Power Automate を活用した業務自動化、注目されていますよね!面倒なルーティンワークを自動化し、生産性向上を実現できるPower Automateは、多くの企業で導入が進んでいます。
しかし、いざPower Automateを導入しようとした際に、
「どのライセンスを選べばいいの?」
「どれくらいの人数で利用できるの?」
「パフォーマンスは大丈夫?」
といった疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?
特に、Microsoft 365 E5ライセンスを保有している企業様にとって、Power Automateのライセンス体系は少し複雑に感じるかもしれません。
先日、あるお客様(仮に松倉様とします)からこんなご相談を受けました。
「Microsoft 365 E5ライセンスは使えるんだけど、Power Automateのプロセスライセンスって、何人まで使えるの?パフォーマンスに影響が出たりしない?」
松倉様は、Power Appsでのアプリ開発経験があり、API連携なども試されているとのこと。しかし、Power Automateのライセンス体系や運用規模、そして管理体制について悩んでおり、導入をためらっている状態でした。
そこで今回は、松倉様のような悩みを抱えている企業様に向けて、Power Automateのプロセスライセンス、ユーザー数の目安、そしてパフォーマンスへの影響について詳しく解説します。さらに、スムーズな導入のための管理運用体制の構築についても触れていきます。
この記事を読めば、Power Automateのライセンスやパフォーマンスに関する疑問が解消され、自信を持って導入を進められるようになるはずです!
Power Automate のライセンス体系をおさらい
Power Automateのライセンスは、少し複雑で分かりづらいと感じている方もいるかもしれません。実は、大きく分けて「ユーザー単位」のプランと「プロセス単位」のプランの2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
間違ったライセンスを選んでしまうと、想定外のコストが発生したり、必要な機能が利用できなかったりする可能性があるので、しっかり理解しておきましょう。
1. ユーザー単位のプラン
- 特徴: ユーザーごとにライセンスを割り当てる方式。フローの実行回数や作成数に制限がないため、1人のユーザーが複数のフローを自由に作成・実行可能。
- メリット: フローの実行回数を気にせず利用できるため、幅広い自動化ニーズに対応可能。
- デメリット: ユーザー数が増えるとコストも比例して増加。利用状況によっては、プロセス単位プランよりも高額になる可能性も。
- 種類:
- Power Automate per user plan with attended RPA:有人RPAアドオン付き
- Power Automate per user plan:有人RPAアドオンなし
2. プロセス単位のプラン
- 特徴: 特定のフローを実行するプロセスごとにライセンスを割り当てる方式。ユーザー数に制限はなく、ライセンスが割り当てられたフローは誰でも実行可能。
- メリット: ユーザー数が多い場合でも、フローの実行数に応じてコストを最適化できる。
- デメリット: フローの実行回数が増えるとコストも増加。ユーザー単位のプランと比較して、フローの作成・実行に制限がある。
- 種類:
- Power Automate per flow plan
E5ライセンスで利用可能な範囲
Microsoft 365 E5 ライセンスには、Power Automate の一部機能がすでに含まれています。「標準コネクタ」を利用したフローの作成・実行が可能ですが、高度な機能や「プレミアムコネクタ」を利用するには、別途ライセンスが必要となる場合があります。
E5ライセンスで利用できるPower Automateの機能は限定的であるため、本格的な業務自動化や複雑なフローの構築には、個別のPower Automateライセンスの購入を検討する必要があります。
落とし穴に注意
E5ライセンスでPower Automateを利用する場合、「標準コネクタ」のみの使用に限定されていることを理解しておくことが重要です。知らずに「プレミアムコネクタ」を利用してしまうと、後から予期せぬ追加費用が発生する可能性があります。コネクタの種類については、Microsoftの公式ドキュメントで確認することをおすすめします。
どのライセンスプランが最適かは、自動化したい業務の内容、想定ユーザー数、フローの実行回数などによって異なります。それぞれのプランの特徴を理解し、自社に最適なライセンスを選択しましょう。
プロセスライセンスで何人まで運用可能? – パフォーマンスへの影響は?
Power Automateのプロセスライセンスは、実行回数ベースの課金体系であるため、ユーザー数に制限はありません。つまり、ライセンスが適用されたフローは何人でも実行できます。
しかし、だからといって無制限にユーザーが増えてもパフォーマンスに影響がないわけではありません。フローの実行数や同時実行ユーザー数が増加すると、フローの実行速度が遅くなったり、エラーが発生する可能性があります。
パフォーマンスに影響する要因
Power Automateのパフォーマンスは、以下の要因によって影響を受けます。
- 同時実行数: 多くのユーザーが同時に同じフローを実行すると、処理が集中し、パフォーマンスが低下する可能性があります。
- フローの複雑さ: 複雑な処理や多数のアクションを含むフローは、実行に時間がかかり、パフォーマンスに影響を与えます。
- コネクタの種類: 外部サービスと連携するためのコネクタの中には、処理速度が遅いものもあります。
- データ量: 大量のデータを扱うフローは、実行に時間がかかり、パフォーマンスが低下する可能性があります。
Microsoftの公式情報と推奨事項
Microsoftは、Power AutomateのSLA (Service Level Agreement) を公開しており、一定のパフォーマンスを保証しています。しかし、SLAはあくまで最低限の保証であり、実際の運用においては、上記のような要因によってパフォーマンスが変動することを理解しておく必要があります。
Microsoftは、パフォーマンスの問題が発生した場合のトラブルシューティング方法なども提供しています。公式ドキュメントやサポート情報を参考に、パフォーマンスを最適化するための対策を講じることが重要です。
想定ユーザー数別のライセンス選定ガイド
あくまで一般的な目安ですが、以下を参考にライセンス選定を検討してみてください。
- 少人数 (数十人程度) で、フローの実行回数が少ない場合: プロセスライセンスで十分対応可能。コストを抑えつつ自動化を実現できます。
- ユーザー数が多い、またはフローの実行回数が多い場合: ユーザーライセンスを検討。フローの実行回数に制限がないため、安心して利用できます。
- 非常に大規模な運用を想定する場合: Microsoftの専門家によるコンサルティングを受けることをおすすめします。最適なアーキテクチャやライセンスプランを提案してもらえます。
パフォーマンス監視の重要性
Power Automateには、フローの実行状況を監視するための機能が用意されています。実行時間、エラー発生率などを定期的にチェックし、パフォーマンスの低下や問題の兆候を早期に発見することが重要です。
パフォーマンスに問題が発生した場合は、フローの最適化、同時実行数の制限、ライセンスプランの見直しなどを検討しましょう。
Power Automate の管理運用体制
Power Automateを導入したら終わり、ではありません。むしろ、導入後こそが本番です。しっかりと管理運用体制を構築することで、初めてPower Automateの真価を発揮し、長期的な成功を実現できます。
Power Automateの野良化を防ぎ、セキュアかつ効率的な運用を実現するためのポイントを見ていきましょう。
管理者、開発者、ユーザーそれぞれの役割
Power Automateの運用には、大きく分けて「管理者」「開発者」「ユーザー」の3つの役割があり、それぞれが責任を持って取り組むべきタスクがあります。
- 管理者:
- Power Automate環境全体の管理
- ライセンス管理、アクセス権限設定
- セキュリティポリシー策定、ガバナンスの徹底
- 運用状況の監視、パフォーマンスの最適化
- 開発者やユーザーへのサポート
- 開発者:
- フローの設計、開発、テスト
- パフォーマンス最適化、エラー対応
- ドキュメント作成、メンテナンス
- ユーザー:
- 作成されたフローの実行
- エラー発生時の報告
- 利用状況に関するフィードバック
これらの役割を明確に定義し、責任分担を明確にすることで、スムーズな運用を実現できます。
センターオブエクセレンス (CoE) の構築
大規模な導入を検討している企業には、センターオブエクセレンス (CoE) の構築をおすすめします。CoEは、Power Platform を含むローコード開発全体の推進、ガバナンス、ベストプラクティスの共有などを担う組織横断的なチームです。
CoEを設立することで、Power Automateの利用を促進し、組織全体の生産性向上に貢献できます。CoEメンバーは、Power Automateに関する深い知識と経験を持ち、他のユーザーへのサポートやトレーニングなども行います。
ガバナンスとセキュリティ対策
Power Automateの運用においては、ガバナンスとセキュリティ対策も非常に重要です。
- ガバナンス: 誰がどのようなフローを作成・実行できるのかを明確に定義し、適切な管理を行うことで、シャドーITの発生やセキュリティリスクを抑制。
- セキュリティ対策: アクセス権限の適切な設定、データの暗号化、多要素認証など、セキュリティ対策を徹底することで、情報漏洩などのリスクを軽減。
具体的な対策例
- Power Automateの管理センターで、フローの作成・実行権限を設定する。
- データ損失防止 (DLP) ポリシーを設定し、機密データの外部への流出を防止する。
- 定期的なセキュリティ監査を実施し、脆弱性を早期に発見・対処する。
管理運用体制の構築は、Power Automate 導入成功の鍵
Power Automate の導入効果を最大化するためには、しっかりと管理運用体制を構築することが不可欠です。管理者、開発者、ユーザーがそれぞれの役割を理解し、連携することで、セキュアで効率的な運用を実現しましょう。
まとめ
Power Automateの導入を検討する際、ライセンス体系やパフォーマンス、運用体制など、様々な疑問が出てくるのは当然です。特にプロセスライセンスは、ユーザー数ではなく実行回数ベースのため、その運用規模を正しく理解することが重要です。
この記事では、同時実行数やフローの複雑さといったパフォーマンスへの影響要因、そしてMicrosoft公式情報に基づいたライセンス選定の考え方を解説しました。さらに、導入後の成功を左右する管理運用体制の重要性についても強調しました。
まずは小規模なパイロット運用から始め、段階的に全社展開を進めることがおすすめです。ファンリピートは、お客様のPower Automate導入を包括的に支援するサービスを提供しています。ぜひ、お気軽にご相談ください。