Dart(ダート)はGoogle社が開発・公開したプログラミング言語のことです。リリース当初は、あまり人気の高い言語ではありませんでしたが、近年ではアプリケーションやサービス開発に向いていると注目を集めています。
そこで本記事では、Dartのことをよく知らない方に向けて、Dartの基本からDartエンジニア採用の相場まで詳しく解説します。
Dartとはどんな言語か
そもそもDart(ダート)は、Webブラウザ組み込み用言語であるJavaScriptの特性を受け継ぎ、更に利便性を高めるための言語として開発されました。ここではDartの用途・特徴について解説します。
Dartの用途
Dartのメインの利用シーンは、Webアプリケーション開発です。Google社が開発した言語であることから、当初はGoogle社内の開発用言語として用いられていました。
とりわけDartが注目され出したのは、2018年にGoogle社が公表したFlutterの開発言語として使用されることになったのがきっかけです。
Flutterとは、AndroidやiOSなどのモバイルアプリケーション開発に用いられるフレームワークのことで「モバイルアプリケーション・フレームワーク」とも呼ばれます。Android、iPhoneそれぞれで対応しており、開発言語としてDartが用いられています。
Dartの特徴
Dartは、モバイルアプリ開発に特化したプログラミング言語なのですが、他の言語とは具体的に何が違うのでしょうか。Dartの主な特徴を見ていきましょう。
オブジェクト指向型言語
Dartは「オブジェクト指向型」の言語です。一からコーディングする必要がなく、クラスベースのオブジェクトとして扱えます。ある程度規模が大きなアプリ開発にも対応可能です。
静的・動的型付けの切り替えが可能
Dartは「型推論」の機能があるため、静的型付け・動的型付けそれぞれに対応しています。開発用途にあわせて、静的型付けと動的型付けを自由に切り替えられます。例えば、変数を宣言する際、変数の前にdynamicを記述すれば動的型付けになります。
高いセキュリティ性能
Dartは、Javaのように中間コードを生成しません。中間コードとは、ソースコードから機械語に変換される過程で一時的に生成されるコードのことです。中間コードは、実際には存在しない架空のコンピューター(仮想マシン)で実行されるため、ウイルス感染のリスクがあります。
しかし、Dartでコーディングされた構文は、直接コンパイルおよびプログラムが実行されるためセキュリティ性能を維持します。
JavaScriptへ変換が可能
Dartで記述したプログラムは、JavaScriptに変換できます。具体的には「トランスパイラ」と呼ばれるコンパイラを使用します。これによって、主要なWebブラウザでDartを動作させることが可能です。
フロントエンド/サーバサイド両方のコーディングに対応
Dartはフロントエンドおよび、サーバーサイド両方のコーディングに対応しています。アプリ開発では、サーバー側とクライアント側でそれぞれ処理が行われるため、使われる言語も異なります。
そのため、サーバーサイドとフロントエンドで専門のプログラマーを採用したり、言語の学習が必要です。しかし、Dartは両方のコーディングに対応しているため、学習コストや人的リソースの削減に繋がります。
Dartを利用するメリットとは
Dartを開発に用いることで具体的にどういったメリットがあるのでしょうか。Dartを活用する主なメリットを2つ紹介します。
JavaScript経験があれば学習コストが低い
Dartは、元々JavaScriptの後継言語として開発されたため、JavaScriptに触れた経験があれば、学習ハードルが高くないことがメリットです。
オンラインエディタの「DartPad」など各エディタでは、既にDartの文法がサポートされているので、開発環境も構築しやすいといった利点があります。
大規模システム・サービス開発に適している
Dartは、「オブジェクト指向型」の言語です。主に中規模〜大規模なモバイルアプリケーション開発やWebサービスの開発に適しています。とりわけ、オブジェクト指向の最大のメリットは、「プログラムの再利用」ができる点が挙げられます。
コード量を減らすことでコーディングに掛かる負担を軽減し、最小の労力で最大のパフォーマンスを発揮することが可能です。
Dartのデメリットとは
Dartは様々なメリットがある一方、デメリットも存在します。これからDart学習を始める方は、念頭に置いた上で取り組みましょう。
日本語の情報が少ない
Dartは、2018年に注目されだした比較的新しい言語のため、他のプログラミング言語に比べて情報が多くありません。例えば、日本のWebサービス開発で人気の高いRubyなどは、書籍やネット上の情報も数多く存在します。
Dartは和訳されたマニュアルや解説書が少ないため、学習する際は英文を翻訳しながら独学する必要も出てくるでしょう。
使えるライブラリが少ない
Dartは、言語自体が発展途上の段階にあるため、他のプログラミング言語に比べて機能が少ない点が挙げられます。そのため、作りたいモバイルアプリがある場合、Dartだけでは十分な機能実装ができない可能性があります。
しかし、Google社が開発した言語だけに、今後の発展を期待できるでしょう。
Dartエンジニアの採用相場とは
Dartエンジニアの採用相場は、どれくらいの報酬でどのような開発案件があるのでしょうか。ここでは、実際の求人サイトを元に募集案件・待遇などを見ていきましょう。
求人サイト | 掲載件数 | 年収幅 |
Green | 222件 | 400〜1,200万円 |
WORKPORT | 31件 | 350〜1,200万円 |
Geekly | 60件 | 300〜1,500万円 |
doda | 111件 | 300〜1,200万円 |
このように、Dartを扱っている案件の求人は多数存在しています。ただし、年収幅は300〜1,500万円と5倍の差があります。どの言語を扱うにせよスキルによって、大きな年収差が生じる世界です。
とはいえ、需要に対してDartを扱えるエンジニアは多くないため、早めにDartエンジニアとしてのスキルを高めておけば、今後さらに需要が高まったときに、年収が一気に上がる可能性があります。
まとめ
今回は、Google社が開発・公開したプログラミング言語であるDartについて解説しました。Dartは機能追加が進むなど人気急上昇中の言語です。すでに世界の有名企業でも採用し始めていますが、現在日本ではメジャーな言語ではありません。
しかし、近い将来Dartが国内でも普及する可能性は十分にあるでしょう。そのため、興味のある方は今のうちから、Dartエンジニアの育成や採用をおすすめします。もし、自社でDartエンジニアを育てる余裕がない場合は、外部に委託することも検討しましょう。
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