ペーパーレス化の進め方について解説!具体的な進め方や阻害要因について紹介

「社内のペーパーレス化を進めたいけど、何から手を付けたら良いかわからない…」このように、紙からデジタルへの移行により、業務効率を向上させたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ペーパーレス化を効果的に進めるための具体的な方法を紹介します。ペーパーレス化のステップや阻害要因を理解することで、スムーズな業務運営とコスト削減を実現できます。

ペーパーレス化を進める際のコツもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

監修者

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竹村貴也

株式会社ファンリピートCEO

ベンチャー企業でのシステム開発経験を経て、フリーランスとして多数の企業のプロジェクトマネジメントに携わる。2019年に株式会社ファンリピートを設立し、ローコード開発、AIを活用した業務効率化ソリューションの開発・提供を手がける。
著書:「ChatGPTによるPythonプログラミング入門. AI駆動開発で実現する社内業務の自動化


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目次

そもそもペーパーレスとは?

ペーパーレス化とは、紙でやりとりされていた文章や資料をデータ化することにより、紙をなくして業務効率化を実現することを指します。また、単に紙の使用量を減らすことだけでなく、紙そのものの必要性をなくすこともペーパーレス化がもたらす価値です。

紙ベースの書類や手続きは、しばしば手間や時間がかかり、物理的な保管スペースも必要とします。しかし、デジタル化によって、プロセスを簡略化してシステム上で管理することで、場所を問わず業務を進めることができます。これによって、業務効率化が向上し、コスト削減を図ることが可能です。

また、ペーパーレス化はSDGsの実現にもつながります。自然環境の保全を行うことで、SDGsにおける「12.つくる責任 つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」「15.陸の豊かさも守ろう」の要素への取り組みとなり、企業としての責任を全うすることができるでしょう。

ペーパーレス化の方法

ペーパーレス化を進めるためには、具体的な方法を理解し、適切に実行することが必要です。以下に、ペーパーレス化を実現するための代表的な方法を紹介します。

紙で運用している業務フローをデジタル化

従来、紙で行っていた承認プロセスや書類の回覧などをシステム上で行うことで、業務の効率化が可能です。

例えば、紙ベースの承認プロセスでは、書類を印刷し、手渡しや郵送で回覧する必要がありました。しかし、これをデジタル化することで、システム上で承認やコメントを行い、リアルタイムで進捗を確認することができます。

これにより、業務のスピードが格段に向上し、場所を問わず業務を進めることが可能になります。また、デジタル化により、書類の紛失リスクが減り、必要な情報にすぐにアクセスできるようになるため、業務効率化がさらに高まります。

紙の文書・書類を電子化

紙で保存している文書や書類をデジタルデータに変換することは、ペーパーレス化の基本的なステップです。OCR(光学文字認識)技術やスキャニングツールを活用することで、紙の文書をデジタルデータに変換し、システム上で管理することができるようになります。

近年では、AIを活用した文字認識技術も進化しており、手書きの文書や複雑な書式の書類も高精度で電子化することができるようになりました。その結果、紙文書の管理が容易になり、必要な文書をすぐに検索・共有することが可能です。

さらに、電子化された文書にはパスワードやアクセス制限を設定することができるため、セキュリティ面でも優れています。

紙の帳票を電子化する

請求書や領収書、契約書などの帳票をデジタル化し、システム上で作成・送付することもペーパーレス化の一環です。従来、これらの帳票は紙で作成し、郵送や手渡しでやり取りしていましたが、これをシステム上で完結させることで、業務がよりスムーズに進行します。

また、ローコード・ノーコードツールを利用することで、非エンジニアでも比較的容易に帳票管理システムを構築することができます。これにより、帳票の作成や管理が効率化され、業務の迅速化とコスト削減が実現します。

関連記事:PowerAppsで帳票出力する方法について

ペーパーレス化の進め方を解説

ペーパーレス化を効果的に進めるためには、以下のステップに従って進行することが重要です。

  1. ペーパーレス化の目的を定める
  2. 現状の紙書類を整理し、対象範囲を定める
  3. ペーパーレス化する方法を策定
  4. 社内運用ルールを決め、周知

ステップ1.ペーパーレス化の目的を定める

ペーパーレス化を進めるにあたって、まずはその目的を明確に定めることが重要です。例えば、業務効率の向上やコスト削減、環境負荷の軽減など、具体的な目標を設定し、その達成に向けて取り組む必要があります。

また、目的が定まった後は、経営層や社員に共有し、理解と協力を得ることも大切なプロセスです。

ステップ2.現状の紙書類を整理し、対象範囲を定める

ペーパーレス化を進める際には、まずは現状を整理する必要があります。紙書類の中で、どの書類を電子化するか、またどの書類を紙で保管するかを判断する必要があります。

特に、法的に紙での保管が義務付けられている書類がある場合、それらは慎重に取り扱う必要があります。一方で、日常業務で使用される書類や、保管期間が短い書類などは、電子化することで管理が容易になります。

ステップ3.ペーパーレス化する方法を策定

ペーパーレス化の対象範囲が決まったら、次に具体的な方法を策定します。この際、どのくらいのコスト削減が見込まれるか、また、業務効率がどの程度向上するかを重視して計画を立てることが重要です。

どのようなシステムやツールを導入するか、どの部署から導入を始めるかなど、具体的な手順を策定し、実行計画を立てましょう。

ステップ4.社内運用ルールを決め、周知

ペーパーレス化を進めるにあたっては、社内での運用ルールを明確にし、それを社員に周知徹底することが重要です。

例えば、文書の電子化手順や、システム上での書類管理方法などをルール化し、それに基づいて業務を進めます。また、ルールの浸透を図るために、必要に応じて研修を実施し、社員の理解を深めることも必要でしょう。

ペーパーレス化を妨げるモノとは?

ペーパーレス化を進める上で、いくつかの障壁が存在します。これらを理解し、対策を講じることが重要です。以下にて具体的に解説していきます。

印鑑

日本において、印鑑文化は非常に根強く残っています。特に契約書や重要な書類においては、印鑑が必要とされる場合が多く、これがペーパーレス化の妨げとなることがあります。コロナ禍によりテレワークが推奨される中でも、押印のためだけに出社が必要になるケースも見られました。

しかし、最近では脱ハンコ化が進んでおり、民間企業だけでなく、中央省庁や自治体でも電子印鑑や電子署名の導入が進んでいます。伝統を重んじる企業では、依然として紙と印鑑が必要とされる場合がありますが、それでは世の中の流れに取り残されてしまいます。

業界内で意思決定のスピードで負けないためにも、印鑑文化を覆す社内変革を実現していくことが重要です。

FAX

FAXは、紙ベースでの通信手段として長らく利用されてきました。「セキュリティが高い」「送信先に確実に届いたことが確認できる」「操作が簡単」「受信したデータが自動で紙に印刷される」といったメリットがあるため、多くの企業で使用されてきた背景があります。

近年では、FAXのメリットを維持しつつ、ペーパーレスFAXと呼ばれる取り組みが進められています。ペーパーレスFAXとは、受信したデータをデジタル形式で保存し、紙に印刷することなく利用することが可能なFAXのことです。

しかしながら、ペーパーレスFAX自体の認知度が低かったり、送信先の希望としてFAXを利用し続ける必要があったりなど、FAXに依存した業務フローが残っているケースも少なくありません。そのため、ペーパーレス化を進めるにあたっては、こうした従来の文化や慣習を理解しつつ、徐々に新しい方法に移行していくことが求められます。

ペーパーレス化をするメリット

ペーパーレス化には多くのメリットがあり、これを適切に実施することで企業全体の効率化とコスト削減が期待できます。以下に代表的なメリットをまとめます。

生産性の向上

紙ベースでの業務では、例えば稟議書の承認に際して、毎回上長に書類を持参し、印鑑やサインを求める必要がありました。また、書類の印刷や製本といった手間もかかります。これらのプロセスには時間がかかり、業務の停滞を招くことがあります。

しかし、これらを電子化することで、システム上で承認プロセスが完了し、迅速な業務遂行が可能となります。さらに、リモートワークが普及する中、場所にとらわれずに業務を進めることができる点も大きなメリットです。

経費削減

一般的なオフィスにおいて、複合機での印刷コストや、書類を保管するための棚やファイル、さらには収入印紙などの経費がかかっています。特に、大量の紙を使用する企業にとって、これらの経費は無視できないものです。

参考として、一般的なオフィス向け複合機で印刷すると、白黒印刷で平均1枚約3円かかると言われています。ペーパーレス化により、これらの経費を大幅に削減することが可能です。

さらに、紙の使用が減少することで、紙の購入コストや廃棄コストも削減されるというメリットがあります。

紛失・誤廃棄・盗難リスクの軽減

紙の書類は、紛失や誤廃棄、さらには盗難のリスクがあります。これに対して、デジタル化された文書は、システム上で厳重に管理され、アクセス制限やパスワード保護が施されるため、セキュリティが大幅に向上します。

また、電子化された文書はバックアップを取ることで、紛失した際にも簡単に復元することが可能です。

個人情報を含んだ書類の紛失が発生してしまった場合、多額の損害賠償を受ける可能性もあるため細心の注意が必要となります。

時と場所を選ばずアクセス可能

紙の書類は物理的な場所に依存するため、必要な書類を探し出すのに時間がかかることがあります。特に、大量の書類が保管されている場合、探し出すことは非効率的です。

これに対して、電子化された書類の場合、検索機能を活用して時と場所に左右されずに瞬時に必要な書類にアクセスできるため、業務の効率化に寄与します。また、災害時にも重要な書類をすぐに取り出すことができるため、リスク管理の観点からも有効です。

震災・火災などの災害対策

紙の書類は、震災や火災などの災害に弱く、被害を受けると復元が困難です。自然災害が発生した際には多くの重要書類における水害や紛失などの被害が発生しています。

日本においては地震をはじめとして多くの災害リスクが存在しているため、紙での保管はリスクを伴うでしょう。

しかし、電子化された書類は、クラウド上に保存することで、災害時にも安全に保管することができます。これにより、災害対策としてのリスク管理が強化され、重要な情報を守ることができます。

ペーパーレス化をするデメリット

一方で、ペーパーレス化にはいくつかのデメリットも存在します。これらを事前に把握し、対策を講じることも重要な対策です。

導入にコストがかかる

ペーパーレス化を進めるためには、クラウドサーバーの利用や、電子化文書を閲覧するためのディスプレイやタブレットなどのツールが必要になります。これらツールの初期導入コストは無視できない金額です。

また、既存の紙文書を電子化する際には、スキャン作業やデータの整理などに時間や人員がかかり、これもコストの一部となります。

そのため、ペーパーレス化を進める際には、導入コストとその後のコスト削減効果を比較検討し、慎重に計画を立てることが求められます。

紙と比べて視認性が劣る場合がある

電子端末で文書を閲覧する際、端末の画面サイズや解像度、照明条件などにより、紙と比べて視認性が劣る場合があります。

特に、多くの社員が同時に同じ資料を見る会議では、各自がタブレット端末を持たせたり、大きなディスプレイを用意したりすることも必要です。一方、複数枚の資料を同時に確認する際には、紙の方が便利な場合もあります。

システムの影響を受ける

ペーパーレス化に伴い、業務の多くが電子機器に依存するようになりますが、これにはリスクも伴います。例えば、システム障害やネットワークトラブルが発生した場合、業務に支障をきたす可能性があります。

また、クラウド上にデータを保存する場合、インターネット接続が不可欠であり、ネットワーク環境が不安定な場合やサーバーエラーが発生した場合には、データへのアクセスが制限されることがあります。

さらに、利用者には一定のITリテラシーが求められるため、社内研修やサポート体制を整備することが必要です。

ペーパーレス化を進める際のコツ

ペーパーレス化を効果的に進めるためには、いくつかのポイントに注意することが重要です。以下に、ペーパーレス化を成功させるためのコツを紹介します。

スモールスタートで始める

ペーパーレス化は、スモールスタートを心がけることが重要です。全社的に一斉に進めるのではなく、まずはプロジェクトや特定の部署単位など、部分的な導入から始めることをお勧めします。

これにより、発生する問題点や改善点を小規模で検証し、その結果を基にワークフローを最適化していくことができます。スモールスタートでの導入は、社内の抵抗を軽減し、スムーズな移行を可能にします。

また、部分的な成功事例を他の部署やプロジェクトに展開することで、全社的なペーパーレス化を段階的に進めることが可能です。

社内でペーパーレス化を啓蒙する

ペーパーレス化を成功させるためには、社員の理解と協力が不可欠です。ペーパーレス化のメリットや必要性を社内で啓蒙し、社員の意識を高めることが必要になるでしょう。

例えば、ペーパーレス化による業務効率の向上やコスト削減、環境保護への貢献など、具体的なメリットを説明することで、社員の賛同を得ることが大切です。

また、ペーパーレス化を推進するリーダーシップを発揮し、社員が安心して取り組める環境を整えることが求められます。各組織でリーダーシップが取れる人をいかに早期に巻き込むかも重要でしょう。

どれくらいのコスト削減になるか試算する

ペーパーレス化を進める際には、事前にコスト削減効果を試算するとよいでしょう。例えば、印刷コストや紙の購入コスト、保管スペースの削減効果、業務効率の向上による人件費の削減効果などを数値化し、その結果を基に導入計画を立てると効果的です。

コスト削減効果が明確になれば、経営層や社員に対してペーパーレス化のメリットを説得力を持って説明することができ、導入の承認を得やすくなります。コスト削減の試算が大きい場合、経営層としても数字を無視することはできません。客観的な事実として数字を活用するようにしましょう。

ペーパーレス化についてのよくある質問

ペーパーレス化を進める際には、様々な疑問や懸念が生じることがあります。以下に、よくある質問とその回答をまとめました。

ペーパーレス化できない書類はある?

一部の書類は、法的な制約や業務上の理由から、紙での保管が求められる場合があります。例えば、公正証書で作成された契約書や一部の法定帳簿などは、電子化が認められていない場合があります。

その他にも、以下の書類においては電子化することができません。

  • 事業用借地権設定契約書
  • 任意後見契約
  • 農地の賃貸借契約書

こうした書類については、紙での保管を継続し、その他の書類を中心にペーパーレス化を進めることが現実的です。

また、棚卸表、貸借対照表、損益計算書などの計算・整理または決算関係書類は、スキャナ保存の対象外となっており、電子化して保存することができないという点も注意が必要です。

ペーパーレス化に反対する社員が多い場合は?

ペーパーレス化に対して抵抗を示す社員がいる場合、無理に推進することは逆効果になる可能性があります。「紙じゃないと無理」という意見が多数の場合、業務効率の向上やコスト削減に焦点を当て、ペーパーレス化のメリットを具体的に説明することが重要です。

また、部分的な導入から始め、成功事例を共有することで、徐々に賛同を得る方法も効果的です。最終的には、社員がペーパーレス化のメリットを実感し、自発的に取り組むような環境づくりが求められます。

まとめ

ペーパーレス化は、現代のビジネス環境において不可欠な取り組みであり、業務効率の向上やコスト削減、さらには環境保護にも大きく貢献します。

しかし、導入に際しては、文化的な背景や法的な制約を理解し、計画的に進めることが重要です。また、ペーパーレス化を成功させるためには、社内の理解と協力が不可欠であり、社員全員がペーパーレス化のメリットを共有し、自発的に取り組むような環境づくりに尽力しましょう。

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