Azure Open AIとは?機能や料金、活用事例、他ツールとの比較結果を解説!

Azure Open AIは、セキュリティ性や信頼性の高いAIソリューションです。AI開発において、その活用に注目が集まっています。

しかし、多くのAIソリューションが提供されている今、Azure Open AIが最適かどうか迷っている方も多いでしょう。

本記事では、Azure Open AIの特徴や機能、導入事例を解説します。記事後半では、他のAIソリューションとの比較もしていますので、他製品と悩んでいる方は参考にしてください。

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目次

Azure Open AIとは?

Azure Open AIのTopページ
出典:Microsoft「Azure Open AI Service – 高度な言語モデル」

Azure Open AIは、MicrosoftのAIサービスである「Azure AI」の一つです。GPT-4o、GPT-4 Turbo with Vision、GPT-4、Embeddingsモデルシリーズなど、OpenAIが提供する高性能な言語モデルを利用できます。

ただし、Azure Open AIは、AWS(Amazon Web Services)のように誰でも利用できるわけではありません。Microsoftは、不正確または有害なコンテンツが生成される可能性を考慮してアクセスを制限しています。

現在は、Microsoft と既にパートナーシップ関係がある企業や、リスクの低い明確なユースケースを示している企業などを対象にサービスを提供しています。

Azure Open AIの特徴

Azure Open AIには、以下のような特徴があります。

  • 高度なAIモデル
  • Azureサービスとの連携
  • 強力なセキュリティ

これらの特徴を生み出している技術や取り組みなどを解説します。

高度なAIモデル

Azure Open AIでは、OpenAIが開発したGPT-4oなどの高度なAIモデルを活用できます。具体的には、以下のAIモデルが活用できます。

  • GPT-4o
  • GPT-4 Turbo
  • GPT-4
  • 埋め込み ※
  • DALL-E
  • Whisper

※埋め込み:テキストを数値ベクトル形式に変換するモデル

現時点でも最先端の技術が搭載されたAIを利用できるうえ、OpenAIが新たなモデルを開発した際にはAzure Open AIでも最新のモデルを利用できるようになります。

Azureサービスとの連携

Azure Open AIは、他のAzureサービスと連携することで高度な管理や活用が可能です。

連携できるサービスには、以下のようなものがあります。

  • Azure AI Document Intelligence
  • Azure AI 検索
  • Azure Machine Learning
  • GitHub Copilot

例えば、Azure OpenAI Serviceを利用してコードや関数を出力しながら、GitHub Copilotで修正・自動補完・バグの発見を行えば、効率的にコーディングできます。

Microsoftサービスとの連携性が高いため、すでにMicrosoftのサービスを多く利用している方におすすめです。

強力なセキュリティ

Azure Open AIでは、Microsoftが有する強力なセキュリティが利用できます。

Microsoftは高いセキュリティ性能を維持するため、8,500人以上の専門家による保守と、5年で200億ドルの投資を行い、サイバー攻撃などの脅威に対応しています。

Azure Open AIでは、Microsoft社が持つセキュリティ性能が利用できるため、ネット上の脅威への対応力は高いといえるでしょう。

Azure Open AIのメリット

Azure Open AIを利用する大きなメリットは、以下の3つです。

  • ビジネスの効率化
  • カスタマイズ性と拡張性
  • コスト削減

ビジネスの効率化

Azure Open AIを利用すると、コンテンツの作成や課題解決の速度を向上できるため、ビジネスの効率化に役立てられます。

例えば、レポートやデザインを短時間で生成したり、学習データから新たなビジネスアイデアを導き出したりすることが可能です。業務の効率化が進むことで、業務時間の削減やクリエイティブな作業に割く時間の増加などにつなげられます。

カスタマイズ性と拡張性

Azure Open AIはモデルの拡張性が高く、自社に最適なシステムにカスタマイズできます。例えば、基本モデルに独自のトレーニングデータを追加することで、自社に最適化したモデルを構築することが可能です。

Azure Open AIではカスタムモデルを構築できる
出典:Microsoft「微調整でモデルをカスタマイズする」

カスタマイズにかかる料金は公式ホームページで確認できるため、必要な機能が分かっていれば、問い合わせをしなくても料金を求めることが可能です。また、クラウドサービスのため、利用状況に応じて簡単にスケールアップまたはスケールダウンできます。

参考:Microsoft「Azure OpenAI Service の価格」

コスト削減

Azure Open AIを利用することで業務改善や省力化が実現すれば、人件費の削減につながります。高度な頭脳労働には優秀な人材の確保が必要ですが、これらをAIで代替できれば人件費の削減が可能です。業種によっては、大きなコストカットが実現するでしょう。

また、Azure Open AIは従量課金制を採用しているため、利用量が少ない月は料金を抑えられます。特に小規模利用を考えている企業は、経費の削減に役立てられるでしょう。

Azure Open AIの主要機能一覧

Azure Open AIでは、以下のような処理が可能です。

  • 自然言語処理(NLP)
  • 画像認識
  • 音声認識
  • データ解析

それぞれの概要やできることを解説します。

自然言語処理(NLP)

自然言語処理は、日本語や英語などの自然言語を処理する技術です。自然言語処理を利用したツールの代表例として、ChatGPTが挙げられます。自然言語処理では自然言語の理解だけにとどまらず、生成や要約などのタスクもこなせます。

具体的には、以下のような業務に活用できます。

  • レポート作成
  • 記事執筆
  • 感情分析
  • 論文の要約

画像認識

画像認識は、画像の中に写る対象物や、画像全体の様子を認識する技術です。画像から対象物を検知したり、画像の状態を分類することができます。画像認識の技術を応用することで、動画内に写る対象物を捉えることも可能です。

具体的には、以下の業務に活用できます。

  • 店内の監視
  • 異常検知
  • 画像の分類
  • 顔認証によるゲート管理
  • 食品の検品

音声認識

音声認識とは、入力された音声を認識してテキストに起こす技術です。音声認識の技術は古くから存在していましたが、機械学習の活用により近年精度が向上しています。

Azure Open AIでは、OpenAIの「Whisper」という音声認識モデルを利用できます。Whisperは、日本語の認識能力が高いモデルです。あるデータセットを利用した実験では、日本語のエラー率は4.9%であり、61言語の中で8番目に高い精度で音声認識をしています。

Whisperにおける日本語の音声認識の精度は8番目に高い
出典:GitHub「openai/whisper」

具体的には、以下のような業務で活用できます。

  • チャットボット
  • 文字起こし
  • コールセンターでの通話記録
  • 音声指示に対応した家電

データ解析

Azure Open AIでは、データ解析をすることができます。構造化データはもちろん、自然言語処理を活用することで、非構造データである文章内のデータを分析することも可能です。

具体的には、以下のような業務に活用できます。

  • 文書内のデータの分析
  • 解析結果のグラフ化
  • 過去データを用いた見積作成

生成AIを活用してデータ分析する手法や具体例は以下の記事で解説しています。AIでのデータ解析を効率的に実施したいと考えている方は参考にしてください。

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Azure Open AIの料金

Azure Open AIの料金の一例を紹介します。地域によって料金やサービスの種類が異なりますが、ここでは東日本の例を記載しています。

言語モデル

モデルコンテキスト入力1,000トークン当たり出力1,000トークン当たり
GPT-4o
グローバルデプロイ
128K取扱なし取扱なし
GPT-4-Turbo128K取扱なし取扱なし
GPT-3.5-Turbo-012516K取扱なし取扱なし
GPT-48K0.03ドル0.06ドル
GPT-432K0.06ドル0.12ドル

ベースモデル

モデル1,000トークン当たり
バベッジ-0020.0004ドル
ダヴィンチ-0020.002ドル

アシスタントAPI

ツール入力セッション当たり
コードインタープリター0.03ドル

参照:Microsoft「Azure OpenAI Service の価格」2024年7月現在

※東日本リージョンでは画像モデル・音声モデル・微調整モデルは利用不可

Azure Open AI の活用事例

実際にAzure Open AIを活用して課題解決につなげた例を3つ解説します。

AIの活用により顧客対応の効率が10倍に向上

AtreraのTOPページ
出典:Atrera

イスラエルのソフトウェア会社であるAteraは、ユーザーサポートにAzure Open AIを活用し、顧客が問題を解決するまでの時間を大幅に短縮しました。

従来は、顧客の問い合わせを専門家が対応していたため、労力がかかるうえに問題解決までに1時間ほどの時間を要していました。同社はAIにユーザーサポートを対応させることにより、顧客がすぐに問題を解決できるようにしました。

また、複雑な問題の解決には従来通り技術者が対応していますが、AIのサポートを受けることにより問題解決までの時間が大幅に削減しています。従来は1人の技術者当たり1日7件の問題解決に留まっていましたが、AI導入後は10倍の70件も対応できるようになりました。

参考:Atera、10 倍の生産性向上を達成|Microsoft

AIアシスタントの搭載で製品価値を向上

AprimoのTOPページ
出典:Aprimo

デジタル資産管理や・作業管理ソフトウェアのプロバイダーであるAprimoは、Azure Open AIのChatGPTを活用して組み込み生成AIアシスタントを開発しました。

自社の製品に、場面ごとに最適な回答を得られるAIアシスタントを組み込むことで、顧客により高い価値を提供できるようになっています。同社は今後、AIコンテンツコーチをAzure Open AIで開発し、サービスをより円滑に利用できるサポート体制を構築する計画を立てています。

参考:マーケターは生成 AI アシスタントを入手|Microsoft

AIの活用により1日1時間の管理・入力業務を削減

ThreadのTOPページ
出典:Thread

Threadは、Azure Open AIを利用して、技術者が1日当たり1時間以上の管理・入力業務を削減できるシステムを構築しました。これにより、同社の技術者は、事務作業に充てていた時間に開発業務を行えるようになり、顧客満足度を向上しています。

また、Azure Open AIのAIモデルを活用することで、システムの開発は2週間という短い期間で完了しています。短期間で開発が完了するのも、Azure Open AIの魅力です。

参考:Thread、AI を活用してカスタマー サービスを改善

Azure Open AIと他のAIプラットフォームとの比較

Azure Open AI以外にも、AI開発ができるプラットフォームは数多くあります。どのプラットフォームも機能が充実している反面、比較する箇所が多く、どれを選べばよいか迷っている方も多いのではないでしょうか。

開発するシステムや利用するサービスによって選択すべきプラットフォームは異なりますが、以下のような観点でプラットフォームを選択するのも手です。

  • 高いセキュリティと信頼性を求めている→Azure Open AI
  • Googleサービスとの連携性を重視している→Google Cloud AI
  • できるだけ多くの機能を使いたい→AWS
  • ビジネスに特化した機能を使いたい→IBM

ここからは、Azure Open AIとよく比較されるAIプラットフォームの特徴やサービスを説明します。

Google Cloud AI

Google C;oud AIのTOPページ
出典:Google「AI & Machine Learning」

Google Cloud AIは、Googleが提供するAIプラットフォームです。GeminiをはじめとするGoogleが提供する最先端のAIサービスを利用できます。

具体的には、以下のようなサービスが利用できます。

  • 生成AI:Vertex AI Studio
  • Speech API、Text API、Language API:Natural Language AI
  • Image API と Video API:Vision AI
  • AI アシスタント:Dialogflow

Google Cloud AIは、Googleサービスとの高い連携性を持っています。そのため、Googleサービスを業務で多用している企業に適したAIプラットフォームといえます。

AWS AI

AWS AIのTOPページ
出典:Amazon「AI ツールとサービス」

AWS AIは、Amazon Web ServicesのAIサービスです。AWS AIは提供しているサービスが非常に多く、基本的なものから特定のタスクに特化したものまで幅広く利用できます。

例えば、以下のようなサービスが利用できます。

  • 画像処理:Amazon Rekognition
  • 音声合成:Amazon Polly
  • データ抽出:Amazon Textract
  • チャットボット構築:Amazon Lex
  • 商品レコメンド:Amazon Personalize

このように、AWS AIには多くの機能が搭載されているため、幅広いサービスを活用したい方に適しています。

IBM Watson

IBM watsonのTOPページ
出典:IBM「watsonx」

IBM Watsonは、IBMが提供するAIプラットフォームです。ビジネス利用に特化しており、セルフサービス化やオペレーター支援、知的労働の補助などに活用できます。

IBM Watsonでは、以下のようなサービスが利用できます。

  • AIモデルのトレーニングからデプロイ:watsonx.ai
  • データの統合・分析:watsonx.data
  • モデルの管理:watsonx.governance
  • 対話型AIの構築・デプロイ:watsonx.Assistant

IBM Watsonには、「企業文書内の検索」や「ニュース記事の検索」など、特定の課題に特化したサービスが多く用意されています。自社が抱えている課題を直接的に解決できるサービスが用意されている可能性があるため、一度AIサービスの一覧を見るのもよいでしょう。

まとめ

本記事では、Azure Open AIの特徴や活用事例を解説しました。Azure Open AIは信頼性の高いAIプラットフォームですが、参入障壁の高いことや、無料での試用ができないことなど、デメリットもいくつかあります。

記事後半でも3つ紹介しましたが、AIプラットフォームは多く企業から提供されています。選択肢を一つに絞ることなく、自社に最適なプラットフォームを選択するようにしてみてください。

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