アプリ開発に興味はあるものの、「プログラミングは難しそう」「何から始めればいいのかわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、アプリ開発は初心者でも始められます。必要な手順と段階的なスキル習得を行うことで、誰でも自分のアイデアをアプリとして形にすることができます。
この記事では、アプリ開発の基礎から応用まで、初心者でも理解しやすいように解説します。また、プログラミング学習なしでもアプリ開発ができるノーコード・ローコード開発に関してメリットとデメリットをご紹介します。
そもそもアプリって何?
アプリケーション、通称アプリとは、コンピュータやスマートフォン上で特定のタスクや操作を実行するためのソフトウェアです。娯楽や日常的な利用であったり、ビジネスを効率化するためであったりと様々な種類のアプリがあります。
よく使われるアプリの例としては、ゲームアプリやSNSアプリ、ビジネスツール、健康管理アプリなどが挙げられるでしょう。
アプリは基本的に「WEBアプリ」と「スマホアプリ」の二つに分けられます。以下では、それぞれについて解説していきます。
WEBアプリ
Webアプリとは、ブラウザを介して使用できるアプリケーションで、インターネットがあればどこからでもアクセスできます。代表的な例としては、GoogleドキュメントやSlack、Zoomなどが挙げられます。
Webアプリの大きな利点は、ユーザーがインストールや更新作業を行う必要がない点です。開発者側でサーバーにアップデートを適用すれば、すべてのユーザーに自動で反映されます。ただし、インターネット環境が必須であるため、オフライン時には使用できないという欠点があります。
スマホアプリ
スマホアプリとは、iOSやAndroidのオペレーティングシステムで動作するアプリケーションのことです。これらはデバイスに直接インストールされ、インターネットがなくても利用できることが多いです。
ゲームやSNS、カメラ、地図など、スマホ固有のハードウェア機能とも連携しやすく、よりリッチなユーザー体験を提供できます。
PCへの対応ではなく、スマートフォン向けにのみ開発を行うことになるので、デザインやUXについて考えやすいという利点があります。
iPhoneとAndroidのどっち?
日本市場では、iPhone(iOS)の利用者が多く、特に若年層や富裕層に人気です。しかし、世界全体ではAndroidが主流となっており、特に新興国ではAndroidのシェアが高い傾向にあります。
両方のプラットフォームに対応することで、広範囲のユーザーにリーチできるため、多くの企業や開発者はiOSとAndroidの両方にアプリを提供することを目指しています。より最適なユーザー体験を提供するためには、ターゲットに合わせた開発を意識するとよいでしょう。
アプリ開発初心者がアプリを作る時の手順
アプリ開発は初めての人にとっては挑戦的な作業ですが、適切なステップを踏むことで、誰でも自分のアイデアを形にすることが可能です。
こちらでは、初心者がアプリを開発する際に従うべき基本的なステップを紹介します。
1. 目標を設定する
まず、アプリを開発するにあたって最も重要なことは、「なぜそのアプリを作りたいのか?」という目的を明確にすることです。どのようなアプリを作りたいのかのイメージが固まれば、そこに合わせて必要な技術や学ぶべきプログラミング言語も自然と見えてきます。
例えば、シンプルなToDoリストアプリを作りたい場合は、基本的なプログラミングスキルがあれば十分です。一方で、複雑なゲームやAIを搭載したアプリを作りたい場合は、より高度なスキルや技術が求められます。
2. 言語や開発手段を選ぶ
アプリ開発に使用できるプログラミング言語は非常に多岐にわたります。iOS向けのアプリを作るならSwiftやObjective-C、Android向けならKotlinやJava、そしてWebアプリにはJavaScriptやPythonが主流です。作りたいアプリに合わせて学ぶ開発言語を選ぶようにしましょう。
また、近年ではコードを書かなくてもアプリを作れる「ローコード」や「ノーコード」の開発手法も注目されています。ローコードツールはある程度のプログラミング知識が必要ですが、ノーコードツールはプログラミングの知識がなくてもアプリ開発が可能です。
3. 学習リソースを見つける
アプリ開発を進める上で、自己学習は避けて通れません。幸いなことに、今日では豊富な学習リソースがインターネット上に揃っています。
オンラインコース
UdemyやCodecademyといったオンラインプラットフォームは、プログラミング学習に非常に便利です。これらのプラットフォームでは、初心者から上級者まで、あらゆるレベルの学習者向けに幅広いコースが提供されています。
特に、アプリ開発に関連するコースでは、実際の開発現場で使用される技術を学べる実践的なカリキュラムが充実しています。動画を視聴しながら、実際に手を動かして学ぶことで、視覚的かつ実践的にスキルを習得できます。
また、進捗管理機能を使えば、学習のモチベーションを維持しやすく、効率的な学習が可能です。
チュートリアルサイト
チュートリアルサイトでは、動画や実際のコード、解説記事などを通してプログラミングの基本から応用までを学ぶことができます。代表的なサイトとしては、海外だとFreeCodeCampやW3School、国内ではドットインストールなどのサイトがあります。
これらのサイトでは、単に教材を読むだけでなく、実際にブラウザ上でコードを記述しながら学習できる環境が整っています。初心者にとっては、実際にコードを書くことで概念を深く理解できるとともに、幅広いチュートリアルに基づき様々な知識を習得することに役立ちます。
書籍
書籍は学習におけるもっとも一般的な手段ですが、プログラミングの分野重要な学習リソースのひとつです。
プログラミング初心者向けの書籍では、特定の言語に特化したものからアプリ開発全般に焦点を当てたものまで、様々な書籍が存在します。技術書のようなものから、アプリ開発に関する基礎的な内容なども含めたビジネス書のような形式まであるため、興味がある書籍を選ぶとよいでしょう。
本屋で気になる書籍を手に取ってみると、自分が何に興味があるかを知ることができるため、これから学習していく上でのヒントになります。
プログラミングスクール
プログラミングスクールは、費用はかかりますが、短期間で効率的にスキルを身につけたい人に適しています。特に、プロのエンジニアから直接指導を受けることができるため、実務で役立つ知識やスキルを効果的に習得することができるでしょう。
カリキュラムは実践的な内容が多く、学んだ内容をそのまま現場で応用できることが多い点が魅力です。また、スクールでは同じ目標を持った仲間と学ぶことができ、学習意欲を維持することにもつながります。
独学に不安がある人や自分一人では挫折してしまいそうという人にとっては、プログラミングスクールは良い一手と考えられます。
4. 実際にプロジェクトを作ってみる
基礎知識を習得したら、次のステップは実際に自分でアプリを作ってみることです。まずは小規模なアプリ開発から始めて、徐々に規模を大きくしていきましょう。
例えば、はじめは簡単な電卓アプリやToDoリストアプリを作ってみると良いでしょう。アプリをつくる過程で実際にコードを書くことで、理論だけではなく実践的なスキルが身につきます。
アプリ開発初心者がさらにステップアップするには
初心者が基礎的なスキルを身につけた後、次のステップとして考えるべきは、さらなるスキルアップと実践経験の積み重ねです。自己学習だけでなく、他の開発者との交流や実際の現場での経験も大切です。
コミュニティに参加する
プログラミングを独学で学んでいると、どうしても行き詰まることがあります。そんな時、プログラミングのコミュニティに参加していると、仲間との情報交換によって悩みが解決したり、モチベーションを維持して学習を継続したりすることができます。
例えば、海外だとStack OverflowやReddit、国内だとTechCommitのようなオンラインコミュニティがあります。質問や疑問に対するアドバイスを得られるだけでなく、オフラインの勉強会やハッカソンに参加することができ、知見を増やすだけでなくプログラミング学習仲間を得ることに繋がります。
GitHubのソースコードから学ぶ
GitHubは、世界中の開発者がコードを共有するプラットフォームです。自分が興味を持っているプロジェクトや技術に関連するソースコードを閲覧し、実際の現場でどのように開発が行われているかを学ぶことができます。
また、オープンソースのプロジェクトに参加することでも学習することが可能です。プロジェクトに参加する際、必ずしも大きな変更を加える必要はなく、簡単なバグ修正やドキュメントの改善だけでも問題ありません。実際のプロジェクトに参加することで、実践的にプログラミングについて学習することができます。
実際の現場で学ぶ
最も効果的なスキルアップ方法は、実際に開発の現場で働くことです。開発会社にインターンとして参加したり、フリーランスとして小規模なプロジェクトに関わることで、理論では得られない実践的な知識や経験を得ることができます。
また、現場での経験は、単なる技術力だけでなく、チームワークや問題解決能力の向上にも繋がります。アプリ開発は多くの場合一人ではなくチームで行うものですので、実際にチームの一員として働くことでチーム開発の作法について学ぶことができます。
アプリ開発の流れ
アプリ開発は単にコードを書くだけではなく、しっかりとした計画とステップを踏んで進行していくことが大切です。アプリ開発の一般的なフローについてご紹介していきましょう。
1. 企画
アプリ開発の最初のステップは、何を開発するかの企画です。どのようなアプリを作るかを明確にするためには、まずはアプリの目的やターゲットユーザーをしっかりと定める必要があります。
この段階では、現在どのようなアプリが流行っているかなどの市場調査を行い、ユーザーのニーズやトレンドを把握します。市場に出ている他社アプリと見比べた際、ユニークな価値を明確にすることができれば、ダウンロード数の増加につながるでしょう。
ターゲットが決まれば、ターゲットに合わせた機能やデザインを構想することが可能になります。
2. 要件定義
企画が固まった後は、アプリの機能や動作に関する具体的な要件定義を行います。要件定義では、アプリにどのような機能を持たせるかやUIデザイン、ユーザーの利用シナリオを詳細に定義しましょう。
また、どのプラットフォーム(iOS、Android、Webなど)向けに開発を行うかや技術スタックの選定も必要です。はじめの内は複数のプラットフォーム開発をに行うのではなく、ターゲットユーザーの利用頻度が高いプラットフォームから着手するとよいでしょう。
3. 基本設計
要件定義が完了したら、次は基本設計を行います。この段階では、アプリ全体の構造やシステムを設計し、アプリがどのように動作するかを整理します。
ユーザーにどのようにアプリを使ってもらいたいかやデータの流れ、機能の連携を設計しましょう。加えて、アプリ内で必要となる主要な画面や機能の大まかな概要を作成し、各部分がどのようにつながっているかを検討します。
この基本設計は、後の詳細設計と開発の基礎となるため、ユーザーにどのように利用してもらうかをしっかりと考えるとよいでしょう。
4. 詳細設計
基本設計をもとに、さらに細かい部分を詰めるのが詳細設計です。どのボタンを押すとどの画面が表示されるのかや画面遷移・操作フロー、各機能がどのように実装されるかについて具体的に設計します。
また、コードの仕様やデータベース構造、APIの設計など、技術的な要素もここで確定します。この段階では、開発者が迷わずに作業を進められるように、具体的かつ詳細に必要なすべての要素について設計を行うことが必要です。
5. 開発
詳細設計が固まった後は、いよいよ開発に着手していきます。この段階で、ようやくプログラミングを行います。
各機能が設計通り正常に動作するかについて、随時確認しながら加発を進めるとよいでしょう。また、開発の過程では、多くの場合チームでのコラボレーションや進捗管理が重要になるため、チームメンバーとのコミュニケーションを意識しながらプロジェクトを進行させることが大切です。
6. テスト
開発が完了した後は、テストフェーズに移ります。テストでは、アプリが設計通りに動作するかを確認し、バグや不具合がないかをチェックします。
ここで重要な点は、単にバグや不具合を確認するだけでなく、ユーザーの観点からアプリが使いやすいかといった観点も含めてテストすることです。機能テストやUI/UXテスト、パフォーマンステストなど、さまざまな角度からアプリを検証し、最終的なリリースに向けて問題点を解決していきます。
7. リリース
テストが完了し、問題が解決されたら、いよいよアプリをリリースします。リリース時には、アプリストアへの登録やウェブサイトでの公開準備が必要です。
アプリをリリースした後は、ユーザーからのフィードバックに対して迅速に対応し、アップデートや機能改善を行っていきましょう。リリース後のメンテナンスやサポート体制を整えることで、アプリを持続的に改善し、ユーザーの満足度を高めていくことができるようになります。
プログラミング学習なしでもアプリが作れるローコード/ノーコード開発
ローコード/ノーコード開発は、プログラミング知識がほとんどない人でもアプリを作れる開発手法です。
特に中小企業やスタートアップにおいて、時間や予算の制約がある中でアプリを開発する際には、この手法が非常に有効になります。ノーコード開発では、ドラッグ&ドロップや簡単な操作で、複雑なアプリケーションを作成することも可能です。
ローコード/ノーコード開発のメリット
まずは、ローコード/ノーコード開発のメリットについてご紹介していきます。言葉の通り、コーディングが不要または一部でよい開発手法になるため、アプリ開発のハードルを下げる魅力的な手法であることは間違いありません。
主なメリットとしては以下の通りです。
- プログラミングが詳しくなくても大丈夫:開発者以外のビジネスマンやマーケターでもアプリを作れる
- 開発スピードが速い:コードを手動で書く作業が減り、素早くアプリをリリースできる。
- コストが抑えられる:少ない開発リソースでも質の高いアプリを開発できる。
- システム変更やアップデートが容易:ツールを使用するため、簡単に新機能を追加したり、既存のアプリを変更できる。
エンジニアのリソースが限定的であり、ビジネス側でアプリ開発を行いたい場合にはぴったりの手法でしょう。
ローコード/ノーコード開発のデメリット
メリットが多いローコード/ノーコード開発ですが、もちろんデメリットもあります。主なデメリットとしては以下の通りです。
- カスタマイズ性が制限される:ツールの提供する機能に依存するため、自由度が低い。
- 高度な機能には対応しづらい:大規模なアプリや複雑な機能を実装するには、従来のプログラミングが必要。
- プラットフォーム依存が強い:特定のツールに依存しているため、後々他のシステムに移行しづらい。
自由度が高い開発を行いたい場合や後々他のシステムに移行する可能性がある場合には、デメリットが大きいと言えるでしょう。
こうした特徴を理解した上で、プログラミングを行ってアプリ開発をするか、ローコード/ノーコード開発の手法をとるかについて検討を行うとよいでしょう。
まとめ
アプリ開発は、アイデアの企画から設計、開発、テスト、リリースまでの一連の流れをしっかりと押さえておくことが重要です。初心者でも、目標を明確にし、適切なリソースを活用することで、段階的にステップアップすることができるでしょう。
また、ローコードやノーコード開発の手法を取り入れることで、より簡単にアプリ開発に挑戦することが可能です。