アプリ開発に携わる方は「.NET Framework」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?これは、Windows系のシステム開発に用いられ、業務効率化や自動化システムの構築に適している開発・実行環境のことを指します。
今回は、.NET Frameworkが作られた背景や、構成要素についてご説明します。Windows環境で開発する場合は非常に役立ちますので、今のうちにしっかり学んでおきましょう。
.NET Frameworkとは
.NET Frameworkとは、簡単に説明するとMicrosoftが提供しているしているフレームワークです。Windows 7以降のパソコンには基本的にインストールされており、同OS対応のアプリやWebサービスを制作するのに最適です。
では、名前にも含まれている「フレームワーク」とはそもそも何なのでしょうか?
フレームワークとは
フレームワークとは、一言でいうと、Webアプリケーションを開発するための基本的な枠組みや機能をまとめたものです。プログラムの基礎となる部分が初めから用意されており、書かなければならない部分を大幅に減らせます。
コードも統一されることとなり修正や機能追加がしやすく、複数のプログラマーによる作業もしやすいです。.NET Frameworkにはフレームワーク以外にも重要な構成要素が含まれていますが、それは後ほど紹介します。
.NET Frameworkが作られた背景
このソフトをもう少し詳しく理解するために、作られることになった背景を振り返ってみましょう。
Microsoft .NET構想の提唱
2000年6月にMicrosoftはXML Webサービスという通信仕様を主軸とした、「Microsoft .NET」という構想を発表しました。これはパソコンや携帯電話に限らずあらゆる電子機器をWebで接続して大規模なネットワークサービスを構築するというものです。
Microsoftはそれを実現するために「Visual Studio .NET」という開発ツールを発表しました。名前からも分かる通り.NET Frameworkの元になったソフトです。
.NET Frameworkが定着
一大構想のMicrosoft .NETでしたが、主軸のXML Webサービスが普及せず浸透することはありませんでした。しかし、Visual Studio .NETは改良されて.NET Frameworkとなり現在も存在し続けています。そして「.NET」と言えば「.NET Framework」を指すほど定着したのです。
.NET Frameworkの特徴
.NET Frameworkには代表的な3つの特徴があります。
- Windows系のシステム開発に適している
- 複数のプログラミング言語に対応している
- 費用をおさえることが可能
それぞれの内容を詳しくチェックしてみましょう。
1)Windows系のシステム開発に向いている
同じMicrosoftの製品という事もあり、相性が良いことから.NET FrameworkはWindowsのシステム開発に使用されることが多いです。パソコン用のWindows 10や11はもちろん、サーバ用OSであるWindows Serverにも対応しています。
参照サイト:Microsoft『.NET Framework のバージョンおよび依存関係』
2)複数のプログラミング言語に対応している
後の章で詳しく触れますが、.NET Frameworkは様々なプログラミング言語に対応しています。代表的な言語の一例は以下になります。
- Visual Basic
- C#
- F#
- C++
他にも多くの言語が使えるのですが、バージョンにより対応しているものとしていないものがあるので注意が必要です。また多数の言語に対応しているため、他の言語で書かれたソフトや機器と連携しやすいという強みもあります。
3)費用を抑えることが可能
.NET Frameworkは無料で使用できるのでコスト削減になります。Windowsはもちろん、macOSやLinuxでも利用可能です。すでに会社で使用しているパソコンにインストールできる可能性も高く、それも費用を抑えることに役立ちます。
.NET Frameworkは以下のMicrosoftの公式サイトで無料ダウンロードできます。
Microsoft「.NET Framework のダウンロード』
また、Windows、macOS、そしてLinuxへのインストールについても公式ページに詳細が記載されています。
Microsoft『Windows に .NET をインストールする』
上記のページでmacOS、Linuxのインストール方法に切り替え可能です。
.NET Frameworkを構成する3つの要素
.NET Frameworkは以下の3つの要素で構成されています。
- 共通言語ランタイム(CLR)
- 基本クラスライブラリ(BCL)
- フレームワーク(FW)
フレームワークについてはすでに紹介しているので、残り2つの要素がどのようなものかを確認してみましょう。
1)共通言語ランタイム(CLR)
CLRを使用すれば様々な言語でプログラムが可能であり、どの言語で書いても一度CLRに変換されます。多くの言語に対応できているのですが、JavaやPHPなど対応していないものもあります。
またCLRは.NET Frameworkのセキュリティ管理・スレッド管理・例外処理なども行なっています。
2)基本クラスライブラリ(BCL)
BCLとは.NET FrameWorkで使用できる基本的なクラスをまとめたものです。
クラスとは「オブジェクト指向」と呼ばれるプログラムの雛形のことで、ライブラリは特定の機能を持ったプログラムの一部を部品化してまとめたファイルです。
上記2つの要素にFWを加えた3つで.NET Frameworkは成り立っています。
フレームワーク以外の.NET
名前に「.NET」が付くのもは他にも存在します。
- VB.NET:.NET Frameworkに対応した「Visual Basic」というプログラミング言語
- ASP.NET:Webサービス、Webアプリの開発に特化したMicrosoftのフレームワーク
- C#.NET:MicrosoftがNET Frameworkで使うために開発したプログラミング言語
このように名前に「.NET」が付いているものは他にもありますが、「.NET Framework」が一番有名です。
Windows系のアプリ開発を.NET Frameworkで始めましょう
.NET Frameworkは無料で使用できることから、これからWindows向けのシステムやアプリ開発をしたい企業におすすめです。しかし、社内に開発リソースがなく、経験豊富なパートナーに相談したいという企業様は是非お気軽にご相談ください。
当社がこれまで支援してきた開発事例の共有、企画・コンサルティング、要件定義や実際の開発支援まで包括的にサポートさせていただくことが可能です。
システム開発を失敗しないために、弊社が相見積もりの取得までをサポートさせていただくことも可能です。むやみな営業電話などは決して行いませんので、まずは無料のご相談をお待ちしております。