ソースコードに著作権はある?権利者の変更方法などを解説

多くのシステム開発ではソースコードを書いて開発を進めますが、実はこれらのコードには著作権が存在します。

  • ソースコードの著作権は誰のもの?
  • 権利は制作会社側にあるんじゃないの?

と疑問に思う方も多いでしょう。著作権は権利関係が曖昧になりやすいので、その保有者が誰かを知らないと、後で問題に発展する可能性もあります。

本記事では、ソースコードの著作権の保有者や権利保護に違反した場合に考えられる問題や、契約時に保有者を明確にする方法などを解説します。

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目次

ソースコードの著作権とは

著作権は著作物を法律で保護するために、著作者に与えられる権利です。

プログラムも著作権法第10条の1項で著作物として認められているので、著作権で保護される対象となり、その保有者だけが内容の変更・権利移行などができます。

ただし、プログラムそのものやアルゴリズムは著作物に当てはまらないので、著作権による保護の対象にはなっていません。たとえば、HTMLのタグの中身などは他の企業や個人が作ったページと同じでも、問題はないのです。

しかしある機能を実装するために複数の書き方ができるのに、誰かが制作した別のプログラムと完全に同じ記述であれば、内容に問題があると判断されるでしょう。

また、権利保有者以外がプログラムを使用する権利はありますが、その場合も権利者の協定等があることで成立します。

では、プログラムの著作者にあたるのは誰なのでしょうか。

ソースコードの著作権は制作者が保有する

ソースコードの著作権は原則として、プログラムの作成者に与えられます。ただし、職務著作に当てはまる場合は、著作権法第15条2項の定めにより、制作者が所属する法人などに著作権が与えられます。

2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

引用元:著作権法第15条2項|e-Gov

たとえば、制作会社等に所属しているエンジニアがプログラムを組んだ場合は、著作権の保有者は制作会社になります。

しかし、エンジニアが企業に在籍しておらず、業務委託などで他社から制作を依頼された場合は、権利を保有するのはエンジニアになります。この場合では、契約書の内容に著作権を企業側に譲り渡す旨を明記しておかないと、後で問題になるので注意する必要があります。

ソースコードの著作権は契約で譲渡可能

著作権は固定されたものではなく、契約時に合意することで譲り渡せる旨が、著作権法第61条には明記されています。

たとえば、ある法人が他社から開発を受注した場合、制作されたプログラムの著作権はその法人が持ちます。しかし、契約時に発注側の企業へ譲り渡すことに合意していれば、権利者は発注側の法人になるのです。

注意すべきなのは、業務を委託しただけでは著作権を譲り渡せない点で、委託の際に費用を支払っていても権利の保有者は変わりません。

事実、契約時に著作権を譲り渡すことが書面で示されないと、譲渡が認められないという法的判断が下された事例も存在しますので注意が必要です。

発注側が権利を取得したいなら、契約書に著作権の保有者を変えることを明記しましょう。

判例:https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/262/084262_hanrei.pdf

ソースコードの引用ルール

プログラムは著作権で保護される対象になるので、ソースコードを引用する際は著作権法に違反しないために、以下の3つのルールを守るよう意識しましょう。

ソースコード引用の注意するべきポイント3点
  1. 作成者の許可を得る
  2. 自分が作成したものとみせかけない
  3. 出典を明確にする

権利者の確認や許可を得ることを怠った場合、後で問題に発展する可能性があります。問題を防ぐために必ずルールに沿って引用しましょう。

ソースコードの著作権を侵害するとどうなる?

プログラムの著作権保護に違反した場合や権利関係が曖昧な場合は、以下のような問題になる可能性があります。

システムの停止を請求される

プログラムの著作権に違反すると、それを用いたシステムの運用停止が求められることがあります。

たとえば、委託先から納入されたシステムの仕様を自社で変更する際、権利が譲り渡されたかを確かめないと、上記の問題につながる可能性が高いです。

システムを止めることによる経済的影響は計り知れず、別の部署の業務にも影響が及ぶ可能性は否定できません。損害を防ぎたいなら、誰が権利の保有者かをはっきりとさせておきましょう。

ソースコードの著作権の損害賠償を請求される

著作権に違反すると、相手側から損害賠償を求められる可能性があります。

システムを止めた場合の経済的ダメージは大きいですが、システムを使って得た収益について損害賠償が求められると、請求額は非常に高額になります。

企業の信頼性にも関わるので、担当者を含む、関係者全員が著作権の知識を得ておくことが大切です。

ソースコードの著作権を明確にする方法

著作権の問題を防ぐためには、ソースコードの権利保有者は誰なのかをはっきりとさせておくことが大切です。

以下、権利保有者をはっきりさせるための2つの方法を解説します。

開発者と会社の関係を明確にする

開発者と会社のどちらに著作権があるかを明確にする方法です。

エンジニアが会社に所属しており、その指揮のもとでプログラムを組んだ場合は、会社が権利者になります。

しかし、エンジニアが個人で制作したシステムを業務に転用するなどした場合、そもそも会社からの指示を受けていないので職務著作に該当しません。このケースではエンジニアが権利者になるので、事前に権利者を確かめておかないと問題になる可能性が高いでしょう。

他にも、企業の担当者が知り合いにプログラムの制作を個人的に依頼した場合、その内容に社内で変更を加えた場合なども問題になりやすいといえます。

誰が権利の保有者であるかを明確にし、問題に発展することを防ぎましょう。

書面で著作権の所在・譲渡の有無を明確にする

契約書の書面で著作権の保有者・移行の有無などを明確にしておきます。最初に書面に明記しておけば、誰が著作権を保有しているかで揉める可能性を下げられるでしょう。

ただし、受注した側からすれば時間と労力を割いて制作したシステムですから、権利を譲り渡すことを認めない可能性もあります。

交渉がなかなか進まない場合は、権利を開発側が持ったまま発注側と権利を共有できるようにする、特定の部分の権利だけを移行するなどの方法で対応しましょう。

ソースコードの著作権を理解して信頼できる契約を結ぼう

ソースコードの著作権は基本的に制作者に与えられますが、所属会社の業務として作業をした場合などは、会社が権利者となります。

誰が権利者かを知らずにシステムの改変などをすると、法的問題に発展する可能性が高いので、契約書で権利者をはっきりさせておくことが大切です。

また、権利を譲り渡すための交渉が進まない場合は、一部の権利を移行したり権利を双方で共有したりなどの方法で対処すると良いでしょう。

著作権への理解を深め、双方が信頼できる契約を結びましょう。

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