AppSheetで作る備品発注申請アプリ。20分でできる市民開発のすすめ

当メディアでは度々AppSheetで何かを作ってみよう!という記事を出していますが、今回はタスク管理アプリを作ってみましょう。

AppSheetならスプレッドシート内のデータを読み込ませるだけで、一瞬でアプリが作れます。そこからちょこちょこ機能を追加するだけなので簡単です。その他、AppSheetで作るメリットなども解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

AppSheetとは?なぜタスク管理アプリの内製化に最適なのか?

AppSheetは、Google Workspace(旧G Suite)のユーザーであれば、プログラミングの専門知識がなくても、業務に必要なアプリを自分で作れる、ローコード・ノーコード開発ツールです。

スプレッドシート内のデータから10秒くらいで大まかなアプリ画面を作成してくれますし、機能を追加したり細かな調整だって簡単にできます。

初めてアプリを作る人でもほんの少し使い方を学ぶだけで作成できるので、非エンジニアでも業務アプリが作成可能。

ローコード・ノーコード開発とは?

ローコード・ノーコード開発とは、従来のシステム開発のように、複雑なプログラミングコードを記述する代わりに、あらかじめ用意された部品や機能を組み合わせてアプリを開発する手法です。これにより、開発にかかる時間やコストを大幅に削減し、専門的な知識がない方でもアプリ開発に取り組むことが可能になります。

なぜAppSheetが備品発注管理アプリの内製化に最適なのか?

AppSheetが備品発注管理アプリの内製化に最適な理由は、以下の点が挙げられます。

  • コスト削減効果: 外部のシステム開発会社に依頼する場合、高額な開発費用が発生します。AppSheetを活用すれば、自社内でアプリ開発ができるため、これらの費用を大幅に削減できます。また、AppSheetは無料プランから利用開始でき、月額料金もリーズナブルなため、中小企業でも導入しやすいのが特徴です。
  • 迅速な開発: ローコード・ノーコード開発のため、プログラミングの知識がなくても、短期間でアプリを開発できます。既存のテンプレートを活用したり、スプレッドシートのデータを取り込んだりすることで、さらに開発スピードを加速できます。
  • 柔軟なカスタマイズ: AppSheetは、自社の業務プロセスや管理方法に合わせて、アプリを柔軟にカスタマイズできます。必要な項目や機能だけを追加したり、表示方法を変えたり、自社の業務に合わせたアプリを開発できます。
  • Google Workspaceとの親和性: AppSheetは、Google Workspace(旧G Suite)との連携が非常にスムーズです。Google スプレッドシートをデータソースとして活用できるため、既存のデータをそのまま利用できます。また、Googleアカウントで簡単に利用開始できるため、導入のハードルが低いのも魅力です。
  • 保守性の高さ: ローコード・ノーコードで開発されたアプリは、修正や機能追加も比較的容易です。そのため、運用後の保守にかかる手間を軽減できます。

このように、AppSheetは、コストを抑えながら、自社の業務に最適化された備品発注管理アプリをスピーディーに開発できる、中小企業にとって非常に魅力的なツールです。

AppSheetで作る備品発注管理アプリの基本機能

AppSheetを使えば、自社の業務に合わせた備品発注管理アプリを、まるでパズルのように組み合わせて作成できます。ここでは、発注業務を効率化するために必要な基本機能と、それぞれの機能がどのように役立つのかを具体的に解説します。

備品発注管理アプリに必要な基本機能

  1. 備品カタログ機能:
    • 社内で購入可能な備品を一覧で表示する機能です。
    • 備品名、画像、型番、価格などの情報を表示できます。
    • カテゴリーごとに分類したり、検索機能もつけると、目的の備品をすぐに見つけられます。
    • 新しい備品を追加したり、価格を更新したりすることも簡単にできます。
  2. 発注フォーム機能:
    • 備品を発注するための入力フォームを作成します。
    • 発注者、発注日、備品名、数量、納品先などの情報を入力できます。
    • 入力必須項目を設定したり、プルダウンメニューを利用したりすることで、入力ミスを減らすことができます。
    • 発注時にコメントや備考欄を追加することも可能です。
  3. 承認ワークフロー機能:
    • 発注された内容を、承認者(上長や購買担当者)が確認し、承認/却下するプロセスを設定できます。
    • 承認状況をアプリ上で確認できるため、承認の遅れを防ぐことができます。
    • 承認者が複数いる場合、段階的な承認フローを設定することも可能です。
  4. 発注履歴管理機能:
    • 過去の発注履歴を一覧で表示できます。
    • 発注日、発注者、備品名、数量、金額などの情報が確認できます。
    • 過去の発注履歴を検索したり、絞り込んだりすることもできます。
    • 発注の傾向を分析し、在庫管理や予算管理に役立てることができます。
  5. 在庫管理機能:
    • 在庫数を登録・管理できます。
    • 発注があった場合に、自動的に在庫数を減らすように設定することも可能です。
    • 在庫数が少なくなった場合に、アラート通知を出すことも可能です。
    • 在庫切れを防ぎ、無駄な発注を減らすことができます。
  6. 通知機能:
    • 発注や承認があった際に、関係者に通知メールを送信します。
    • 期日が近づいた時、通知を出すことで発注忘れを防ぎます。
    • これにより、タイムリーな情報共有が可能になり、業務の遅延を防ぐことができます。

各機能のポイント

  • これらの機能は、AppSheetの標準機能で簡単に作成できます。
  • Google スプレッドシートで作成したデータと連携させることで、より柔軟なアプリ開発が可能です。
  • Power Automateと連携すれば、さらに高度なワークフローやデータ連携も実現できます。

これらの機能があれば、備品の発注から承認、在庫管理まで、一連の業務をスムーズに行うことができるでしょう。

簡単な備品発注管理アプリを作ってみよう

アプリの要件
  • 備品発注申請
  • 申請した人にメールで通知
  • 発注が完了しても通知が行く
  • 申請した人の詳細が見れる

今回は上記のような機能を持つ、備品発注申請アプリをAppSheetで作っていきます。ある程度AppSheetを触っている人であれば20分ほどで作れるはずです。

スプレッドシートの中身

素材となるスプレッドシートを作っていきましょう。以下の要素を入力してください。

シート名は「発注」でOK。発注IDの個所は空欄で大丈夫です。※アプリ完成後にスクリーンショットを撮ったので埋まっています。

別で「従業員マスタ」というシートも作成します。従業員IDは空欄でいいので、以下の要素を入力してください。

完了したら、スプレッドシート内の「拡張機能」→「AppSheet」を選びアプリを作成しましょう。

機能を作っていく

まずはDataタブに行き、従業員マスタのデータを作成しましょう。+ボタンを押すと、「あなたは従業員マスタというテーブルを追加したいのではないですか?」と提案されるので、Add Table 従業員マスタを選びましょう。

KEYとLABELのチェック個所は以下のように設定してください。

また、従業員IDにはランダムな値を割り振りたいので、従業員IDの横の鉛筆マークを押し、「Auto Compute」→「Initial Value」に行き、UNIQUE ID()と入力しましょう。

次は「発注タブ」の設定です。

KEYとLABELのチェックは以下のようにしてください。画像ではNo Itemsと表示されていますが、+ボタンから備品発注申請の入力をすることで表示されるはずです。

優先度とステータスは手入力よりも選択肢から選ぶ方が良いので、TYPEをENUMに変えておきます。

また、従業員名のところも今登録されている人の中から選べるようにしたいので、TYPEを「Ref」にし、Source tableを「従業員マスタ」に設定しておきましょう。

表示を見やすく

次は左横のスマホのアイコンから、Viewsに行きます。ここでは表示の設定ができるので、Primary headerを商品名、secondary headerを優先度、summary headerを注文予定日に設定してください。

また、今のままだとみずらいので商品名を太字にしたり、優先度を赤字にすればより見やすくなります。Viewsにカーソルを合わせ、Format rulesに行き、Add Format rules→Create a new format ruleをクリックしましょう。

メール通知ができるようにする

左横のロボットのアイコンをクリックすると、自動化の設定ができます。申請後に自動でメール通知が来るように設定しましょう。Create my first automationをクリック。

When this Event occurs(このイベントが起こったとき)は発注申請が入った場合を考えます。右側のTableは発注を選択、Data Change typeはAddsのみを選択します。Event nameは何でもOK。

次のアクションではどのメールアドレスに送信するか?を設定。SettingはSend an Emailを、Email TypeはCustom templateを選択しましょう。

Toの欄に、送り先のメールアドレスを入力します。

Email Subjectは件名、Email Bodyは本文なのでそれぞれ設定。SAVEをすればこれでメール通知は完成です。

うまくいけばこんな感じで受信トレイに表示されるはずです。

また、発注自体が完了した場合にステータスが自動で切り替わると嬉しいですよね。これは左横の雷マーク(Action)から設定可能。発注の個所に既に4つあると思うので、+マークを押して新規作成。

Set these columnsの個所は、ステータス=完了と設定してあげます。

最後に、発注が完了したらその旨をメールで通知する機能も作っておきます。ロボットのマークから、Botsを新規作成、以下の画像のように設定します。

Conditionには、Data Explorer→[ステータス]=完了と入力しましょう。

あとは先ほど同様、誰にメールを送るかを設定すればOk。ちなみに、TOの個所では[従業員].[メールアドレス]と入力すると、申請した人宛てに送るように設定できます。

うまくいけばこのような感じでメール通知が行きます。

内製化で実現するメリット

AppSheetを使って備品発注管理アプリを内製化することで、コスト削減だけでなく、現場のニーズに合ったシステムを構築し、業務効率をさらに高めることができます。内製化によって得られる、コスト削減以外のメリットについては以下のとおり。

  • 開発スピードの向上:
    • 外部のシステム開発会社に依頼する場合、どうしても開発期間が長くなりがちです。
    • 内製化であれば、自社のペースで開発を進めることができるため、よりスピーディーにアプリをリリースできます。
    • AppSheetのようなローコード・ノーコードツールを活用することで、さらに開発期間を短縮できます。
  • 柔軟なカスタマイズ:
    • 外部のシステムは、汎用的な機能しか備わっていない場合が多く、自社の業務プロセスに合わないこともあります。
    • 内製化であれば、自社の業務フローに合わせてアプリを自由にカスタマイズできます。必要な項目を追加したり、不要な機能を削除したり、柔軟に対応できます。
    • これにより、現場のニーズに本当に合ったアプリを開発できます。
  • 業務プロセスの最適化:
    • アプリ開発の過程で、業務フローを見直すことができます。
    • 今まで当たり前だと思っていた非効率なプロセスを改善し、より効率的な業務フローを設計できます。
    • 内製化することで、現場の担当者も開発に関わるため、より現場に合ったアプリを開発できます。
  • 属人化の解消:
    • 特定の担当者しかアプリの操作や管理方法を理解していない状態を防ぐことができます。
    • 複数人で開発に携わることで、知識やノウハウが共有され、属人化を防ぎます。
    • これにより、担当者が不在の場合でも、他のメンバーがスムーズに業務を引き継ぐことができます。
  • 現場担当者のITスキル向上:
    • 内製化を通じて、社員はローコードツールの使い方や、業務改善のプロセスを学ぶことができます。
    • これにより、ITスキルが向上し、自ら業務効率化を進められる人材を育成できます。
  • 迅速な改善:
  • アプリを利用していく中で、改善点や不具合が見つかった場合、外部のベンダーに修正を依頼する手間を省き、自社内で迅速に対応できます。
  • 内製化によって、ユーザーのフィードバックをすぐにアプリに反映できるため、より使いやすいアプリへと成長させることができます。

このように、内製化は、コスト削減だけでなく、システム開発のスピードアップ、自社に合わせた柔軟なカスタマイズ、業務プロセスの最適化、属人化の解消、社員のITスキル向上など、多くのメリットをもたらします。

まとめ

AppSheetが使いこなせれば日々の業務がもっと円滑に進むかもしれません。有能なアプリが作れればペーパーレスだって進みますし、上司からの評価も上がるかも…!

何より自分で作ったシステムで毎日の作業がもっと楽になるって、すごい面白いと思います。もっとこうしようかな、この機能があったらいいよね、、など創作意欲がわくでしょう。直感的に構築できるので、コードとにらめっこすることはあまりないはずです。

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