIアプリ開発
Difyは外部ツールとの連携も豊富です。
- Zapier連携: 5,000以上の外部アプリと連携し、ワークフローを自動化。
- Google Sheets/Slack連携: 日常的に使うツールと連携し、AIアプリの利便性を向上。
- API Connector: 独自のAPIをDifyに組み込み、オリジナル機能を追加。
例えば、
- 顧客管理 (CRM) と連携: 顧客データをAI分析し、最適な営業戦略を立案するアプリ。
- ECサイトと連携: 商品情報やレビューをAI分析し、顧客におすすめ商品を提案するアプリ。
- IoTデバイスと連携: センサーデータから異常を検知し、自動でアラートを送信するアプリ。
など、Difyの拡張性はまさに無限大 。あなたのアイデア次第で、高度で複雑なAIアプリ を開発し、ビジネスや生活を革新する可能性を秘めています。
よく使われる機能がテンプレートになっている
Difyには、AIアプリ開発でよく使われる機能 がテンプレート として豊富に用意されています。
- チャットボットテンプレート: FAQチャットボット、カスタマーサポートチャットボット、など様々な用途に対応。
- テキスト生成テンプレート: ブログ記事作成、コピーライティング、メール作成、など文章作成を効率化。
- データ分析テンプレート: データ可視化、レポート作成、市場分析、などデータ活用を促進。
これらのテンプレートを活用することで、
- 開発時間を大幅に短縮: ゼロから開発するよりも、圧倒的に早くアプリを完成させることができます。
- 開発のハードルを下げる: テンプレートをベースにカスタマイズすることで、初心者でも安心して開発に取り組めます。
- アイデアをすぐに試せる: テンプレートを使ってプロトタイプを দ্রুত作成し、すぐにアイデアを検証できます。
「まずは簡単にAIアプリを作ってみたい」 という方にとって、テンプレートはまさに強力な味方 となるでしょう
Dify活用のアイデア
Slackと連携してチャットボットを作る
Slack上でAIがリアルタイムに質問に答え、必要なデータを瞬時に取得し、定期的な報告やタスクを自動で処理してくれます。
・FAQ対応
よくある質問への即時回答で、問い合わせのたびに社内リソースを割く負担を軽減
・データ取得
社内スプレッドシートや外部APIとの連携で、最新の業績数値や在庫状況を一瞬で表示
・レポートや通知
定期報告やリマインダーを自動送信し、情報共有を滑らかに
以下の記事で解説しているので良ければご覧ください。
領収書から文字を読み取って経費申請の提案をしてもらう
Difyのワークフロー機能を活用して「OCRで領収書情報を抽出し、さらに勘定科目まで自動提案する」という仕組みを作るといったことが可能です。
紙の領収書を保管しておく手間が省けるので、経理業務における効率化が期待できます。
Notionと連携して自動で議事録を作ってもらう
音声ファイルをアップロードすると、その内容を認識して自動で議事録に起こしてくれるワークフローです。Notionに自動で保存させることもできるので、毎回手入力で議事録をとる必要がなくなりますね。
Dify×○○のアイデアはいくらでも生み出せるので、業務効率化を図るうえでかなり便利なツールとなってくれるでしょう。
Difyの始め方 – ブラウザ版ステップバイステップガイド
「Difyを使ってみたいけど、どうやって始めたらいいの?」
そんな疑問をお持ちのあなたのために、ここではDifyをブラウザで手軽に始める方法 を、ステップバイステップ で分かりやすく解説します。
ステップ1:Dify公式サイトへアクセス
まず最初に、Webブラウザを開き、Difyの公式サイトへアクセスしましょう。
▼ Dify公式サイト
https://cloud.dify.ai/signin
ステップ2:アカウント作成/ログイン
Difyを利用するには、アカウント登録またはログインが必要です。 Difyでは、GitHub または Google のアカウントを利用して、簡単 に登録・ログインできます。
トップページ右上の 「Sign In」 ボタンをクリックしアカウント作成しましょう。
ステップ3:ダッシュボードでAIアプリ開発をスタート
ログインが完了すると、Difyのダッシュボード 画面が表示されます。
ダッシュボード画面では、主に以下のことができます。
- アプリケーション: 作成したAIアプリの一覧、新規アプリ作成
- データセット: RAGに必要なデータセットの管理
- メンバー: チームメンバーの招待、権限管理 (有料プラン)
- 設定: APIキー設定、アカウント設定など
ステップ4:APIキー設定 – OpenAI APIキーを取得してDifyに登録
より高度なAIアプリ開発に挑戦したい場合は、OpenAI や Azure OpenAI Service などのAPIキーをDifyに登録しましょう。 ここでは、OpenAI APIキー の設定方法を例に解説します。
「Model Providers」画面で、「OpenAI」 の項目を探し、右側の 「Setup」 ボタンをクリックします。
「Setup」ボタンをクリックすると、OpenAI APIキーの設定画面が表示されます。
ここに、あなたの OpenAI APIキー を入力する必要があります。APIの取得方法は「OpenAI API」などと調べれば出てきます。
【重要】APIキーの管理
- APIキーは絶対に人に教えない でください。
- APIキーは安全な場所に保管 し、漏洩・紛失 に注意してください。
- APIキーの不正利用には十分注意してください。
Dify利用時の注意点 – 知っておくべきこと
Difyは非常に強力で便利なAIアプリ開発プラットフォームですが、利用する上で注意しておきたい点 もいくつか存在します。 何も知らずに使い始めてしまうと、思わぬ落とし穴 にハマってしまう可能性も…。
ここでは、Difyを安全 かつ 効果的 に利用するために、知っておくべき注意点 を7つのポイント に絞って解説します。 これらの注意点を事前に把握しておくことで、Difyをより安心して活用できるはずです。
注意点1:無料プランは制限あり – 開発回数、クレジット、機能
Difyの無料プラン (SANDBOX) は、Difyを気軽に試せるプランですが、いくつかの制限 があります。
- メッセージクレジット: 月間200回まで (AIモデルの利用回数制限)
- 開発できるアプリ数: 10個まで
- ベクトルストレージ: 5MBまで (RAG用データ容量制限)
- カスタムツール: 利用不可
- ログ履歴: 15日間
特に注意したいのは メッセージクレジット 。 AIアプリのテストや実行、ユーザーとのインタラクションなど、AIモデルを利用するたびにクレジットが消費されます。 無料プランの場合、クレジットを使い切ってしまうと、その月のAIアプリ利用ができなくなります 。
【対策】
- 無料プランの制限を理解する: 事前に制限内容を把握し、計画的に利用する。
- クレジット残量を常に確認する: ダッシュボードでクレジット残量をチェックし、使いすぎに注意する。
- 有料プランへのアップグレードを検討する: 本格的に利用する場合は、有料プランへの移行を検討する。
注意点2:セキュリティ対策は自己責任 – 情報漏洩リスクに注意
Difyは便利なプラットフォームですが、セキュリティ対策はユーザー自身の責任 において行う必要があります。 特に、以下の点に注意が必要です。
- APIキーの管理: OpenAI APIキーなどのAPIキーは厳重に管理し、漏洩・紛失に注意する。
- データセキュリティ: RAGで利用するデータセットや、アプリで扱うユーザーデータなどのセキュリティ対策を講じる。
- 外部ツール連携: 外部ツールやAPI連携を行う際は、連携先のセキュリティポリシーを確認し、安全な連携方法を選択する。
- ファイアウォール設定: ローカル環境でDifyを利用する場合は、ファイアウォール設定などを行い、不正アクセスを防ぐ。
【対策】
- APIキーの安全な管理: APIキーは安全な場所に保管し、人に教えない。環境変数などを活用してコードに直接埋め込まない。
- データ暗号化: 重要なデータは暗号化して保存する。
- アクセス制御: 不要なアクセスを制限し、アクセス権限を適切に設定する。
- セキュリティ診断: 定期的にセキュリティ診断を実施し、脆弱性をチェックする。
- Difyのセキュリティ機能: Difyが提供するセキュリティ機能を活用する (オンプレミス環境、アクセス制御など)。
注意点3:API利用料金は別途発生 – LLMプロバイダーの料金体系を確認
DifyはAIアプリ開発プラットフォームですが、AIモデル (LLM) の利用料金は別途発生 します。 Difyの料金プランとは別に、利用するLLMプロバイダー (OpenAI, Azure OpenAI Serviceなど) の料金体系を確認しておく必要があります。
特に OpenAIのGPT-4 など、高性能なLLMは利用料金が高めに設定されています。 AIアプリの利用頻度やデータ量によっては、API利用料金がDifyの利用料金よりも高額になる 場合もあります。
【対策】
- LLMプロバイダーの料金体系を確認する: 利用するLLMの料金体系を事前に確認し、予算を立てる。
- 無料枠を活用する: 多くのLLMプロバイダーは無料利用枠を提供しているので、まずは無料枠を活用して試してみる。
- 利用状況をモニタリングする: API利用料金は利用量に応じて変動するため、利用状況を定期的にモニタリングし、予算オーバーにならないように注意する。
- キャッシュなどを活用する: API呼び出し回数を減らすために、キャッシュなどの仕組みを導入する。
注意点4:オープンソースソフトウェア (OSS) – ライセンス、商用利用条件を確認
Difyは オープンソースソフトウェア (OSS) として公開されています。 OSSは無料で利用できる というメリットがある一方で、ライセンス や 商用利用条件 など、注意すべき点もあります。
Difyは Apache 2.0 License というライセンスで提供されています。 Apache 2.0 License は比較的自由度の高いライセンスですが、利用規約 をよく確認し、ライセンス条件 を遵守する必要があります。
特に 商用利用 を検討している場合は、以下の点に注意が必要です。
- マルチテナントSaaS: 複数の企業や組織が共有するSaaSサービスとしてDifyを提供する場合、商用ライセンスが必要になる場合があります。
- ロゴ・著作権表示: Difyのロゴや著作権表示を削除・変更する場合は、商用ライセンスが必要になる場合があります。
【対策】
- Apache 2.0 License を確認する: ライセンス条項を理解し、遵守する。
- Dify公式サイトの利用規約を確認する: 利用規約を読み、禁止事項や注意点を確認する。
- 商用利用の場合はDifyビジネスチームに問い合わせる: 商用ライセンスが必要かどうか、Difyビジネスチームに確認する。
注意点 7:コミュニティサポートは英語中心
Difyはグローバルなプラットフォームであり、コミュニティサポートは英語が中心 です。 Dify公式サイトやドキュメントも英語がメインで、日本語情報はまだ十分とは言えません 。
日本語での情報収集 や サポート を期待する場合は、現状では限定的 であることを理解しておく必要があります。
【対策】
- 英語の情報源を活用する: Dify公式サイト、公式ドキュメント、英語コミュニティフォーラムなどを活用する。
- 翻訳ツールを活用する: DeepLなどの翻訳ツールを活用し、英語情報を日本語に翻訳する。
- 日本語コミュニティを探す: 有志によって運営されている日本語コミュニティ (SNSグループ、フォーラムなど) を探してみる。
- 日本語情報の発信に貢献する: Difyに関する日本語情報を積極的に発信し、日本語コミュニティの活性化に貢献する。
まとめ
Difyは、専門知識がなくとも、ビジネスに革新をもたらすAIアプリ開発を可能にするプラットフォームです。
直感的な操作性、多様なAIモデル、RAGエンジンといった強みを持ち、無料プランから始められます。情報セキュリティや利用規約など、注意点もいくつかありますが、これらを理解すれば、Difyは業務効率化や新たな価値創造の強力な推進力となるでしょう。この機会にDifyを活用し、貴社ならではのAIアプリケーション開発に挑戦し、ビジネスの可能性を広げてみてはいかがでしょうか。